『大丈夫、治るよ。若いから。』


 俺はこんなこと言われても何も嬉しくなかった。


若けりゃ治る。そんなもんやないとわかってたから。


若い方が有利やけど、そんな次元のもんやないとわかってたから。


そんな軽い言葉は慰めにもならんかった。


俺が事の大きさを一番理解してたから。


周りがあまりにも着いてこれてなかったので、苛つくことが多かった。


着いてこれてんのはたぶんオトハンだけやった。


今は家族はだいぶ追いついてきてるんで、苛つくことはなくなった。


家族に脳卒中の人がいるとき、患者とその他の人の意識のズレが少ない


方が患者へストレスを与えなくてすむと思う。


難しいことやな、どこまで考えてるンかなんてわからんもんな。


俺はいろいろ考えて、先まで見すぎた。周りが着いてこれるはずもない。