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題詠マラソン鑑賞 006:自転車

2007年01月08日(月) Theme: 題詠100首2006鑑賞

題詠マラソン鑑賞 006:自転車


自転車=学生≒二人乗り

というような歌が多かったかなぁ、と思います。全体を見て。

自転車って学生の間しか乗らないのかな、やっぱり。(一応、学生やってる真っ最中ですが)


向かい風小径をぬける自転車にきっと見えないたてがみがある/小軌みつきさん

http://d.hatena.ne.jp/okimituki/20060303


小径、だからきっと、細くて狭いまっすぐな道でしょう。

馬では走れないかもしれない。馬は草原や森を走り抜けるのだから。

私たちは草原や森といった風景を失ってしまったけれど

かわりに自転車で、まだ、跨って走り抜けていたころの感覚を味わっているのかもしれません。


翼竜の死に絶へしのち自転車は折り畳まれてロッカーにある/村本希理子さん

http://baraduki.fruitblog.net/?4444d4df9deca


小軌さんの歌は、自転車が野性を思い出させるものだったけれど

これもまた、失われた野性を見ることができる歌だと思います。

自然を感じることができる鍵があったとしても、ロッカーにしまえるほどあっけない。しまっていれば、感じられない。

大空を連想させる「翼竜」から「ロッカー」への着地は

突然にロッカーの戸が閉まる音、色が強調されるような気がします。


液晶化していく日々を欲望の自転車ぎりぎり漕いで、振り切れ/あおゆきさん

液状化ではなく「液晶化」とは不思議な言葉です。
液体なのに結晶が規則正しく並ぶ、そんな状態でしょうか。
安定しないのに、抜け出せないようながちがちした気分を「欲望の自転車」で、振り切る。
自転車を自分で漕ぐことで、「液晶」から抜けだそうとする感じ。濁音が効いていると思います。

植木鉢ひとり前カゴにすわらせて自転車でゆく森林限界 /やすまるさん

森林限界まで自転車で。植木鉢「ひとり」と一緒に。
森林限界より向こうでは、樹木が育ちません。そういう気候だから。
でもわざと、植木鉢と挑戦しにいくのでしょう。
「ひとり」「すわらせて」がとても自然。
たどりついたとき、植木鉢はどうなってしまうんだろう。
やはり気候に負けて枯れてしまうのか、それとも。

壊れてるカゴの音からすぐわかる だから自転車直さずにいて/丘村トモエさん

あうー。
私にもこんな時期があったなぁ(しみじみ)。
こういう経験、したことなかったらわからないかもしれないけれど、
目だけでなく、五感の様々なものが
近づいてくるのが誰なのか、ある特定の人、なのかを
必死に選りわけようとしていることがありました。(過去形)
…こ、これは私の個人的な回想では…。ごめんなさいっっ。


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題詠100首鑑賞 005:並

2006年12月29日(金) Theme: 題詠100首2006鑑賞

題詠100首鑑賞 005:並


みなさんが並べるものはすごいなーと思って見ていました。

いろいろなドラマがあって、素敵。


温もりは並べた肩をくすぐって三歳ふたりふつふつ笑う/内田かおりさん

http://shinkaigyo.wablog.com/10.html


ふつふつ、が好きです。

平和で穏やかなぬくもりってこういうことでしょうか。

ふたりは友達かな、とも思ったんですが、双子のきょうだいならよりかわいい。

ふたりのことを見ている作者の視線こそ、温かいと思います。



いっせいに目をつぶり手をあげた子が集まってきた並木の役で/瀧口康嗣さん

http://cascadekaskade.blog53.fc2.com/blog-entry-15.html


何に手をあげたのだろう。

集まってきた子どもたちは、並木の役なんて本当はしたくないのに

群がってきているようです。(だって並木の役だし。偏見?)

