短歌結社 まひる野 ブログ

短歌結社 まひる野   つねに生活実感を尊重し、詩としての豊かな表現力を希求します。このブログでは、短歌結社まひる野会と会員の活動や作品を紹介しています。記事はすべて『まひる野』および他媒体から引用しており、著作権等は引用元の著作者に帰属します。

「まひる野」とは

まひる野会が発行する月刊短歌雑誌です。

誌名は歌人・窪田空穂の第一歌集『まひる野』に由来します。

1946年3月創刊の月刊誌で、会員の短歌作品や評論を掲載しています。

入会希望者には見本誌を送付しています。

見本誌や歌会見学を希望の方は、件名に「見本誌」又は「歌会見学」と記入、本文に氏名・連絡先等を記入の上、mahirunokai2010@gmail.com
までお問合わせください。折り返し連絡いたします。



「まひる野会」とは

1946年、早稲田大学国文科の学生を中心に、主宰窪田空穂主宰、発行編集窪田章一郎によって創設された短歌結社です。現在は代表篠弘、発行編集大下一真によって運営されています。主宰制ではなく、複数の選者による選歌体制になっています。

生活実感に即した、民衆詩としての短歌を大切にします。

論と実作の両立を目指します。


作品欄について

会員は作品I、作品II、作品III、まひる野集、マチエールの5つの選歌欄に分かれ、毎月10首まで投稿することができます。投稿した作品は選者による選歌と添削を受け、短歌雑誌「まひる野」に掲載されます。

作品I、作品II、作品IIIの選者は固定されておらず集団選歌体制をとっています。また、主にまひる野賞受賞者が所属するまひる野集は篠弘、若手歌人が所属するマチエールは島田修三が選歌を行っています。

作品I、作品II、作品IIIは基本的に入会年月日の順に掲載されます。作品II、作品IIIの優秀作品はそれぞれ「人集」「月集」に掲載されます。

新しく入会した会員はまず作品IIIに所属します。所属する選歌欄の昇格や変更は運営委員会において決定されます。


歌会とは

短歌作品を参加者間で相互批評する会です。まひる野会では東京・名古屋をはじめ、各地の支部で定期的に歌会を行っています。見学希望は対応可能です。事前にご連絡ください。


支部とは

支部は、北海道支部、ひろさき金曜会、青森十和田会、岩手支部、仙台支部、気仙沼支部、いわきサークル、群馬支部、千葉支部、習志野支部、さわらび会、長野支部、松本支部、水戸支部、川越支部、鎌倉支部、伊豆支部、木耀会、田無短歌会、あふりの会、相模サークル、富山支部、高岡支部、名古屋支部、近畿支部、萩支部等があります。



会費


会員は会誌代一期(6か月)分を前納します。

新入会員(作品Ⅲ)は一期6000円、

作品Ⅱ9000円

作品Ⅰ12000円です。

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青空の底突き破り地を撃ちしリトルボーイは八月の季語   上野昭男

 

 

南溟の果てこうこうと照る夜半の何ともわかず夢に立つ影   入江曜子

 

 

月末にいつも死にたくなるきみも老後のことを考えている   高木啓

 

 

言うことを聞かぬかぼちゃのつる叱る伸ばすばかりが能ではないと   山本吉成

 

 

宝くじ買いて神社へ立寄れば鳩は一斉に我を囲みぬ   山家節

 

 

細き道曲がりて登れば真実の眼で見ているウメバチソウの花   馬場有子

 

 

四拍と聴きてしなほす夕闇のせまる大社に頭(かうべ)を垂れて   岡野哉子

 

 

単身の家では掃除・選択がうまくできればそれもうれしい   福留義孝

 

 

部屋隅のざしきわらしは日の暮れをゲームにふける時に声上げ   西野妙子

 

 

山間の小さき橋をわたる汽車あんずの里に花咲ける見ゆ   野口民恵

 

 

街角の監視カメラに何となく笑顔を見せる後ろめたい日は   奥寺正晴

 

 

溝ができ溝うずまりて今日の卓隣家の猫の噂に笑う   立石玲子

 

 

うなりつつ満タンを告ぐ除湿機の水の重さに体力試す   牧坂康子

 

 

化粧水ひたすコツトンふくらみて私を潤すためだけに来て   塚田千束

 

 

父の忌の遺影に向かひ来し方を語りかけては冷し酒酌む   浜元さざ波

 

