愛しいフランゴシリアニ
テーマ:ギリシャ音楽ぺー先生はギリシャ人ですが、私が間違って理解している危険性も大いにありえます。
足らない知恵をこね回して、ああでもないこうでもないと考えている状態のものなので、ギリシャ音楽で検索をかけてたどりついた方などは、決してこの先に書いてあることを参考になさいませんよう、ご注意ください。
さて、フランゴシリアニ・グリキア、愛しいフランゴシリアニのお話。
マルコス・ヴァンヴァカリスの名曲を「フンドシ」などと、悪意あるコードネームで呼んではヒンシュクを買っている下品な私ですが、この曲「フランゴシリアニ」の歌詞をちゃんと理解したいなあと思っていました。
果たして、愛しいフランゴシリアニ。
彼女の長ったらしい名前の意味はなんでしょう。
この名前は意味として「フランゴ」と「シリアニ」に分断できます。
「フランゴは」フランスから来た人……フランク人という意味。
「シリアニ」は「シロス島の人」。
つまり「フランスから来たシロス島の人」。
ふたつも地名が入ってます。
なんでこんな名前なのかな……曲が作られた背景をまだ調べてないので、わかりません。
また、フランゴシリアニというと、女性の名前の他、ダンスの名前でもあるんだそうです。
フランク人由来のシロス島のダンス、ですね。
ヴァンヴァカリスのこの曲で踊るという意味ではないです。
この曲に登場するフランゴシリアニちゃんと、ダンスの名前とは、別。
調べたら、「かけている」という結論になる可能性もありますが、まだ私は真実を知りません。
ここからは歌詞の訳です。
といっても、直訳はまず無理なので、意味合いの理解ということになります。
ミア・フンドシ、ミア・フロガ、エホ メサ スティン カルディア。
問題の「フンドシ」が出てきますね。
これは名詞なんですけれども、動詞「フンドソ」だと、「燃え上がる」という意味だそうです。
続く「フロガ」は、「炎」。でも、ロウソクの炎みたいな、ちっちゃな火のイメージなんだそうです。
英語にするとflameですが、それともまたイメージが違うらしく、ぴったりの言葉はないそうです。
私は「灯」が近いかなあ、と思いました。なんとなく、五行の丁火を思い出します。太陽じゃない、陰の火。熱はあってもまぶしくない火です。
「僕の心の中に灯った火が、大きく燃え上がっている」ってな情景でしょうか。
なんで?
という理由が次の行で語られます。
レス ケ マギア ム’ヒス カニ、フランゴシリアニ グリキア。
マギアという単語がポイント。
魔法の呪文、という意味です。
だから、「君が僕に魔法をかけた」。
しかし、頭に「レス」とついています。
これは「言う」という動詞「レゴ」の直接法・単数・二人称の形ですが、意味は英語のas if...というわけで、「まるで君が僕に魔法をかけたみたいだ」となります。
フランゴシリアニちゃんは、魔女ではないんですね。
1番はここまで。
ここから2番です。
サ (エ)ルソ ナ セ アンダモソ、カト スティン アクロギアリア。
あなたに会いに波打ち際へ降りて行く。
……いいですね、きれいな情景です。
この「アクロギアリア」は、砂浜の波打ち際です。
サ イセラ ナ セ ホルタソ、オロ ハディア ケ フィリア。
「サ イセラ~」は、「~したい」の、ちょいとやわらかい言い方。
続く動詞の「ホルタソ」をしたい、と言ってます。
ホルタソは「満たす」。
あなたのハディアとフィリアで(僕の心を)満たしたい。
ハディアは愛撫、フィリアはキス……なんとまあ、情熱的!
情感こめて歌うのが難しいです。
ここまでが2番となります。
続けて3番へ。
サ セ パロ ナ ギリソ、フィニカ、パラコピ。
後半のフィニカとパラコピは地名です。
なんだかドラクエにでも出てきそうな地名ですが、これはフランス方面にあるそうです。
正確にどこなのかはまだ調べていません。
で、前半「サ セ パロ ナ ギリソ」は、「あなたを連れて帰る(未来形)」。
ただ連れて帰るってだけじゃなく、ひっつかまえて連れ去る、くらいの強い意味だそうです。
フランク人の土地に連れ帰ると言ってるのでしょうか。
ガリサ ケ デラングラツィア、ケ アス ム (エ)ルシ シンコピ。
まだ地名が続いていますね。
ガリサはガリア、デラングラツィアは、なんとデラクロワのことですって。
ガリアはともかく、デラングラツィアはちっともわかんないですね。
しかし、本当にわけわかんないのはその後です。
「シンコピ」って、辞書を引くと「心停止」ってかいてあります。
なんで!?
なんで、急に心臓止まるか!?
なにやら、これも慣用句みたいなものらしいです。
著しく心を揺さぶられると「ああ、心臓が止まる!」と表現するんだそうで。
あなたを連れて帰りたい、ああ、熱い想いで心臓が止まっちゃいそうだ!
……心停止の危機に瀕するなんて、どんなに激しい愛でありましょうや。
もりあがったところで3番、終わりです。
ラスト、4番。
スト パテリ スト ニホリ、フィナ スティン アリシニ。
パテリとニホリは地名で、これはギリシャの土地です。
パテリで、ニホリで、本当に洗練された地で、と言ってます。
ケ スト ピスコピオ ロマンザ、グリキア ム フランゴシリアニ
あー、また難しい言い回しが出た!
最後の行でこれです。
決めの言葉です。
ピスコピオとは、教会のこと。
祈りの場であり、修行の場であり、学問の場であり、そして聖域です。
しかし、なんの教会であるかというと、ロマンザの教会なんです。
ロマンザはイタリア語由来。
そう、ロマンスの教会というわけですね。
愛しいフランゴシリアニと、ロマンスの聖域に入る。
妄想……じゃなくて、幻想の中で、歌は終わります。
そういえば、ボサノヴァの名曲に「アグワ ヂ ベベール」という曲がありますが、それにも「許しの学校に入る」という表現があります。
キリスト教圏には、何かを極めるときに、何かの学校(教会)に入るというような言い回しがあるのかな……なんて、勝手な推測をしてみたりします。
愛の幻想は、極みへと達するのでありました。
と、いうわけで、愛しいフランゴシリアニの歌。
意味がわかったら、歌詞を忘れなくなりました。
いいなあ、この熱さ。
サ イセラ ナ セ ホルタソ、オロ ハディア ケ フィリアだったり、サ セ パロ ナ ギリソだったりするわけですよ!
切ないではないですか。
心停止しそうだよ、ヴァンヴァカリス!
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