renormalization

再規格化(くりこみ)


テーマ:

【後半部分の論旨を明確にするために少し加筆修正しました】

(2012年6月8日)



原発事故直後から中川恵一率いるteam nakagawa はTwitterやブログを通し、「放射線の身体への影響」に関する情報を発信してきましたが、間違った情報や「安全デマ」と呼べるようなものがたくさんあります。


事故直後はヨウ素131による内部被曝が問題だったわけですが、そのとき実効線量と甲状腺等価線量をきっちり区別せず読者を混乱させていたにもかかわらず、それを指摘された後、言い訳がましく次のような記事をUPしました。

http://tnakagawa.exblog.jp/15130037/


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【実効線量】
「実効線量」も「等価線量」と同じくSv(シーベルト)で表されます。「実効線量」は「体全体のダメージの程度」を表します。

私たち(@team_nakagawa)がTwitterなどでこれまで「被ばく量」として表現してきたものが、この「実効線量」に相当します。「実効線量」は各組織の「等価線量」に“組織荷重(加重)係数”を掛け、それを総和したものになります。

  (実効線量)=Σ(組織荷重係数)×(等価線量)

ここで国際放射線防護委員会(ICRP)1990年勧告にある組織荷重係数は、

  生殖腺:0.2
  骨髄、胃、肺、結腸:0.12
  膀胱、乳房、肝臓、食道、甲状腺:0.05
  皮膚、骨表面:0.01
  残りの組織:0.05


となります。(全ての組織の“組織荷重係数”を足すと1になります。)

※なお、日本国内の各法令は1990年勧告にある組織荷重係数に従っていますが、今後日本国内でも2007年勧告を取り入れるための準備が進められています。

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しかし、実効線量を「体全体のダメージの程度」と曖昧な表現で説明したことで、正しく理解することを妨げています。

また、「ヨウ素131による甲状腺の内部被曝」を「通常の食物摂取でもおこるカリウム40の内部被曝」と比較して問題ないという解説は完全な「安全デマ」です。

http://tnakagawa.exblog.jp/15135529/

http://ameblo.jp/makirin1230/entry-10927802058.html


最近は、「低線量被曝による確率的影響」が問題になってきていますが、彼らはこの確率的影響を正しく理解していないせいで、また「安全デマ」を流しています。

http://tnakagawa.exblog.jp/15130220/


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放射線が生物に与える影響には、「確率的影響」と「確定的影響」があります。「確率的影響」は、ズバリ、「発がん」のことです。放射線による発がんは、がんの発生に関わる遺伝子(DNA)が放射線により障害を受けることで起こります。(注1)

注1: 確率的影響には遺伝的影響(子孫に対する影響)も含まれます。しかし、これは動物実験で認められたことがあるものの、原爆被爆者を中心とした長年の詳細な研究にも関わらず、ヒトでは認められたことがありません。

「確率的影響」=「発がん」が起こる確率は、ごくわずかな量の被ばくであっても上昇し、被ばくした放射線の量に応じて増加すると考えられています。これ以下の線量であれば、大丈夫という“境目”=「しきい値(閾値)」がないのです。しかし、実効線量で100~150mSv(ミリシーベルト)未満の放射線被ばく(蓄積)では、発がんの確率が増すかどうか、はっきりした証拠はありません。
(注2)(参考: http://www.rerf.or.jp/rerfrad.pdf

注2: 国際放射線防護委員会(ICRP)などでは、実効線量で100mSv(ミリシーベルト)未満でも線量に従って、一定割合で発がんが増加するという「考え方」を採用しています。これは、100mSv(ミリシーベルト)以下でも発がんリスクが増えると考える方が、被ばくが想定される者にとって「より安全」であるという理由によるものです。

さて、実効線量で100mSv~150mSv(ミリシーベルト)以上の被ばくになると、がんで死亡する確率(生涯累積がん死亡リスク)が増していきますが、100mSv(ミリシーベルト)で0.5%の上乗せにすぎません。200mSv(ミリシーベルト)では1%と、線量が増えるにつれ、確率は“直線的に”増えるとされています。

