2005-06-23 22:51:17

株主代表訴訟/牛島 信 05171

テーマ:法律
著者: 牛島 信
タイトル: 株主代表訴訟

★★★★☆


「株主総会」 に引き続き、牛島信氏の本を読んだ。


「閑茶役」などと言われる監査役が、実は商法上・会社法上は

絶大な力を持っていて、そのギャップを外資に上手く利用されて

ある老舗百貨店が大揺れに揺れる、という話。


裏の主人公の大木弁護士の話が面白い。


「日本の監査役の皆さんには、心からご同情を申し上げますよ。

 なんせ、建前と本音がまるでちがうから、大変ですよね。

 平穏無事に毎日が過ぎている時はその裂け目が見えないのですが、

 さて取締役に対する訴訟の要求に理由がありそうだ、となると

 困ってしまいますよね。

 だって、監査役にしてくれたのは、人事権を持っている社長さんでしょう。

 その人を訴えろ、なんて縁もゆかりもない株主から言われたって

 面食らうだけですよね。



 ところが、株主さんというだけで、実は縁やゆかりがあるどころじゃない、

 というのが法律の建前でしょう。

 なんせ「株式会社の主権は株主にある」そうですからねえ。

 でも主権在民ならわかりますけれど
 株式会社の民って従業員じゃないですか、
いや、実感として。



 株主って、くるくる変わる人と変わらない人がいて

 変わらない人は、事改めて株主さんなんて言うより前に
 銀行とか取引先なんですよね。

 変わる人は、そうですねぇ、外国の銀行みたいな

 一時的な借金先って感じかな。



 それで、従業員の中でも水上さんのように監査役、重役までなされた方は

 国政との比較で言うと、大臣か国会議員って感じでしょう。

 監査役だから、衆議院かな。

 その監査役が、外野席に座っている、会ったことも見たこともない

 株主から突然『監査役のお前に狙いをつけた。お前の責任だ。

 法律の条文どおり動け、さもなくばお前を撃ち殺してやる』

 っていわれたんじゃあ、立つ瀬無いとはこのことですよね。」


法の建前と本音のギャップについての作者の考えを

大木弁護士の口を借りて語らせているのだろうが、

法と実態がこれほどまで乖離してきたところもそうあるまい。


ちょうど今朝の日経にも社外取締役や監査役が

名目だけでなく実質も伴ってきた、との記事が出ていたが

小説に現実がだんだん追いついてきた、ということなのだろう。



著者: 牛島 信

タイトル: 株主代表訴訟
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