renormalization

再規格化(くりこみ)


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原発事故により食品が放射性物質に汚染されていることが報道された直後から、テレビ朝日系のワイドショーなどで連日デタラメな解説をし続けた松本義久。いかに彼がevidenceに基づかない解説をしていたのか検証します。


●ヨウ素の暫定基準値の算出根拠を理解していないことについて。


ヨウ素については、甲状腺等価線量が50mSvを超えないように決められました。ただし、ヨウ素131の半減期は8日と短いので、1年間毎日暫定基準値の濃度の食品をとり続けても50mSvを超えないように決めたのではなく、2ヶ月経たないうちにヨウ素131の濃度は始めの1/100以下になることから、だいたい約12日分(ヨウ素131の半減期をTとするとT/ln2)で50mSvを超えないようにして、暫定基準値の値はかなり緩めに決められました。


このことは暫定基準値の濃度の食品を1年間摂取しつづけると、

甲状線等価線量が50mSvを大きく超えてしまうことから、簡単にチェックできます。

http://www.aist-riss.jp/main/modules/column/atsuo-kishimoto009.html


それにもかかわらず、松本義久は出演したテレビ番組で連日、

1年間暫定基準値の濃度の食品を食べ続けても上限は超えない」

というような全くデタラメな説明をしていました。


また、4月に筑波で行われた講演の資料(http://vmlab.kz.tsukuba.ac.jp/mct/matsumoto.pdf  p.6)でも、

1年間その放射能を含む食物(あるいは水)を摂取したとき、被ばくする放射線量が5mSv以下。ただし、ヨウ素の場合、甲状腺における等価線量が50mSv以下。」

とあります。


さらに、彼が学会員である放射線影響学会のホームページの福島第一原発事故に関するQ&AのQ27の回答として、

1年間その放射能濃度の水や食物を摂取し続けたときに全身が被ばくする線量(正確には実効線量)が5mSv以下、ヨウ素の場合は甲状腺が被ばくする線量(正確には等価線量)が50mSv以下」という考え方に基づいて決められています。また、単一の食物ではなく、さまざまな食物を食べたときの合計値としてこの規制値以下になるように決められています。」

というような全くデタラメな回答をしています。

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/rb-rri/gimon.html#Q27


1年間分ではなく実際は約12日分としてヨウ素の暫定基準値が決められていたということは、暫定基準値の安全性を約30倍も誇張していたことになります。簡単に1年間分でないことはチェックできるにもかかわらず、それすらやっていない、日本放射線影響学会とその会員である松本義久、質の低さは言うまでもありません。



●甲状腺等価線量と実効線量を混同していることについて


彼は、甲状腺等価線量と実効線量の意味を正しく理解せず混同し、

「ヨウ素131の濃度が15000Bq/kgのほうれんそうなら300年ぐらい食べても問題ない」

というような、お粗末な解説をしています。


4月に筑波で行われた講演の資料(http://vmlab.kz.tsukuba.ac.jp/mct/matsumoto.pdf  p.7)で、

その算出方法が示されているので、ここでいかにデタラメか確認します。

(わかり易くするため、単位を補っておきます。)


------------------------------------------

5. 「ほうれん草300年分」の真実


1kgあたり15,020Bqのほうれん草を摂取した
場合の被ばく線量
15020Bq/kg×2.2E-5mSv/Bq=0.33mSv
年間摂取量 平均 6.6kg
我が家は野菜が好きだと言う思いを込めて10kg
洗えば1/10に落ちるとして、年間
0.33mSv×10×(1/10) =0.33mSv
100mSvに到達するのは
100mSv/(0.33mSv/年)=300年
(2.2E-5mSv/Bqを実効線量係数という)

--------------------------------------


まずデタラメなのが、ヨウ素131の暫定基準値は食品全体で甲状線等価線量が50mSvを超えないように決められ、野菜類だけなら11.1mSvを超えないように決められているにもかかわらず、この試算では甲状腺等価線量換算係数ではなく実効線量(換算)係数が用いられていることです。


また、洗ったものを検査し15020Bq/kgが検出されたにもかかわらず、「洗えば1/10に落ちる」という、根拠のない希釈効果(すでに洗ってある程度落ちている)を入れています。