だとすれば本心を偽っているわけで、

小さな子どもたちが、切ない存在に見えます。「並木の役で」って終わり方がいいなぁと思いました。


お父さんいつ死ぬのかと問う息子 ベンチに並んでお茶を飲む春/折口弘さん

http://blog.goo.ne.jp/frontflug/e/f69d5ed8bf8963ba4555514da1429af1


全体に流れる空気が、さりげなくて、ゆったりとしていて、どこかぴんと張っている。

いつかきかなくちゃ、って「息子」も思っていたのでしょうか。

優しい着地のしかたで、ずっと余韻がのこっています。

「ベンチに並んで」の距離感が効いていると思います。


二人してイチョウ並木に溶け合って冬眠したい夜があります/まほしさん

http://mahoshi.blog27.fc2.com/blog-entry-89.html


「イチョウの木」ではなく「イチョウ並木」だから、二人は少し離れているのでしょうが

でも、やっぱり「一人で」とは違うのでしょう。

冬眠したいね、うん、春まで眠っていたい。

全部葉を落としたイチョウの木にそれぞれなって、また、春に出てきましょう。

ずっとあたたかい気持ちのままでいられる気がするから。


よしぎゅうで並んで並を食べてたらぱたぱた涙が出ちゃったんです/遠藤しなもんさん

http://cinamonwaffle.blog44.fc2.com/blog-entry-9.html


並んでるのは、知ってる人とかではなくて、

たまたま他人が「並」を頼んでて、気がついたらそんな人ばかりになってたんでしょう。

ぱたぱた。

どうしようもなくとまらなくて、食べるしかない。

具体的にかなしいわけではないのに。

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題詠マラソン鑑賞 004:キッチン

2006年12月29日(金) Theme: 題詠100首2006鑑賞

題詠マラソン鑑賞 004:キッチン


このお題は思い出がいろいろあります。

人それぞれにたくさんのキッチンをかいま見ました。

また、鑑賞じゃなくて単にぶつぶつつぶやいているだけです。ごめんなさいね。


はかるものはかられるものはかってはいけないものが囲むキッチン/おとくにすぎなさん

http://blog.goo.ne.jp/sugina-musicland/e/382f8900cb549375134e93b5096dc0a8


なんだかこわい雰囲気を持つ歌だと思います。でも、そこが魅力。

はかってはいけない。数値にするのでもされるのでもないもの。数値であってはいけないもの。

数値とそうではないあいまいなものたちに囲まれた空間で

人は何をつくるのだろう。


もうなにも切るものがないキッチンに水道水がぽたぽた落ちる /みち。さん

http://run.funky.gonna.jp/?eid=171019


どこに向ければいいのかわからない気持ちをもてあまして

水が漏れる音をきいている、それほど静かなキッチンです。

たぶん、本当に切らなきゃいけないものはわかっているけれど

そこまで踏み込めなくて、後戻りできなくなったという感じ。さあ、どうする。


キッチンにドミノを並べる妖怪がいてローソンへゆけない春夜/市川周さん

http://blogs.dion.ne.jp/shirohi/archives/3113762.html


妖怪がしたことなんだから、ドミノを踏み荒らしちゃってもいいのに、できないんです。

24時間営業の店に逃げ込みたいのに、行けない。

妖怪なんていないよ、って言われればそうなのかもしれないけれど

少なくともこの主人公にははっきり「みえてる」と思います。

逃げるの、ここにいるの、どっちなの、ってきかれてるみたいだ。


キッチンを電車が通過いたします春は夕暮れみんなみなしご/なかはられいこさん

http://blog.goo.ne.jp/reiko0410_2006/e/049333cc6d29e6c7735312d8a9acc211


キッチンでできるのは、通過を待つことだけなのかもしれません。

乗り込むことはできなくて、

ひとりぼっちで、誰かがきてくれるのを待っています。

夕方、あたたかい湯気のかわりにけずられていく何か。


キッチンの向こうの海を眺めてる ボトルメールを待ちわびている/あみーさん

http://blog.livedoor.jp/ammy/archives/50563847.html


キッチンの向こうの海、は「キッチンの窓から見える海」が自然かもしれませんが

「排水溝や水道からつながる海」をキッチンを通して見ている、のかなぁと思いました。

自分から流すのではなく、

誰かが流したものを待つだけ、の静かな姿勢が好きです。


平和なキッチンは意外と少なかったようで

どこか屈折したキッチンを多く見た気がします。あ、私が選んでるだけなのかも(汗)



