ついに

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自宅で愛用しているHDD&DVDレコーダーが壊れてしまったかもしれない。


これは元夫が約4年前、発売と同時に欲しがって買ってきたものだった。

離婚する時に、元夫は古いこいつを私に押し付け、

自分は親の金で最新のHDD&DVDレコーダーを買っていた。


『元夫が買ったもの』


ということだけで憎々しいと思ったこともあったが、

せっかくこうして私のところに来てくれたのだから、と思えてからは

どれも大事に使ってきた。


ところが1週間ほど前から、

HDDに録画した番組をDVD-RAMへ移そうとすると


「データ移動に失敗しました。ディスクが汚れている可能性があります。」


とエラーメッセージが。

レンズクリーナーなど、思いつくことは全部やってみたけど、何も改善されず。

たしかに、半年くらい前からDVDレコーダーのあたりが調子悪かったけど。


買い換えなくちゃいけないのかな。

もう、ボーナスは使える範囲で使ってしまったのに。


_| ̄|○



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自分のことを、本当にちっぽけな人間だなぁと思ってしまうことが、
最近特に多い。



毎日遅刻してくる同僚にイライラする。


毎日のように「遊びに行こうよ」と誘ってくる社長にイライラする。


PJリーダーのくせに自分が一番と思っているから、
チームメンバーを叱咤激励することができない人にイライラする。


女のオーラを出しまくる先輩にイライラする。


まったく初めての分野の仕事で丸投げされて、
せめてアウトラインだけわかっていたらこんなに苦労しないのに、と
丸投げしてくる人たちと要領の悪い自分にイライラする。



そんなようなことを、久しぶりに電話をかけてきたおねぇに愚痴った。


おねぇもここ最近、同業他社が業務停止をくらったおかげで、
いらぬ仕事が増えて首がまわらないんだと、ため息をついていた。


おねぇは少し呆れた調子で、私に言った。


「ムカつくやつは、みんな社長だとか重役だとか思っておけばいいのよ。
 懲りずに口説いてくる社長も、うまく騙し騙しやっていくしかないのよ。
 その会社に残るって決めたんなら、腹括らないとね。
 小さい会社ってそんなもんじゃないの?あんたが変えることはできないわよ。
 たとえばここで嫌だと言って辞めたとして、運良く他の会社に入社したとして、
 同じようなストレスがないなんていう保障はどこにもないのよ。
 私だって、今まで嫌なやつやうんざりするやつなんて、たくさんいたわよ。
 逆に、気の合う人を見つけるほうが無理。ましてや仕事ではね。
 仲良しクラブをやりたいんだったら、仕事以外でやればいい。
 どうしたのよ。
 まっこは子供っぽいところもあるけど賢い女なんだから、
 あんたならきっとできるわよ。やってみなさいよ。」




さらに、昨日仕事中に真治さんに言われたのが、こんなこと。


「当たり前のことをやるのは、仕事って言わないの。
 そういうのは『作業』って言うんだよ。
 何も知らない、新しいことを始める時のわくわくした気持ち。
 何も知らないことを始められるって、実は幸せなことなんだよ。
 それに気付かない奴のほうが多いけどな。
 まっこさんは頭の回転速いし空気も読めて気が利いて、
 しかも空気を和ませるセンスもある。と俺は思ってる。
 唯一の弱点は、仕事となると途端に真面目なところかな。
 仕事に遊び心が必要なこと、頭ではわかってるんだろ?
 もう少し心にゆとりを持って、仕事を楽しめばいいんじゃないの?」




自分を認めてもらいたい一心で、この3ヶ月はがむしゃらにやってきた。
自分でも、くだらないプライドだよな、なんて思いながら。


それなのに、仕事以外のところでイライラすることがあまりに多くて、
最近は失速気味だった。
仕事に対する意欲が、空っぽになる寸前だった。



おねぇと真治さんの台詞に、すごく救われた。


言葉のちからって凄いな。

もう、大丈夫な気がする。




しかし、真治さん。


今回のこの台詞といい、仕事っぷりといい、惚れ惚れするほどいい男。
それなのに、妻子もちってのがイタイ。


私くらいの年齢になると、いいなぁこの人って思っても、
妻帯者かバツイチか冴えない独身かモテ男な独身貴族、
の4種類しかいないのよね。


_| ̄|○



こういういい男に出会うと、負けてられない!と思う自分がいる。


いつまでも、女であることに手を抜かずに切磋琢磨しないといけないな。



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終わり

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今月入社のおばさん(といっても私と6歳しか違わないのだけど)に
私が今までやっていた事務作業を引き継いでいる。

しかしこのおばさん、文句と不満と小言しか言わなくて、一緒にいるとうんざりしてくるし、

ちょっとしたことですぐ聞いてくるから、何より自分の仕事に集中できない。


金曜日までに仕上げる目標だったSurvey sheetが結局半分も終わらなくて、
仕方なく昨日、休日出勤した。



土日は、そのおばさんも居ない。
静まり返ったオフィスで、のんびりと自分の作業に集中した。



鬱陶しいと思う人は、会社に何人かいる。


そのうちのひとり、社長が私の顔を見て開口一番、

「今日、まっこさんが休日出勤するって利成に話したら、
 会って話したいことがあるから、仕事終わったら電話してって言ってたよ。」

と言った。


そう、利成くん(仮名)とは社長繋がりで、
たまに顔を合わせなくてはならない場面がある。


「利成と何かあった?
 困ったことがあればいつでも相談して。まっこさんのためなら何でも協力するよ。」


社長も、私が入社してすぐの頃から、
私を口説き落とそうとやっきになっているひとりだ。


会社で面倒なことは起こしたくない。
男女の問題なら、尚更だ。


私を紹介した先輩は、すでに社長とセックスをする仲だ。
同じ職場の男とよくそういうことができるなぁ、といつも感心してしまうのだけど、
It's none of my business. である。