日本人の生涯累積がん死亡リスクは、2009年データに基づくと 、男性26%、女性16%になりますから、男性の場合、100mSvの被ばくで、がんで死ぬ確率が、26%から26.5%に増加することになります。(ICRPのデータは、男女別に計算されていないため、見かけ上、男女の感受性に差があることになります)

もう一つ、「確率的影響」と区別しなければならない生物に対する放射線の影響とは、「確定的影響」です。こちらは、白血球が減ったり、生殖機能が失われたりするものです。この「確定的影響」は、放射線で細胞が死ぬことによって起こります。逆に、(確率的影響である)発がんは、死なずに生き残った細胞に対する影響と言えます。「発がん」以外のすべての影響は、確定的影響です。

私たちのカラダは60兆個の細胞から出来ており、毎日、毎日、その1-2%が死ぬと言われています。60兆個の1%とすると、毎日6,000億個が死ぬ計算です。しかし、そのことを私たちは何も“感じて”いません。

放射線によって、“自然死”以上に細胞が死んでも、被ばく線量が高くなって、死ぬ細胞の数が、あるレベルに達するまでは、障害は見られません。生き残っている細胞が、組織や臓器の働きを補(おぎな)えるからです。

死亡する細胞が増えて、生き残った細胞が、死んだ細胞を補えなくなる放射線の量が「しきい値(閾値)」です。放射線の量が、しきい値に達すると障害が現れますが、それ以下であれば大丈夫というわけです。わずかな量の放射線を浴びても発生する確率的影響と、ある程度の放射線を浴びないと発生しない確定的影響(白血球の減少、生殖機能の喪失など)は違うのです。

3月24日、3人の作業者の方が、足の皮膚に等価線量として数Sv(シーベルト)、言い換えれば、数千mSv(ミリシーベルト)、つまり、数百万μSv(マイクロシーベルト)の放射線を浴びたと報じられました。3Sv(シーベルト)以下であれば、皮膚の症状(放射線皮膚炎)はまず見られません。しきい値に達しないからです。

白血球が減り始めるのは実効線量で250mSv(ミリシーベルト、蓄積)程度からです。この線量が、すべての「確定的影響」のしきい値です。つまり、これ以下の線量では、確定的影響は現れないと言えます。

そして、私たち一般市民が実効線量で250mSv(ミリシーベルト)といった大量の被ばくをすることは想定できません。私たちが心配すべきは、「確率的影響」つまり、発がんリスクの上昇です。その他のことは、問題になりません。このことを皆様との共通認識としておくことはとても大事なことと思いブログに記載いたしました。

参考文献:
・The 2007 Recommendations of the International Commission on Radiological
Protection: ICRP Publication 103. Ann ICRP 37, 1-332 (2007).
・Low-dose extrapolation of radiation-related cancer risk: ICRP publication
99. Ann ICRP 35, 1-140 (2005).
・UNSCEAR, 2000. Sources and Effects of Ionizing Radiation. United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation Report to the General Assembly with Scientific Annexes.Vol. II: E United Nations, New York, NY.
・UNSCEAR, 2001. Hereditary Effects of Ionizing Radiation. United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation Report to the General Assembly with Scientific Annexes. United Nations, New York, NY.



[訂正(2011.8.4)]

学習院大学の田崎晴明先生をはじめとする皆様からご指摘を頂き、記事を訂正しました。「発がんリスク」ではなく、正しくは「生涯累積がん死亡リスク」とすべきでした。お詫びして訂正します。訂正に時間を要したことについてもお詫びします。

[削除した文章]
さて、実効線量で100mSv~150mSv(ミリシーベルト)以上の被ばくになると、発がんの確率が増していきますが、100mSv(ミリシーベルト)で0.5%の上乗せにすぎません。200mSv(ミリシーベルト)では1%と、線量が増えるにつれ、確率は“直線的に”増えるとされています。

