みちる

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今日、協会の仕事が終わった後、みちるのフェアリーでの生誕祭に行ってきた。

みちるとはもう、知り合ってから4年半くらいになる。
所属団体こそ違えど、いつも凄く優しく接してくれて、下戸な僕なのに飲み会などにも誘ってくれたりと、みちるのお陰で、大切な人達や大切な時間が増えたことは言うまでもない。

誰からも愛され、こんな生意気な後輩でも可愛がってくれる、僕にとっては本当に大切な先輩であり友達である。

そんなみちるの特別な日だからこそ、限られた時間の中でも、普段、客として滅多に行くことのないフリーに行こうと思えた。

仕事後であり、明日も朝から仕事なので、店には申し訳ないが、1半荘だけということで卓に着かせてもらった。


序盤からまとまった手が入るも、和了には結び付かず、東四局にデバサイの満貫を和了った以外に、終始見せ場の無い展開が続いた。

南場の親も落ちた直後の2着目で迎えたラス前、約15000点差のトップ目からリーチ。
僕もここが勝負所と、かなりの危険な牌で勝負するも、宣言牌が捕らえられ大きな5800の放銃となってしまった。
1本場は、親が3着目に5200を放銃し、迎えたオーラス。

僕は2着目。
トップを捲るには跳満直撃か倍満ツモ。
親の3着目とは3000点差ほど。

ここで、僕の中の何かが囁いた。

『今日は何の日だ?』

そう。今日はみちるの誕生日。

『こんなにも特別な日に、お前の中には2着確定の和了という選択肢があるのか?』

確かに。

今日はお祭りのようなものだ。
勝負に徹するのではなく、楽しもうじゃないか。

僕の中で何かが吹っ切れた。
今から始まるんだ。
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配牌を開いたとき、僕は身体中に感じた。
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クソのような配牌をこねくり回した13巡目にトップ目からのリーチ。

その時の僕。
4赤56m34p44466778s  ドラ7p

数え切れないほどのペンチャン、カンチャンターツを払って築き上げたこの形。
関連牌の2pは3枚飛び。5sは対面の親がポン。8sは2枚飛び。

次巡、ついに来る。

ツモ8s。
そして、僕から飛び出す
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要は、4s切りリーチ。

すぐ様訪れるトップ目の下家のツモ番。

その下家の手から溢れる、5p。

これぞ正しく
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もはや僕は、麻雀界という
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なんだろうな。

見せちゃったな。
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ってところを。

なんて思いながらドヤ倒牌してやろうと思ったんですよ。

そしたら…

対面「…ロン」

僕「へ?(°_°)」

対面「12000」

僕「ちょ、ちょ、え?は?え?」
僕「スタッッフ~!ダブロンは?」

ス「頭ハネですw」

結果、僕の跳満は幻となり、3着目の親がトップになり、トップ目が親満打ち込んで2着で終了っていうやつだったよ!

まあ、僕クラス
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てことですよ。

もう、誰の誕生日もお祝いしてやらないんだから!


あ、でも帰りに、今をときめく人気の美人女流さんと駅までお話ししながら歩いて帰ったから、差し引きゼロってことにしとこう。




そんなこんなで、
みちる、誕生日おめでとう!!
これからもよろしく!





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万感

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初めて会ったのは4年前。

麻雀漫画に感化され、鼻息荒く「麻雀強くなりたいんです!」と…。
その時が彼女にとっての雀荘勤務、そして、麻雀のスタートだった。

おっちょこちょいで、お調子者で、向こう見ずな性格。
私立の美大に通い、親に迷惑を掛けないように高い学費を頑張って工面しているような子が、そう長くは続かないだろうと思っていた。

知っている人も多いと思うが雀荘勤務というのは、思っているほど楽ではない。
仕事自体は難しいものではないが、客と麻雀を打つようになるとかなり事情は変わってくる。そうして麻雀を嫌いになってはもらいたくないなと思っていた。

しかし、そんな心配も杞憂だったようで、底抜けに明るい彼女は、同僚や客とも直ぐに打ち解け、不器用で飲み込みは悪いけど、彼女なりに先輩達の教えを真摯に聞き入れ、少しずつではあるが、麻雀も上達していった。

程無くして僕がその店を去る事になったのだが、それから1年もすると彼女は、プロ試験を受け、今度は同じ協会員として仲間になった。

親心…とまではいかないけれど、出会った頃を思い出し、少し可笑しくも、感慨深いものがあった。

そんな彼女が今日、チャンピオンロードの決勝の舞台に立った。
勝負は一半荘。
トータル4位とぎりぎりであった為、優勝条件は限定的な着順の並び且つ素点が必要だった。
とても着順操作などに考えは及ばないだろうし、分かっていてもそこまで器用に打つことを2年目の彼女が出来るとも思えない。

どうにか展開が味方してくれれば…。

運営としてその場に居た僕は、片付けをしつつ、少し離れたところで決勝の様子を見守った。

南場に入った時、彼女はラス目だった。
ここから素点を稼ぎつつ並びを作るのは厳しいか…。
粗方片付けを終え、南三局の彼女の親番中に僕は卓に向かい、点数表示を覗き込んだ。

