水道部が只申し譯に類したる取調を為して棄て置くまゝ蛭はますます時を得て鐵管の中に繁殖したりと見え此に驚くべき多數の蛭の現はれ出でたる所あり京橋區木挽町一丁目十四番地○○銀五郎方にて同家の専用栓より昨日午前の中に第一回は十三疋第二回は十疋と二回續けて二十三疋の蛭流出せしかば餘りの事に同家にては大騒ぎを為し居たる處へ或人が通り懸り餘り多數なればとて不審に思ひ念の為め又水道栓を捻りて試みたるに又もや七疋の蛭が桶の中へ落ちたれば其人も事の意外に呆れて其蛭を壜に入れ持ち歸りたりとは同家の近くに蛭の巣にてもあるにや其蛭は田蛭と稱するものなりとぞ又一昨夕日本橋區坂本町三十一番地○○シマ子の専用栓より蛭一疋出でたりとて直ちに届け出て京橋區築地入船町三丁目一番地○○重吉方同區南傳馬町二丁目十三番地○○善之助方にても同く蛭を發見し其他にも一疋或は二疋流出ずるは珍らしからぬ程なりと云ふ

(讀賣新聞 明治三十四年五月二十四日)


*名前は省略しました。


いやはや、水道栓をひねるとヒルが飛び出すなんて、そりゃあ、魂消たでしょうよ。あっちこっちで同様の珍騒動だから、さぞや大騒ぎになったでしょうなあ。この後日談はまた日を改めて。