昨日寝しなに「日本古書通信」を読んでいたら、中野重治の話が出ていた。なんでもかの先生は蔵書を棚に沢山収納するために、小口・天・地のどこかに書名を墨で書き込んで、横に幾層も重ねていたそうである。さらに本を軽くするために、函やカバーを散々に剥いでしまうということである。いくら大先生でもこればかりは賛成できない。確かに嵩張る本であるが、無惨に捨てることなど到底出来ないのである。とはいえ、読み込まれた本が幸せか、綺麗なままに積んどかれた本が幸せかと問われれば、返答に窮するのである。