本物のサッカー人
テーマ:ブログ今日のブログは少しばかり長文になってしまいますが、最後まで付き合って頂けたら嬉しいです。
ここに一冊の本があります。
『争うは本意ならねど』
皆さんは知っていますか?
2007年、当時川崎フロンターレに所属していた我那覇和樹選手が受けた医療行為がドーピング違反にあたるのではないかと問題になってしまった事を。
この本はその問題に真摯に真正面から向き合った人達をノンフィクションで伝えてくれる本です。
僕は正直なところ、このようなノンフィクションといわれる本と言えど、争いをテーマにしたものは著者側からの一面的な角度から書かれているであろうという事もあり読むのはあまり好きではありませんでした。
この本を読む前も少しだけ抵抗感はありましたが、僕の本当に信頼している方から是非読んで欲しいと言われたので読ませて頂きました。
読んでみての感想は、
『感動』とは、『感じて動く』と書きますが、僕の心は、『深く感じて』、『大きく動かされました』。
裁判などの争いについて書かれている本なので、「誰が悪かった」とか、「権威や組織の問題だ」とか、いろいろな問題点を指摘したくなる事もあるかもしれませんが、そんな事よりも僕の心を大きく動かしてくれたのは、「サッカーを愛する人達、すなわち本の中に出てくる、チームドクター・選手・サポーター・家族・組織の中にいても染まらない人達・など挙げたら挙げきれないほどのサッカー人」がサッカー界にはいるという事です。
我那覇選手が裁判に勝訴し、ある弁護士が語った言葉が印象に残っています。
『我那覇選手は、サッカー界の問題によってドーピング違反の冤罪を被ってしまいました。しかし、我那覇選手を窮地から救い出したのもまた、チームドクター達をはじめとするたくさんのサッカー界の人達の力です。そういう人達がいるサッカー界には、輝ける未来があると思います。』
いち、サッカー選手として誇りに思えるメッセージでした。
本文の中に出てくる浦和レッズのドクター、仁賀先生とはもう長い付き合いです。
仁賀先生は真面目を絵に描いたような方です。
医師としての信念と誇りを持っている方です。
こんな事を勝手に書くと先生に怒られそうですが、その信念が垣間見えるエピソードとして、先生は絶対に患者さん等から贈り物や接待を受けません。
取材なども一切、受けません。
いわゆる、「白い巨塔」に出てくるような世界観とは真逆の方です。
浦和レッズに僕が在籍していた時は、先生はいつ寝てるんだというくらい働かれていました。
そんな堅そうに聞こえる先生ですが、本当にサッカーが大好きで、サッカーの事になると子供のように目を輝かせて話をします。
そんな仁賀先生が実名を出してまで本の中に出ている事に、先生の熱い想いを感じずにはいられませんでした。
そしてもう一つ、著者の木村元彦さんには本物のジャーナリズムを感じさせて頂きました。
僕自身、自分の著書を出版させていただいてから、その影響もあり有難い事に他の方が書かれた本の帯の推薦文や本の宣伝や、本の取材などの依頼を沢山頂きました。
ただ、自分の中で読んでもいない本や心に残っていない本を紹介したり宣伝する事に違和感を感じたり、下手に本を紹介したりは出来ないなぁなんていう臆病な心があり、この約一年間、全ての本に関する取材、宣伝を断らせて頂いてきました。
勿論、このブログも例外ではなかったはずです。
ただ今回、著者のジャーナリストとしての崇高な誇りのようなものを魅せられ、ぼくのそんなちっぽけな想いを恥じ、素晴らしいものは素晴らしいと紹介させて頂きました。
著者とは面識もありませんが、きっとサッカーを愛するサッカー人ですね。
最後に著者があとがきのラストに記したゲーテの言葉が胸に残ったので、載せておきます。
「財産をなくしたら、また働けばよい。名誉を失ったら、挽回すればよい。しかし、勇気を失えば、生まれてきた価値がない」
相変わらず本ばかり読んでいる僕ですが、久々に『きた』本でした。
是非、皆さんにも手に取って頂きたいです。
では、良い週末を。
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