誇りを失った豚は、喰われるしかない。

イエスはこれを聞いて言われた。
「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」
(マルコによる福音書2章17節)


テーマ:
筆者自身の体験を基にした、ネットバブル期の

証券会社を舞台にした経済小説です。個人的には

主人公の田中達也とかなり似たような経験を

したことがあっただけに、読んでいて非常に身に

つまされる思いがいたしました。






著者の伊東良氏の経歴を紹介させていただくと

『福岡県生まれ。バブル期の証券会社に入社。その後、

調査会社、IRマガジン「ジャパニーズインベスター」

副編集長などを経て、公開企業の投資家向け広報(IR)

担当などに従事(「BOOK著者紹介情報」より)』

だそうで、本書は筆者自身の体験を基にした、

ネットバブル期の証券会社を舞台にした経済小説です。

本書を受け取って500ページを超える分厚さに

「コレを果たして期限内に読みきって感想を書ける

だろうか…。」

と若干危惧感を抱きましたが、それは幸か不幸か

当たってしまい、ギリギリで読み終えて感想を

書いております。

証券会社でセールスにいそしむ主人公、田中達也を

軸に同じ大学のゼミの後輩で新聞記者を志望し、

N新聞社への就職を目指す南優子。会社の上司である

滝口課長や、後輩を苛め抜く「デブ」を陰口を叩かれる先輩。

自分を慕う後輩などを軸に物語が進んでいきます。

現在はネットの普及によって証券会社と個人投資家の

情報格差は(ある程度)縮んできてはいるものの、本書の

舞台となっている当時はまだ、旧来の電話セールスが

メインで、僕は本書に書かれていることの一部分を

(証券ではなく商品で)経験しているので、ページをめくりながら

当時の記憶が甦り、

「あぁ、僕はなんと罪深いことをしていたのだろうか…。」

と悲嘆に暮れる一方で、

「おそらくもう二度と会うことは無いだろうし、仮に会ったと

しても会釈すら交わさないであろう当時の同僚や上司は今、

何をしているのだろうか…?」

というなんともアンビバレントな思いに引き裂かれていた

ことは正直、否定できません。

そんな田中の運命を変えルきっかけとなったのは

先輩である坂口の死であり、彼の死後の話を

読んでいるとつくづく

「人は二度死ぬ。一度目は肉体の死、二度目は人々の

心から忘れ去られたとき。」

という一文を思い出さずにはいられないもので、

切なかったです。

自分のノルマを達成するために、また自分を苛め

抜いていた「デブ」先輩を見返すために会社から

割り当てられた推奨銘柄の株や投信を売るために

なりふり構わないセールスにいそしむ田中。その

合間合間に彼の中学時代のエピソードが挿入されて

いるわけですが、そのときに経験したことが彼の思考や

行動に決定的な影響を与えたことがうかがえます。

クライマックスで田中は会社の方針に逆らって自らの

「相場観」に従って推奨銘柄であるはずのH通信の株を

顧客である「野々山老人」に「空売り」することを提案し、

それが上司である滝口課長にばれ、「踏み絵」を迫られる

場面ですが、悩んだ末に彼が自らの「信念」に従ったことが

暗示されております。

個人個人は良い人であっても、乗っている船が海賊船

であり、その乗組員であれば人は構造的な悪に

取り込まれてしまう―。本書は個人と組織の「相克」と言う

普遍的なテーマを扱いつつ、「あのころ」の証券市場に

おける赤裸々な「内幕」を白日の下に曝したもので

あるといえます。




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