 

入居者の最高齢の百五歳患ふ我に頑張れと言ふ   今井百合子

 

 

空襲に公会堂の階段を駆け下り靴を無くしし彼の日   合志祥子

 

 

亡き父を連れて来たりし真珠湾ただそれだけの孝行なりき   新藤雅章

 

 

かなかなは摩文仁の丘に鳴きつづく沖縄悲し六月二十三日   諸見武彦

 

 

これまでに人に優しくできたろうか バスから見える街にさよなら   山田ゆき

 

 

納骨堂が見えてたちまち過ぐるまで心のなかで父に手を振る   おのめぐみ

 

 

やりたいこと見つかるといいね真夜中に食むアルフォートが喉に生む熱   佐巻理奈子

 

 

飼いもしない猫の呼び名を先に決め生まれる子の名いまだ決まらず   池田郁里

 

 

 

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打つ雨のやみて音なき夜半ならむ言葉を探す辞書の重たき   松本ミエ

 

 

曇る日の曇れるままに暮れゆきて何か忘れしごとくにさびし   秋元夏子

 

 

的のなき嫌がらせらし元センセイ闇に水路の水を落としぬ   久下沼滿男

 

 

どこの国の総理かと質す声のあり 長崎 獅子の如く湧く雲   森暁香

 

 

影にまで老躯と知れぬそれなりの背筋伸ばさむ杖はつくとも   貴志光代

 

 

ゆかた解き作り替へたる家庭着の木綿は涼し風を通して   重本圭子

 

 

八月の雨降り止まずアンパンマンの合羽を孫に被せる今朝も   広瀬加奈子

 

 

あなたには優しくしたし遠慮なく傷つけてゐし日日を思へば   鈴木尚美

 

 

病室の空に止まつて鳴く熊蝉どんなに鳴いても君は死ぬのだ   香川芙紗子

 

 

大口を開けたる形に貯金箱壊れて小銭を入れ易くなる   松山久恵

 

 

小松菜に紛れていたる蝶ふたつ畑に白き炎となれり   袖山昌子

 

 

雨の夜を灯りてやさし向う岸の合歓の花ばな淡くかがやく   稲村光子

 

 

寺の鐘おごそかに鳴る朝六時何処にいても目をつむり聞く   田上郁子

 

 

八十年過ぎし今日慰霊金支給五万円の五回払いで   小野昌一郎

 

 

目の覚めしわが耳元で「しまつた」とほざくな若き第一助手よ   大葉清隆

 

 

 

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おおいなる空とつぜんに現れてマンション建設予定地に月   富田睦子

 

 

画面から顔も上げずに次の道、渡つたら右に行くよと君は   田口綾子

 

 

マンホールで蓋すれど濁流音激し我も今そんな顔をしてゐる   立花開

 

 

照りつける西日の舗道に動かざるムカデが地表の紋章となる   田村ふみ乃

 

 

二年前サプリメントを馬鹿にした父の机に<しじみエキス1000>   広澤治子

 

 

ぞろぞろと孵化したように人群れは傘を開いて駅から散らばる   宮田知子

 

 

換気扇壊れトイレの窓開けるいつ入っても閉められている   山川藍

 

 

看板に言葉に街はくるおしく埋めつくされて きみを思えり   米倉歩

 

 

謝れぬ人らあつまり暮らすこの家に入りくる白雨の匂い   浅井美也子

 

 

ぽつねんといよいよなりてよばれたり梢という字は特殊だそうで   荒川梢

 

 

エデンの園の呪い限(き)りなしおはじきと孔雀の石と蒐めておんな   伊藤いずみ

 

 

いつの日か思い出となる日もあらむ吾子の手にぎりて中山図書館   大谷宥秀

 

 

歩けぬと言い張る姪を背に負いてアピオスの花嗅がせてやりぬ   小原和

 

 

工事のためぬるくなりたる水道水雨の降る日はわずかに冷えおり   加藤陽平

 

 

豚ロース塩麹焼き 縞ホッケ 茄子のグラタン 読んでいるだけ   北山あさひ

 

 

成長についていけない父親と子にも等しく花火は上がる   木部海帆

 

 

幼子が「ミサイルマン」と呼ぶ人は迫真の菅官房長官   小島一記

 

 

われを抱く腕二本の空間にかつて妻とうひとの香りす   小瀬川喜井

 