でも、社長が私に仕事のことで話しかけたりちょっかいを出すたびに、
先輩は女のオーラ出しまくって、モノや周りの人間にあたる。


同じ女として、見ていてどうかと思うけど。
つい、自分を抑え切れずに、冷ややかな目で先輩を見てしまう。



本当に、いろんな人が居る。
ドラマの中だけの話かと思っていたことが、現実に私の周りで起こっている。
勘弁してほしい。



そんな中、唯一私の心のオアシスになっているのが、
B型の40代男性、真治さん(仮名)。


B型の人は基本的に苦手なのだけど、
この人は、おねぇに次ぐ2番目に平気なB型である。


仕事がよくできるくせに、それをちっとも鼻にかけないし、自分を褒めることもしない。
これで妻子もちじゃなかったら、間違いなく好みのタイプだった。
_| ̄|○


真治さんとバカ話やさぶいオヤジギャグ対決をしながら、笑って楽しく仕事をした。

空気の読めるB型は貴重で稀有な存在である。



・・・



「伝言頼んだけど、電話かかってくるか自信がなかった。ありがとう。」


利成くんの車の助手席で、ぼんやりとその台詞を聞いた。


着いたのは、別名ラブホと呼ばれている都内のシティホテル。
上のバーで飲むのかと思ったら、部屋に直行だった。



「部屋に行ってどうするの?」



聞いても、答えはなかった。
何をするつもりなのか、何をされるのか、想像はついていた。


逃げることもできた。
でも、逃げる気にはなれなかった。



部屋に着いた途端、乱暴にベッドに押し倒された。


「脱げよ。」


呆然としている私の顔を、平手打ちした。


悔しくて、泣きそうだった。
でも、こういう男をベッドの相手に選んでしまったのは、自分だ。
仕方ない。


腹を括って、靴も服も下着も全部脱いだ。

不思議と、怖くはなかった。
それなのに、涙が出てきた。



「俺のこと、好き?」

「愛してる?」

「彼氏とどっちがいい?」



最初は乱暴だったのに、
以前と同じように優しく抱きながら、利成くんは私に聞いた。


本気で自分を好きじゃない女に、
無理やりそんな台詞を言わせてどうするのだろう。
寝物語は所詮、物語でしかない。


嘘でもそう言って利成くんの気が済むのなら、それもいい。
でも、嘘の台詞を聞いて傷つくのは、利成くんだ。

何も答えない私に、利成くんは愕然とした表情をしていた。


どうしたらよいのか、私にもわからない。
でも、もう終わりなのだ。



終わった後、利成くんはシャワーも浴びずに帰り支度を始めた。


「ゆっくりしていって。僕はもう帰るから。」


あっけなく、あっという間に、利成くんは部屋を出て行った。



ひとり取り残された私は、部屋の電気を全部消してカーテンを開けて、
まっぱだかで東京の夜景を眺めた。



気持ちがよかった。



東京の夜景って、こんなに美しかったっけ。



たまには、ひとりで見るのもおつなものだ。


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元鞘

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仕事を早く片付けて帰りたいのに、こんな日に限って仕事は山積み。

慌てて片付けようとすればするほど梃子摺って、

要領の悪い自分に舌打ちをした。



・・・



ぐっさんが、長崎出張を終えて私に逢いに来た。

待ち合わせは東京駅。


ぐっさんの姿を見つけた瞬間、泣きそうになってしまった。


ぐっさんは、私の顔を見て、少し微笑んだ。



金曜日の夜、人がごった返す東京駅のホームで、

人目もはばからず抱きついてしまった。



正直、逢うまで自分がどうなるのか、どう感じるのか、想像もできなかった。


でも、久しぶりにぐっさんに逢って、

やっぱりこの人が好きなのだと改めて思った。



「ただいま。」

「おかえり。」


顔を見合わせて、笑った。




まるで何のいさかいもなかったかのように、

私たちは普通に遊んで、食べて、セックスをして、眠った。


そんな生活を仕事もほったらかして5日ばかり、続けてみた。


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これからのことを話し合った。


私たちはやっぱり一緒にいたほうがいい、と意見は一致。

細かいことは何ひとつ決まっていないが、

おそらく来年あたりから一緒に住むことになるだろう。



・・・



利成くん(仮名)に、ぐっさんとよりが戻ったことをメールした。


何の返事も来なかった。


遊び慣れている男は、深追いするとろくなことがないことをよく理解している。

深追いするのは無意味で時間の無駄であることも。



短い間だったし、価値観が違うところもたくさんあったし、変わった人だったけど、

利成くんにはいろんな意味で助けてもらっていた。


仕事で会うことはあっても、

ご飯を食べたりドライブしたりセックスしたりすることは、もうないだろう。



見境なく食い散らかした男の人たち全員にも、メールした。



セックスの快楽で身体は満たされたとしても、

何か物足りなさを感じて、最後にきゅぅっと胸が痛くなるのが、

私のいつもの男遊び。


こんな思いを繰り返すなら、いっそやめてしまえばよいのに。


それでも結局いつも同じことを繰り返してしまう自分の浅はかさに、苦笑した。