「目を閉じちゃいけない」
とジョニー・ウォーカーはきっぱりとした声で言った。
「それも決まりなんだ。目を閉じちゃいけない。
目を閉じても、ものごとはちっとも良くならない。
目を閉じて何かが消えるわけじゃないんだ。
それどころか、次に目を開けたときにはものごとはもっと悪くなっている。
私たちはそういう世界に住んでいるんだよ、ナカタさん。
しっかりと目を開けるんだ。
目を閉じるのは弱虫のやることだ。
現実から目をそらすのは卑怯もののやることだ。
君が目を閉じ、耳をふさいでいるあいだにも
時は刻まれているんだ。コツコツコツと。」
キツイけれども、
特別に切れ味の鋭い刃物のような 爽快感。
淡々と、でも、ここまで はっきり言い切るところに、
相応の覚悟や信念、想いを感じます。
心から離れない言葉です。
村上春樹の作品は どれも好きなのですが、
これは「海辺のカフカ」の一節です・・・。