 

着ては脱ぎ脱いでは着るをくり返し人となりゆく秋のいきもの   後藤由紀恵

 

 

夕焼けのようなる黄身か 黄身のようなる落日か 甘く重く落つ   佐藤華保理

 

 

音がひとを弔ひやまずきらめきを散らしながらに鳴る爆竹の   染野太朗

 

 

 

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水銀を不老の薬と信じたる人を笑へるものは笑はる   加藤孝男

 

 

ブラウスをはみ出している若葉見ゆ中学生のうしろをゆけば   広坂早苗

 

 

落武者狩りに遭いしか末枯れたる美濃の青野ヶ原のひまわり   市川正子

 

 

万年筆のインク乏しくなるままに手紙書きつぐ夏祭りのこと   滝田倫子

 

 

毒杯を人に返して子を負ひてひた歩くとぞその大夏野   麻生由美

 

 

戦ひに果てにし人名列なれる碑面に蝉の鳴きしぼる声   寺田陽子

 

 

睡蓮の咲けば思ほゆつひとなる逢ひとは知らず笑ひあへるを   小野昌子

 

 

祭壇に供えられたるマンゴーの甘き香りに寝苦しき日々   高橋啓介

 

 

回天という人間魚雷ありき海底に遺るやあまたの棺   齋川陽子

 

 

隣家へ回覧板を持ちゆけば垣越えてわが紫陽花盛る   齊藤貴美子

 

 

二十隻あるいは三十動くゆえ数えきれない白きヨットを   松浦美智子

 

 

いつしらに支ふるよりも支へらるる季となりしか梅雨空の病窓(まど)   升田隆雄

 

 

別れたるのちは一人となることの当然として母の墓ある   久我久美子

 

 

箸を持つボタンを留める紐を結ぶひとつひとつにわが指添えし   柴田仁美

 

 

夕ぐれの暗む御堂に如来像あふぎて深く吐息つくひと   庄野史子

 

 

難病の人に寄り添ふオリヒメといふ名の丸き顔のロボット   西川直子

 

 

頭よりストール巻きて肩かくしバングラデシュの女は取らず   中道善幸

 

 

触れそうで遂に触れざる赤蜻蛉(あきつ)群れて私をからかっている   小栗三江子

 

 

海亀の産卵のごと苦しむや製氷室へとこおり音立つ   岡本弘子

 

 

七厘に風をあげれば木炭が「むかしむかし」の森をささやく   吾孫子隆

 

 

 

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洗濯物さきほど干していま見れば妻が直してただしく下がる   橋本喜典

 

 

海を見てはぐくまれたる岬馬(みさきうま)通りすがりのわれに寄りくる   篠 弘

 

 

交尾のこと結婚と言うは間違いぞ 夏休みこども科学相談   小林峯夫

 

 

乱暴に抱えて走れば笑うゆえ三度も孫を抱えて疲れず   大下一真

 

 

子の齢と同い齢なる躑躅あればいかに可愛ゆく水は遣りけむ   島田修三

 

 

ユニクロのTシャツうしろまへに着て何事もなし夕陽が沈む   柳宣弘

 

 

ご子息は独身ですかといふ電話去年も十年前にもありき   中根誠

 

 

柿、蜻蛉(あきつ)朱を深めゆくこの秋の「喜怒」を思ひて「哀楽」忘る   柴田典昭

 

 

直線のゆきかう東京みおろして人の目あまた寂しむごとし   今井恵子

 

 

麻薬なる痛み止めいくつ飲み合わせ四十一度をうつしみは越ゆ   高島光

 

 

猫多きマンションの朝登校に「モモにゃん」と呼ぶ少女の声す   伊東ふみ子

 

 

兄弟のなかより選ばれ墜とされしつばめ光れり淡き灯の下   曽我玲子

 

 

どの骨がお父さんのものか判らないみんなお父さんと思って拾うと   佐藤鳥見子

 

 

花びらも散ればゴミのようなもの呼んでも戻らぬ人はもどらず   すずきいさむ

 

 

わたくしは何れ祖霊となるでせう影絵のやうなひとりの夕餉   大野景子

 

 

原爆忌敗戦忌過ぎゴジラめく雲立ちあがる午後の西空   大林明彦

 

 

プリーツ加工のような記憶が語られて暑い八月の日が過ぎてゆく   伊東恵美子

 

