2006-04-28 22:40:46

異端の民俗学

テーマ:ブログ

著者の礫川(こいしかわ)氏は、すでに批評社から出版されている幾つかの作品を読んでいたため知ってはいたが、恥ずかしながらその名前を、ずっとこれまで「つぶてがわ」と誤って覚えていたのだ。まったく笑えない話である。大変失礼致しました。それでも、氏の著作物には他ではあまり取り上げられないであろう異質な作品が多いので、出来るだけ積ん読ことを心がけてはいるのだ。読まずに積むだけでも満足できる背表紙である。それはさておき、今回の作品はというと、民俗学の世界ではあまり扱われてこなかったような研究テーマである、辺境で暮らす人々や被差別民、犯罪、性などを研究してきた先人たちを取り上げている。確かに濃い、個性的な先人達である。喜田貞吉、尾佐竹猛、中山太郎、瀧川政次郎、菊池山哉、赤松啓介、三角寛などである。知っている研究者もいたが、本著ではじめて知った研究者とその業績も多かった。誤解を受けがちな研究分野であるが、彼らはそれぞれの信念で正面から取り組んだ事実がはっきりとわかるだろう。とかく避けたがるテーマであるが、民俗、日本人、人と読み解いていく過程で、どうしてもその背景にあるグロテスクな部分を見落とすわけにはいかなくなるのだ。人には闇の部分がかならずついて回る。だからこそ、それを覆い隠そうと躍起になるのだ。目を覆いたくなるような犯罪が起きると、よく、昔はこのような犯罪はなかった、というようなことを耳にするが、何百年経とうと、人はそうやすやすと変われるものではない。それは歴史に刻まれず、民俗社会からも人知れず抹殺されてしまうことだろう。そんな闇の部分をこれまでの日本の民俗学は避けて通ってきたといわれてもしかたがないようだ。今回登場する学者たちは、本業は法律家であったり、歴史学者であったりする。また民俗学者ではあっても、冷淡な扱いを受けているのだ。現代では異人論や妖怪研究から日本の文化や人を読み解こうとする小松和彦のような研究者もでてきたが、氏も元々は文化人類学の世界から出発している。本著に登場する先人達の業績の再評価をすることは、これからの民俗学にとって有意義なものとなるのだろうと示唆している。そして最後に著者はいう。柳田自身もかつては「異端の民俗学者」であったのだと。あらためてこれまでの軌跡を、もう一度立ち止まって見返す勇気が必要なのだろう。

 
 
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異端の民俗学


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