さらに、年齢による換算係数の違いも考慮していません。年間摂取量の平均が6.6kgに対して、ほうれんそう好きの人がその1.5倍程度しか年間摂取しないという推測も幼稚です。最も酷いのが実効線量で100mSvになるまで問題ないとしたところでしょう。


実際に、甲状腺等価線量が11.1mSvになるのはほうれんそうがどれくらいの量なのか確認してみましょう。(線量換算係数はモデルによって異なるので、ここでは実効線量換算係数を2.2E-5mSv/Bqとしているものを用いることにします。)


成人の場合、甲状腺等価線量換算係数は4.3E-4mSv/Bqです。

15020Bq/kg×4.3E-4mSv/Bq≒6.5mSv/kgとなるので11.1mSvに達するのは、

11.1mSv/(6.5mSv/kg)≒1.7kg=1700gの量のほうれんそうを食べたときです。

(ほうれんそう好きの大人なら2週間分ぐらいでしょう)


幼児の場合、甲状腺等価線量換算係数は2.1E-3mSv/kgです。

15020Bq/kg×2.1E-3mSv/Bq≒32mSv/kgとなるので11.1mSvに達するのは、

11.1mSv/(32mSv/kg)≒0.35kg=350gの量のほうれんそうを食べたときです。

(ほうれんそうが好きな子供なら1週間ぐらいで食べてしまう量です)


本来、甲状腺等価線量が11.1mSvになる量を調べるところを、実効線量が100mSvになる量を調べることで、それだけでも約200倍も安全性を誇張することになりますが、さらに、根拠のない希釈効果を入れ、年齢による換算係数の違いは無視し、結局1000倍以上も安全性を誇張したことになります。こんな試算はまともな研究者がやることではありません。彼が研究者として不適であることは確実です。


●がん発症リスクとがん死亡リスクの混同について


彼は「実効線量で100mSv以下なら人体には影響がない」と断言していましたが、その表現もデタラメです。「実効線量で100mSvの被曝では、その線量が原因のがんで死亡する確率が上昇するかどうかは、データが少なくて、現在の医学のレベルでははっきりしたことが言えない」というべきものです。「安全かどうかわからないことを安全と断定してしまう」、さすが松本義久。


しかし、小児甲状線がんが発症する確率についてはチェルノブイリ事故の調査からある程度のことは言えるようです。実効線量が100mSvというのは、組織荷重係数を0.05とすると、甲状腺等価線量では2Svになります。小児甲状腺がんのERR/Gy(excess relative risk per Gy 1Gyあたりの過剰相対リスク)の値は5~15となることから、甲状線等価線量が2Svの場合、小児甲状腺がんの発症率が10倍~30倍増加することを意味します。


小児甲状腺がんの発症率は元々低く、小児100万人で年間1件程度の発症らしいですが、仮に関東地方の小児全員(約600万人)が2Svの甲状線等価線量の内部被曝を被っていたら、小児甲状腺がんが関東地方で年間66件~186件(被曝がなければ年間6件)も発症することになるわけです。さらに、ベースとなる甲状腺癌の発症率は年齢とともに増加するため、成人してからもこの発症件数はどんどん多くなっていきます。

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Sgny-J.html


彼が全く問題ないという実効線量100mSvのヨウ素131による内部被曝はこんなに小児甲状腺がんの発症を増加させる線量なのです。彼の話を信じて高濃度のヨウ素131に汚染された食品を大量に食べていたら、大変な事態になった可能性があります。(事故直後では、食品の検査体制が確立せず、ヨウ素131の暫定基準値を超える食品は普通に出回っていましたhttp://www.jiji.com/jc/zc?k=201105/2011050300044 )


彼はよほどの無知か小児甲状腺がんになっても死亡しないなら発症してもかまわないと考えているような人間のようです。


これだけevidenceに基づかない解説をテレビ番組で繰り返した松本義久の責任(彼のデタラメな解説のせいで食品の検査体制に危機感がなくなり、検査体制は「ざる」の状態が続き、暫定基準値を超える食品が普通に出回り、不必要な内部被曝を増加させたこと)は、今後しっかり追及されるべきでしょう。



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