しかし、日本人の2人に1人が、がんになりますので、もともとの発がんリスクは約50%もあります。この50%が、50.5%あるいは51%に高まるというわけです。

[差し替えた文章]
さて、実効線量で100mSv~150mSv(ミリシーベルト)以上の被ばくになると、がんで死亡する確率(生涯累積がん死亡リスク)が増していきますが、100mSv(ミリシーベルト)で0.5%の上乗せにすぎません。200mSv(ミリシーベルト)では1%と、線量が増えるにつれ、確率は“直線的に”増えるとされています。

日本人の生涯累積がん死亡リスクは、2009年データに基づくと 、男性26%、女性16%になりますから、男性の場合、100mSvの被ばくで、がんで死ぬ確率が、26%から26.5%に増加することになります。(ICRPのデータは、男女別に計算されていないため、見かけ上、男女の感受性に差があることになります)

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当初の説明で「発がんリスク」と「生涯累積がん死亡リスク」を混同し、それを指摘されたため、最近訂正しましたが、相変わらずデタラメです。


しかし、実効線量で100~150mSv(ミリシーベルト)未満の放射線被ばく(蓄積)では、発がんの確率が増すかどうか、はっきりした証拠はありません。

これは「発がんリスク」ではなく「死亡リスク」に関しての話です。参考としているリンクを見れば話をすり替えていることが分かります。

http://www.rerf.or.jp/rerfrad.pdf


実際には、チェルノブイリ事故後の調査などを通して、致死性の低い甲状腺がんなどについては「発がんリスク」についてもある程度のことは言えるようです。ヨウ素131の内部被曝による実効線量100mSvは甲状腺等価線量では2Svとなり、チェルノブイリ事故後のベラルーシでの調査から小児甲状腺がんの発生率の上昇との因果関係はあるとされています。

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Sgny-J.html


また、放射線影響研究所の要覧でも「部位別がんの発生率データの解析は、がんの死亡率調査よりも質が高いことが多い。なぜなら、発生率調査は、より良い診断情報を提供し、甲状腺がんや皮膚がんのような致死性の低いがんの発生率評価を可能にするからである。」と説明されています。

http://www.rerf.or.jp/shared/briefdescript/briefdescript.pdf  p.15


自分の主張に合わない文献などは無視することは悪質極まりないです。


さらに、彼らはこういったリスクの見積もり方も根本的に理解していないため、「安全」を強調しているようです。

訂正前でも

「実効線量で100mSv~150mSv(ミリシーベルト)以上の被ばくになると、発がんの確率が増していきますが、100mSv(ミリシーベルト)で0.5%の上乗せにすぎません。200mSv(ミリシーベルト)では1%と、線量が増えるにつれ、確率は“直線的に”増えるとされています。日本人の2人に1人が、がんになりますので、もともとの発がんリスクは約50%もあります。この50%が、50.5%あるいは51%に高まるというわけです。」

と実効線量100mSvでは0.5%のリスクの上乗せという計算をしていましたが、

訂正後でも

「日本人の生涯累積がん死亡リスクは、2009年データに基づくと 、男性26%、女性16%になりますから、男性の場合、100mSvの被ばくで、がんで死ぬ確率が、26%から26.5%に増加することになります。」

と実効線量100mSvでは0.5%の上乗せという計算をしています。

これらの計算はteam nakagawaのブログでリスクの見積もりの参考資料としてリンクしている放影研の資料http://www.rerf.or.jp/rerfrad.pdf

