もう旅もお終い。ノヴァーラへ帰った。再びChamberyでTGVに乗り換えて、イタリアに入ったとたんに電車が故障して30分の遅れがでた。人々は文句を言い出し、車内は一気に騒々しくなった。Torino経由で南部の実家に帰る女の子は携帯で母親に不安を口にし、ボーイフレンドに相談し、この世の終わりだといわんばかりに嘆いていた。そんなときにx-fileのおどろおどろしいテーマ曲が聞こえてきて、車内は一瞬静まりかえった。一番うるさかったイタリア人の中年男性が「ああ、かみさんからだ」と周囲の人に言ってから携帯に出た。思わず吹き出してしまった。この人は車内の全員に聞こえる大声で、隣と向かいに座った若い移民労働者にエネルギッシュな「イタリア語」で話しかけ、自己紹介からイタリアの就職事情まで1人でしゃべりまくっていた。イタリアではこういう人に時々遭遇する。
 ノヴァーラ駅には40分遅れて到着。友達に迎えに来てもらい、例のホテルに1泊した。食欲はなかったけど友達が外食したいというので、ちょっとした食堂に行った。月曜日多くの店は休みだから、店内は客で溢れ返り、すごく騒々しかった。その中にアラブ系に見えなくもないすごく濃い顔立ちの大家族がいた。多分イタリア南部出身だと思うけど、フランスやイタリア北東部では見ない感じ。戦後、TorinoやMilano、Novaraなどイタリア北西部の工業都市には南部からの移民労働者が大量に流れ込んできた。現在ではその家族らもすっかり地域に根をはって生活しているようだ。
 ところでこの店、月曜日はピザしかできないそうで、私はルッコラ、彼はPuglieseという玉葱がのったピザを注文した。一切れもらったPuglieseは甘くて結構美味しかった。また近いうちに食べたい。ピエモンテのワインを1本空けて、1時頃ホテルに到着。もう本当に疲れた。限界。