古本屋で三時間も這いずりまわる

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久しぶりに某古本チェーン店に足を向ける。あるメルマガで、このような町には勿体ないぐらいのお店だというような持ち上げ方をされたところである。その近くに住まう積ん読派の一人としては少々思うところはあるが、見知らぬ土地に来て、古本好きが思わぬ獲物を得れば舞い上がるのもやむを得ない。その気持ちもわからぬではないので笑って済ませたことがある。確かにこの手の店にしては品揃えが良く、黒っぽい本まで取り扱っている。B店とは異なり、むやみやたらと断裁して本を傷めるようなこともしていないし、いらっしゃいませを連発することもない。丁寧に立ったりしゃがんだりしていけば掘り出し物をみつけることもできるが、それでも神保町に負けないような値段をしっかりつけているものも多い。そうはいっても一月に一回ぐらいは覗かないと、やはり気が済まないのだ。本日も百均ものを中心に、いつもながら低額のものを攻める。今東光の弟、今日出海『天皇の帽子』(中公文庫)、岩波文庫から森鴎外『青年』と昭和二十六版の『ヰタ・セクスアリス』、日本文学全集67『火野葦平 田村泰次郎集』(集英社)、井狩春男『本屋通いのビタミン剤』(ちくま文庫)、それにおじさんマークではないが、相棒が探していたエラリー・クイーン『ニッポン樫鳥の謎』(創元推理文庫)を選んだ。気が付けば、すでに店内で三時間も這いずりまわっている。そのわりに収穫が少なく疲労感がおおう。とうに昼時間も過ぎており、どうりで腹も空いたわけだ。集中力が切れれば、抜け殻同然の躰である。重い足を引きずって、そそくさと食料調達に向かった。

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