(71)巻き爪変形理論 | makidumedeskのブログ

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巻き爪の変形に関する理論を図示いたします。

円形に書いたものが第3層のケラチンです。

これが水を含むことによって、膨張いたします。

この時、軟化いたします。

表面側は、硬いケラチンで、第3層のケラチンとは性質が異なり、

お湯の中に入れていても、水分をそれほど含むことはありません。

それに比べて、第3層のケラチンが、このように水分を含んで、

膨張するとき、その分子は、膨張して軟化いたしますので、その時体積が増加して、

分子の一部は、周囲からの圧力が高くなるために、

圧力の低くなる、下側に移動いたします。

その後、乾燥するときには、分子の位置は元の位置には戻りません。

そのために、第3層の横幅は、移動した分子の分だけ減少いたします。

その後、この変化を繰り返します。

この時、分子は、元の位置に戻らずに、ますます、横幅が減少していきます。

厚さは、その分、増加をいたします。

このような微妙な変化が、起こるときに1回あたりの変化は、とても少なくても、回数を重ねることによって、爪は変形していくことになります。

デジカメで撮った画像では、水分を吸収した時とその前の乾燥しているときの、爪の下側の変化をとらえています。

このような変化を起こしやすい爪が、巻き爪変形を起こしやすい爪であると考えています。

この特徴は、第3層のケラチンが、水分を吸収しやすく、乾燥しやすい状態になっているということになります。

その条件は、ケラチンの脂質の量が関係しているのではないかと考えています。

第3層は、顕微鏡で見ますと、それを形成する爪床の細胞の一部に、脂質を含有している像が見られます。

また、生化学的な分析でも、脂質が含まれていることがわかっています。

ところが、この脂質の量や質に異常が起こると、水分を含有しやすくなるのではないかと考えています。

正常の状態の爪の分析結果はわかっていますが、巻き爪の生化学的な分析はされていないので、正確にはわかりませんが、そのようなことが推測されます。

このようにして、第3層が収縮・硬化と膨張・軟化を繰り返すことによって、ケラチンの分子の移動が起こり、第3層は、横幅を減少させて、厚さを増加させるという構造変化を起こすものと考えています。

そのことによって、爪が全体として、変形してくるものと考えています。

事実、巻き爪を矯正しているときに、爪の下側に第3層由来の変質したケラチンを大量にに留めていることを確認しています。

ツメフラ法によって、矯正している方は、そのことを、実感していると思います。

(ほかの方法を使っている人では、変形の矯正に水を使って、短時間に矯正することをしていませんので、それに気が付かないのだと思われます。)

ツメフラ法では、この時、爪の下側をきれいにすることが重要であると考えていますので、そこに、大量の変性したケラチンを認めることになります。

また、この理論によって、ジェルネイルを行っているときに、巻き爪変形を起こしやすいということも説明ができます。

その時に使用するアセトンが問題となります。

アセトンは、脂質にも、水にも溶けるという特殊な性質を持っています。

そのために、爪の表面に塗ったアセトンは、第1層を簡単に通過することができます。

水は、第1層を通過いたしませんが、アセトンはその性質によって、第1層も第2層も、さらに第3層をも通過することが可能です。

そこで、第3層まで達したアセトンは、そこに存在する水分を追い出して、アセトンが代わりに存在することになります。その後、アセトンは、揮発性が強いために、揮発して、そこからなくなります。

その結果、爪の第3層は強い乾燥状態になり、収縮を起こします。

その結果、爪の変形をもたらすことは、巻き爪変形を起こす時とおなじメカニズムによります。

乾燥・硬化収縮と湿潤・膨張軟化を繰り替えすことになって、巻き爪変形を、化学物質が引き起こすということになります。

そのために、ユビの爪が、外力を受けることなく、円形に巻いてくることになります。


このようにして、巻き爪変形が形成されてくると、考えています。