 

浅草の路地に迷いぬ今わたし何処に居るのとスマホに問へり   齊藤愛子

 

 

 

 

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麻生由美第一歌集『水神』(砂子屋書房)の批評会を開催します。

 

 

【日時】    10月7日(土) 13:30~17:30

【会場】    貸会議室 内海 101号室(水道橋駅西口徒歩1分)

          東京都千代田区三崎町3-6-15 東京学院ビル1F

【会費】    1500円

【パネリスト】 内藤明(音)、鶴田伊津(短歌人)、北山あさひ(まひる野)、今井恵子(まひる野、司会兼)

         ※敬称略

 

参加を希望される方はmahirunokai2010★gmail.com (★→@)までご連絡ください。

また、批評会終了後に懇親会を予定しております(会費5千円程度)。参加ご希望の方は併せてご記載ください。

 

 

布団には黒びろうどの衿ありて重きものほど温かかりき

魂がぽとりとそこにあるやうな月夜の猫に手を触れにゆく

 

 

『水神』は砂子屋書房さんのホームページから購入することができます。この機会にぜひお読みください。

 

みなさまのご参加をお待ちしております。

 

 

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第62回まひる野賞は、大内德子さん『メビウスの道』、浅井美也子さん『しまいゆく夏』に決定しました。掲載された30首からいくつかご紹介します。

 

 

『メビウスの道』   大内德子

 

鯖色の海のやうなるさびしさの夫の眼に目薬おとす

 

首の根にホットパックをしてやれば眠る他なき顔のさびしさ

 

目も耳も鼻も口はもある石を掌にとりて見る潮騒の海

 

はじめから位置の定まる雛飾り見つつ恨めし口にはせねど

 

車椅子押されて戻る下向きの夫にさくらの花ふぶきせよ

 

 

 

『しまいゆく夏』   浅井美也子

 

足たかく掲げ寝がえりする吾児のえがく半円きょうから夏だ

 

楽しいといわねばならぬ幼な児と公園に砂の山つくりゆき

 

柔らかきところ磨り減るわが体にああこんなにも低き声でる 

 

私が、あなたの母であることに大きく赤く×(ばってん)をうつ

 

大丈夫と問いあいながら過ごしいるまだ安定期に入らぬ家族

 

 

 

大内さん、浅井さん、おめでとうございます。

 

 

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まあ所詮思い詰めても会社だし会社が会社に領収書切る   高木啓

 

 

春昼は時に淋しもあてもなく街の雑踏に紛れゆきつつ   松本いつ子

 

 

あと一分待てぬ脱水いらつきて父の血筋は随所に現る   山家節

 

 

見よがしにカールビンソン移動するおやき食みつつTVに見おり   菊池和子

 

 

ほんのりと桜色へと変化した子どもの頃のカラーの写真   杉本聡子

 

 

思い出をこのままにして手放すや外階段の錆を撫でいる   瀧澤美智子

 

 

「天皇賞キタサンブラック一着」と時間をかけて母は書きたり   おのめぐみ

 

 

お互いの言い訳ばかり聞いていたメロンソーダの泡消えるまで   棚橋まち子

 

 

新しき子供の自転車競ひ合ひ五月の光を放ちて走る   茂木久子

 

 

サルビアの紅き花びら零れても競り売り続く花市場かも   打田剛

 

 

とおくより見れば塊 掴んだら粘土みたいだろうなあの河馬   佐巻理奈子

 

 

窓口で詐欺ではないかと問はるるも老婆は怒りて目を剥きてをり   小嶋喜久代

 

 

もう少し褒めればよかった庭中の草をひいたと自慢する母を   黒澤玉枝

 

 

公園に雑布をもつ人に会ひ椅子拭く仕事あるを知りたり   谷蕗子

 

 

試着してくるりと回るワンピース想い出のなかのわたしに帰り  伏島佐恵子

 

 

鯛飯をうましとうから喜べば我もよろこぶまだ役に立つ   塙宣子

 

 

ろうそくの灯りちりちり乱れ燃ゆこれはあやしと目をこらし見る   荒岡恵子

 

 

玄関の靴がどんどん減ってゆく孫が履いては裸足で戻る   服部智

 

 

出がけには洋傘さして帰りには忘れて帰ることの度々   平澤照雄

 

 

父と次男些細なことに口論し止めに入りし長男巻き込む   小野喜美子

 

