2006-06-19 22:20:28

幸田露伴『幻談・観画談』

テーマ:ブログ

永井荷風先生は、同時代で読む価値ある作家は幸田露伴と森鴎外だけだといったらしいが、とてもとても未来永劫そのような境地に達することのできない小生にとって、縦横無尽に古今東西の博識をさらりと語る露伴先生の作品群は敷居が高い。それでもこの『幻談・観画談』に収録されていた小品を、どれも浅はかな理解ではあるけれども、こんな芋虫頭の小生でも楽しく読むことの出来る本なのだ。泉鏡花のような甘美な描写とは凡そ違うもので、なんだか読み進めているうちに、達観した禅僧に語りかけられているような気分になってくる。とはいっても実際にそのような経験はないから、小生の勝手な想像ではあるのだが。この書物の収録中に「骨董」というのがある。この中で骨董蒐集について触れている箇所があるのだが、特に印象に残ったのでここに記す。


「骨董が重んぜられ、骨董蒐集が行われるお陰で、世界の文明史が血肉を具し脈絡が知れるのであり、今までの光輝がわが曹(そう)の頭上にかがやき、香気が我らの胸に逼(せま)って、そして今人をして古代文明を味わわしめ、それからまた古人とは異なった文明を開拓させるに至るのである。食欲色欲ばかりで生きている人間は、まだ犬猫なみの人間で、それらに満足し、若しくはそれらを超越すれば、是非とも人間は骨董好きになる。いわば骨董が好きになって、やっと人間並みになったので、豚だの牛だのは骨董を捻くった例を見せていない」


小生も最近では、ようやく古書の奥深さと面白さを少しは理解できるようになってきたので、露伴先生言うところの、ようやく人間並みになれたようだ。果たして食欲色欲から解き放たれたかは別として、この骨董の世界での修行は始まったばかりである。


幸田 露伴
幻談・観画談 他三篇


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