すると、彼女は50000点以上を掻き集め、条件を満たす並びを作っていた。
思わず息を飲んだ。
何があったのかは分からない。

分かることは今、彼女が優勝に最も近いところにいるということだけだ。
彼女が置かれている状況を僕が把握した時には、オーラスを迎える賽子が振られていた。

心臓を叩く音が、どんどん高鳴るのを感じた。

オーラス、平場。
3着目の親の6巡目リーチ。
彼女は全く手になっていない。
慎重に降りる。
数巡後、開かれた親の手はリーチ、ツモ、七対子
トータル3位だった親が2着目に浮上したため、並びは更に磐石なものになった。

時間打ち切りがあるため、1本場が長引けば最終局になるだろう。

そして開かれたオーラス1本場_____


麻雀と言うものは、本当にプレイヤーを思い通りにはさせないものだ。
そこに至るまでの想いや過程に個人差があろうと、そんなものは麻雀に於いては一切、関係ない。
どれほど努力をして来ようが、どんなに良い選択をしようが、抽選に漏れてしまえばそこで終わりだ。

彼女もまた、その瞬間、そんな思いが過ったのではなかろうか。

ここまでやってもダメなのか…


_____早い段階でまたしても、親からリーチの発声。
私の立ち位置から、親の手は見えない。
彼女の手に、完全安牌という精神安定剤は一切無い。
かと言って、腹を括って突き進むような手でもない。
6000オールを引かれるか、12000を打ち込めば忽ちに彼女は、奈落の底へと転げ落ちる。

目を瞑って通りそうな牌を切り出していく。
胃が引き裂かれる思いだろう。

まだ2年目。
ギャラリーを背負い、牌譜を採られるような状況で、緊張するなという方が無理だ。
ましてや、数分後には優勝しているか否かというようなところで、だ。

でも彼女は、そんな状況でも背筋を伸ばし、今、自分が出来る麻雀を見せてくれた。


彼女と関わりのある方なら良くご存知だと思うが、自分の感情の赴くまま、後先を考えないで行動するところに危なっかしさを覚えるだろう。
思ったことは口に出てしまう性格だから、周りもヒヤヒヤすることが多々あると思う。

でも不思議と、彼女の周りには必ず、大輪の笑顔の花が咲く。

そんな天真爛漫な彼女だから、勝利の女神まで微笑ませてしまったのかな。


最後は流局し、時間打ち切りという形で彼女の優勝が決まった。
本当に、総ての展開に味方され、総てのものから愛されてる奴なんだな。


年を取るってのは良くないですね。
人前では絶対に泣かないと決めてる僕が、出来の悪い後輩のせいで目頭が熱くなるなんてね。


今日くらいは褒めてやろう。
良くやった!
おめでとう、裕子!

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悲願

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男は、簡単に人前で泣いてはダメ。
だから僕は、ある時を境に、人前では絶対に泣かないって決めてる。

今日、僕は、日本オープンの採譜者として会場にいた。
一番近くで、師匠の麻雀を見守ってた。


逆境を跳ね除けて、師匠は優勝した。


師匠は今まで、新人王戦、雀王決定戦、オータムCC、王位戦と、どれも決勝で涙を呑んできた。
そして、今日で実に5回目の決勝。
5回目にして遂に、悲願の頂点に辿り着いた。

初っ端に連続ラスを引いた時、対局者のレベルの高さから正直、『また今回もダメなのか…』という思いが湧いてきた。
そんな心配も他所に、本人は全く諦めてなかった。
合間には、いつもと変わらず冗談を言って明るく振舞ってた。

その後は、展開も味方して、連続トップで挽回しての最終戦。

こんな感覚は初めてだった。
牌譜を書く手がまるで、自分の手では無いような感覚。
頭が、体がフワフワして、書いてることが正しいのかさえわからなかった。

最後の局が終わり、勝ち名乗りを受けた師匠は、会場中の拍手を浴びた。
拍手が鳴り止む前に僕は、採譜ボードで顔を隠し、ギャラリーを掻き分けて人目のつかないところで呼吸を整えた。

出会って4年半、闘いの最後で見る師匠はいつも、悔しさを噛みしめる姿だった。

でも今日は、違う。

近付くと決壊しそうだから僕は、少し離れたところで煙草を吹かしながら、師匠を中心に作られた人の輪を眺めてた。

表彰式も終わり僕は、会場の片隅にある椅子に腰掛けて今日のことを一人思い返してた。
すると、師匠が近寄ってきた。

握手する手を差し出してくれた時、僕は、泣いた。
抑えてた思いが、止まらなかった。

この人についてきて、良かった。
この人の採譜者で、本当に良かった。


3月16日、師匠からLINEメッセージが届いた。

師匠『日本オープンの決勝の日は空いてるの?』

僕『空けてますよ!誰かの採譜のために…』

師匠『じゃあよろしく!』


いつも、「藤井君が採譜すると勝てないんだよなー」ってボヤいてる師匠。

それでも、選んでくれてありがとうございます。

今度からたまには、「藤井君が採譜すると優勝できるんだよ!」って言ってくださいね。


心から、おめでとうございます!







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