リュブリャナ唯一の寿司屋で彼女に出会ったのは先月のこと。スーは50歳くらいのタイ人で、スロヴェニア人の夫を亡くした後もリュブリャナに住み続けているのだそうだ。バンコク生まれの彼女は派手好きで英語もスロヴェニア語も上手。明るく外向的な彼女はアジア系のよしみか、あの日突然話しかけてきた。
 人口200万の小国スロヴェニアでは一度知り合った人と再び偶然町で出会うことが多々ある。スーとはその後、センターやスーパーなどで何度か出会い、その度にあれこれ世間話をした。先日ついに近所のメルカートルで名刺を交換し、今度和食とタイ料理を一緒に作ろう、という話になった。
 スロヴェニアでは色んな人がアジア人に興味を持って話しかけてくる。まだアジア系が少ないせいか、いつも非常に(過剰に)親切にしてもらっている。今日はドイツで日本人の友達に日本語をならったという中年男性に日本語で、スーの知り合いだという人に英語で話しかけられた。
 ブルダやノヴァ・ゴリツァでも経験したことだけど、ここでは友達の友達とすぐ友達になれるし、割と簡単にディープな人間関係の渦中に突入する。この辺り、イタリアのゴリツィアとは正反対の印象を受ける。新しい友達を作るのは楽しいし言葉の勉強にもなるんだけど、そのための時間とエネルギーが足りないのがすごく残念。スーの家にはその内行ってみようかな、と思う。