に基づいて計算したのなら、どちらもデタラメです。

ここでのリスク上昇が0.05というのはリスクが0.5%上乗せされるのではなく、1.05倍になるという意味です。



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放影研における原爆被爆者の疫学調査から明らかになった放射線の長期的な健康影響は、30 歳で1 シーベルト(1,000 ミリシーベルトあるいは100 万マイクロシーベルト)の放射線に被曝した場合、男女平均して70 歳で固形がん(白血病以外の普通の意味でのがん全体を指します)により死亡する頻度が約1.5 倍に増加するということです。このリスクは100-200 ミリシーベルト以上では放射線の被曝線量に正比例していますが、それ以下ではどういう関係になっているかは分かっていません。もしがんのリスクは被曝線量に比例的で「しきい値」(それ以上の被曝で影響があり、それ以下で影響がない境目の被曝線量)がないと考えるならば、100 ミリシーベルトでは約1.05 倍、10 ミリシーベルトでは約1.005 倍と予想されます。また、上記のようなデータを基礎として、放射線被曝によりその後の生涯においてがんで死亡するリスクを推定した結果では、30 歳で約100 ミリシーベルト被曝した場合、がんで死亡する生涯リスクは、放射線被曝がない場合の生涯リスク20%に対して、男女平均して21%になる(1%多くなる)と考えられます。なお、原爆は一瞬の被曝であったのに対して、環境汚染などにより被曝する場合は長期間の慢性被曝です。慢性被曝の場合には、放射線の総量は同じでも急性被曝の場合
より影響が少ない(1/2 あるいは1/1.5)とする考えがあります。この考えに従うならば、約100 ミリシーベルトの慢性被曝による生涯リスクの増加分は0.5%-0.7%ということになります。
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26%×1.05=27.3%ですから、その放影研の資料に基づいて計算するのであれば正しくは

「日本人の生涯累積がん死亡リスクは、2009年データに基づくと 、男性26%、女性16%になりますから、男性の場合、100mSvの被ばくで、がんで死ぬ確率が、26%から27.3%に増加することになります。」

と説明すべきです。(男女のリスクを分け考えるのことも正確には正しくありませんが)


高々0.8%分のリスクを低く見積もり過小評価するために計算を誤魔化すとは考えづらいので、彼らはこのリスク評価の方法を全く理解していないようです。100mSvで生涯のがん死亡のリスクが約0.5%上乗せになるという説明をしたいのであれば、たとえばICRP publ.103 の名目リスクに基づいて説明すべきです。http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09020305/02.gif

(この名目リスクは致死率とQOLが調整されていますが)


team nakagawaのブログでリンクされている放影研の資料に基づく計算方法とICRPの名目リスクに基づく計算方法を混同した彼らのデタラメな見積もりでは実効線量1Svの被曝をしたとき、常に5%の上乗せと考えるのでしょうか。その場合

「男性では、ICRPの名目リスクに基づく計算では、実効線量1Svの被曝で、がんで死ぬ確率が26%から31%に増加する」ということになりますが、team nakagawaのブログでリンクされている放影研の資料に基づく計算では、実効線量1Svの被曝をしたとき、リスクが1.5倍になるので、

「1Svの被曝で、がんで死ぬ確率が26%から39%に増加する」ということになり、前者の計算方法では後者の計算方法よりリスクを過小評価していることになります。(ただし、放射線の総量は同じでも急性被曝の場合より影響が少ない(1/2 あるいは1/1.5)とする考えがありますが)


こんな風に、彼らはリスクの見積もりが正しくできていないわけです。中川恵一が「正しいと思っていることを話すしかない」とデタラメな解説を相変わらず続けていますが、これはあくまで彼が正しいと思っていること

であって、正しいことではないことに注意する必要があります。

http://getnews.jp/archives/130538


当初、彼は正しいことはわかっているがあえて論点を逸らし「安全デマ」を流していると考えていましたが、どうやら松本義久と同じように根本的なことが理解できていなかったようです。


さらに、中川恵一には「死亡しないがんなら発症してもかまわない」という考えが根底にあるようです。子供を持つ親達が心配しているのは、「放射線による影響で子供がんになり死亡すること」なんかではなく、「放射線による影響で身体に何か障害がでること」を心配しているにもかかわらず、そんなことすら理解もできず「安全デマ」を流している中川恵一は医師として不適というしかありません。こんな輩に講演やテレビ解説を依頼するのは即刻やめるべきです。


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