雌が雄を喰い殺す 三匹のかまきり | 映画、その支配の虚しい栄光

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または、われわれはなぜ映画館にいるのか。

または、雨降りだからミステリーでも読もうかな、と。

または、人にはそれぞれ言い分があるのです…。

前作がメチャクチャ良かったので大期待だったのだが、根上淳と穂積隆信という今ひとつ魅力に欠ける男二人の展開にちょっと萎える。

とはいえ、前作よりも助平にブラックに井上梅次の職人ぶりは快調そのものだし、後半いよいよ岡田茉莉子センセーが動きはじめると、俄然面白くなる。
洋服、ショートカットの岡田茉莉子が素晴らしいのはもちろんだが、佐藤友美が意外といい。派手な顔立ちで、文字通り「にやり」と笑うのだ。デビュー二作目らしく(三作目が「ある殺し屋の鍵」!)なんとなく山田優に似てるのが可笑しい。

ただし、全篇を通じ、お話を撮りました的なそつのなさで、このショット狙いました!といった面白さがないのが残念ではあるんだけど、ま、続編の宿命か。
ちなみにこの年、井上梅次はショウ・ブラで三本、松竹で三本撮ってます。すげぇ。香港、東京行ったり来たり。

雌が雄を喰い殺す 三匹のかまきり
1967年(S42)/松竹/白黒/93分
■監督・脚本:井上梅次/脚本:池田一朗/撮影:丸山恵司/音楽:広瀬健次郎
■出演:岡田茉莉子、香山美子、根上淳、穂積隆信、佐藤友美