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題詠マラソン鑑賞 003:手紙

2006年12月28日(木) Theme: 題詠100首2006鑑賞

題詠マラソン鑑賞 003:手紙

「手紙」でよかったなと思うものを選んでみました。

トラックバックさせていただいてます。

手紙、っていってもいろんなイメージがありました。


あなたから届く楽しいことだけをうまく選んで書かれた手紙/ドールさん

http://fairydoll.exblog.jp/2776237


ああ、強がってるんだな、ってわかってしまうくらい、

相手のことを知っている。

強がってくれるほど、心配をかけたくないって思ってもらえている。

それって、嘘だと言えばそうだけど、

逆に言えば、信頼の証なのかもしれません。


菱形に折られた手紙をほどきゆくときめきに似てそこまで春が/五十嵐きよみさん

http://daiei100.exblog.jp/1050846


手紙を折るのは、中学生みたい。

春という言葉のせいか、制服が似合う歌だと勝手に思っています。

もらったばかりの手紙をひらこうとする、あの、かさりと音がするとき。

手紙を渡しあっていたころのことが、指先まで思い出されるようでした。

書きかけの手紙のごとき生なればいかに結ぶや遥けき朝に /ねこまた@葛城さん

http://kamunagara.exblog.jp/1019401


手紙のように生きることができるのは、幸せかもしれない。

私自身が誰かに向けられた手紙なら、誰に送ろう。

なんと結びの言葉を書けば、まとまるだろう、相手は読み返してくれるだろう。


きもちわるい私の部屋がきもちわるい手紙ばかりで埋めつくされる/西宮えりさん

http://blog.goo.ne.jp/andrew865/e/4596303d140bc73ee358ecd50512110a


がつーん、ってきました。(すごくポジティブな意味で)

きもちわるい手紙は「自分が書いたけど出せなかったきもちわるい内容の手紙」ってことかなぁと思ったんですが

補足を読むと、「届いたきもちわるい手紙」なのですね。すごい迫力。

口に出して読むのが一番いい気がする、リズムがあると思います。


書けなかった手紙のような鳥が来てわれの骸をついばむだろう/そばえさん

http://blog.goo.ne.jp/sobae/e/a7e3721388a35c0311628a8ba63b7c15


「書かなかった手紙」ではなく、「書けなかった手紙」のこと、

死んでも、追いかけられるような気がする。

誰にでも、書けなかった手紙はあるのかもしれません。

骸をついばむほどの、大きな鳥となって。


なんだか暇がなくってあんまり書けなかったなー、鑑賞。

もうちょいがんばって書きたいと思います。うぅぅ。


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題詠マラソン鑑賞 002:指

2006年11月11日(土) Theme: 題詠100首2006鑑賞

題詠マラソン鑑賞 002:指

「指」は雰囲気のあるものが多かった気がします。

素敵だな、と思ったものがたくさんありました。


勝手な感想をつらつら書いています。

はからずも、最初の二首は「指」と「ことば」の歌。



うしなったことばを語る笛があり小さな指が付属している/arukaさん

http://sleepingarea.seesaa.net/article/14006221.html


人が笛を所有するのではなくて、

笛に「指」が付属している、という視点がおもしろいと思いました。

ことば、は、人が発する音声だけではなくて、

笛の音色だとか、そういった何かを表現する様々なものが「ことば」になり得るのかもしれない。

言語よりも、時としてそれは雄弁。


幾億の言葉を秘匿する指とたった一語を洩すくちびる/なかはられいこさん

http://blog.goo.ne.jp/reiko0410_2006/e/47255814342f36c06239af37ab5c9f46


くちびるからは、たった一言しかいえない。

たくさんの言葉があるのに、それは、隠されている。表現できない、もどかしさ。

「指」と「くちびる」の対比がいいなぁと思いました。

ちなみに、

「秘匿」「指」「くちびる」から、秘密にするとき、人差し指をくちびるにあてる仕草を思い出しました。


行き先を間違いあった糸たちが導かれてく織姫の指/秋野道子さん

http://melas.cocolog-nifty.com/melas/2006/03/002_8c38.html


行き先を間違っても、

織り姫が美しく織ってくれるのならば、救われる気がします。

間違った者たちが、傷をなめ合うように集まるんじゃなくて、きれいに生まれ変われるから。

うまくいかなかった恋も、どこかで、人の役に立てているのかな。

そんなことは少ないかもしれないけれど。


中指の付け根の白い傷跡の痛みを思い出せないでいる宵/新井密さん

http://araimitsu.exblog.jp/632120


忘れてはいけない痛みがあるような気がして

忘れてしまいそうになる自分を責めること。

じいっと傷跡を見つめているのでしょうか、不思議な雰囲気です。

普通には、あまりつかない場所にある傷の意味は自分だけが知っているのに

痛みそのものを思い出せない。



えーと、鑑賞は試行錯誤中です。

リンクのしかたとか、こういうふうにやったほうが楽なのね。ふぅ。

今回はみなさんのブログにコメントしにいけませんでした。すみません。トラバのみで失礼します。

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