 

思い出の一つとなりき秋の陽にだいこん洗う母の背中は   野口民恵

 

 

母われがすべてであった頃の子の泣き顔今も目に浮かぶなり   野田珠子

 

 

しやうしやうと髪梳く音もいつか絶え桜の闇に山姥眠る   津幡昭康

 

 

ユニゾンのギターのように白球を追いかけていくレフトとセンター   山田ゆき

 

 

あざやかな羽をしづかに零しつつ孔雀おまへは誰を愛すか   塚田千束

 

 

普段より弾かぬくせしてもうピアノあきらめようと火傷を見やる   池田郁里

 

 

 

 

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干し柿の一連猿に盗られしが伝はり村中ひと日明るし   松山久恵

 

 

在満の印象なりや酔ひ来ればアカシアのこと大連のこと   塚澤正

 

 

かじか鳴く白き岩間に澄む水の底ひの碧さ胸さはぐまで   秋元夏子

 

 

うっすらと埃を置きたる仁王像春来る鬼を千年待つや   宇佐美玲子

 

 

狼の序列厳しく傍らで水場空くまでビクターの犬   矢澤保

 

 

素直なる心にあれば降る雪の白さに何のとまどひもなし   松本ミエ

 

 

朝露に濡れし虎杖の葉の先に白蝶一つ翅たたみおり   大山祐子

 

 

花見客が浮かれておりぬその近く農老一人畦を塗りおり   木本あきら

 

 

終日を籠り夕べに聴くラジオ明日の強まる雨を言うなり   正木道子

 

 

幼き日の姪の面差し様々に並ぶ仏に見ゆる不思議さ   佐藤正光

 

 

若き日のメーデーの棘は消え去りて祭りのごとき五月祭(メーデー)今日は   大葉清隆

 

 

山藤の紫しだるる隧道の真闇の中に吸はれ入りたり   辻玲子

 

 

老い母の白き和毛(にこげ)を指に持ち鋏入れたり 光り落ちたり   青木春枝

 

 

年輪を今年も重ねて春山の松の新芽がつくつくと立つ   横川操

 

 

十五年前の梅干出で来たり風味風格うめぼし婆さま   重本圭子

 

 

白百合を柩に入れて友の鼻人指し指で一寸弾きぬ   苔野一郎

 

 

人生の練習かしら幼な児がバイバイをするこころよりする   貴志光代

(※「バイバイ」に傍点)

 

 

 

 

 

 

 

 

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完解は完治にあらず紫のアヤメは黙ってゆうらり揺れて   大谷宥秀

 

 

白熱灯のような肋骨真夜中のPC画面に浮かびあがりぬ   小原和

 

 

紫陽花の花毬ついて遊ぶ手をふいにつかめば雨の匂いぬ   浅井美也子

 

 

生成り色に明朝体で刷られてて読めた気がする古い歌たち   荒川梢

 

 

目玉焼き焼いたらちょうど真ん中に黄身くるような幸せ 破れる   伊藤いずみ

 

 

今日風呂に入るは私と母のみと思えば何やら心中めくなり   加藤陽平

 

 

さるの子の額に春の陽はとどく君には君の野生あるべし   北山あさひ

 

 

こもりうた歌わなくなっても少年のゆりかご揺れて夜映しだす   木部海帆

 

 

悲しみは涙ばかりが示すとは限らず時折液体の笑み   小瀬川喜井

 

 

はじまりはまず神が手を差し伸べてあおきスラヴもそらみつ大和も   後藤由紀恵

 

 

空にかえるころもはなけれウェス2枚に排水口の油をぬぐう   佐藤華保理

 

 

大宰府にわが祈るべき何もなくゆつくりと、ゆつくりと頭(かうべ)垂れたり   染野太朗

 

 

初冬の浴槽みがく 水が揉む私といういつか消えてしまう影   立花開

 

 

月光がつぶさにさらす床の瑕動線みじかき二脚の椅子の   田村ふみ乃

 

 

夏至という響き濁りてあかるきを四十代と思う 夕映え   富田睦子

 

 

矢澤さんも晴れ男だと知らされて気分も晴れだアクセルを踏む   広澤治子

 

 

木漏れ日が波の揺らぎのように君の後ろ姿を遠ざけている   宮田知子

 

 

出勤簿ファイルに押した山川が市川さんの来年につく   山川藍

 

 

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