米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題で、滝野欣弥官房副長官(事務)は20日、政府が移設先として検討してきた鹿児島県・徳之島の天城、伊仙、徳之島の3町長に個別に電話し、平野博文官房長官との会談を申し入れた。政府高官が正式に会談を要請するのは初めてだが、3町長はそろって拒否した。鹿児島県の伊藤祐一郎知事も同日、滝野氏からの会談同席要請を拒んだ。

 滝野氏は「平野長官が鹿児島市に行くので、集会の様子を聞かせてほしい」と3町長に伝えた。18日に徳之島で開かれた移設反対集会に関する意見聴取が名目だが、平野氏には移設に理解を求める狙いがあった。

 しかし、3町長は移設反対の立場から政府との話し合いに応じない方針を事前に確認しており、この日も電話で「不誠実な人に会うつもりはない」(大久保明・伊仙町長)などと会談拒否を伝えた。

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 「それは滝野欣弥官房副長官にお聞きください。私が存じ上げる話ではありません」

 鳩山由紀夫首相は20日、滝野氏が普天間問題解決に向けて徳之島の3町長に電話したいきさつを尋ねる記者団にこう答えた。突き放したようなこの発言には、今の鳩山政権が抱える問題の縮図がある。政権内部の意思疎通の欠如と信頼関係の希薄化はこの内閣が崩壊過程にあることを物語っているかのようだ。

 政府は20日、普天間問題の解決に向けて勝負をかけた。それが平野博文官房長官と3町長の会談を打診した滝野氏の電話だった。会談の趣旨は「徳之島で18日に基地移設反対の大規模な集会が行われた。それを町長さんがどうとらえているか」(滝野氏)を探るため。だが、徳之島移設案を3町長に打診する意図もあったはずだ。そもそも徳之島案を政府が考えてもいないとすれば、集会の様子を探る必要などないからだ。

 鳩山首相は「政府の考え方がまとまっているという状況ではありません。まだその段階ではありません」として、この段階での移設案提示はあり得ないと言い張る。だとすれば、滝野氏の電話は、首相の意向を無視したスタンドプレーだったということになる。

 しかし、3町長が不信感を募らせていたのは、いつまでも政府側から正式な打診がないこと。滝野氏としてはよかれと思って早めに手を打ったつもりだったのかもしれない。これに対して、鳩山首相は次のように切り捨てた。

 「どのような思いで滝野副長官が電話をしたか分からない」

 官邸内の人間関係はどうなっているのか、互いをかばう気持ちはないのかと疑わざるを得ない発言だ。

 一方、3町長は滝野氏の電話に強く反発した。

 「そのような方に会う気は全くありません!」。徳之島・伊仙町の大久保明町長は政府高官からの電話を一方的に切った。大久保氏は産経新聞の取材に、「平野氏が『徳之島移設をお願いしたいから会ってくれ』と、本当のことを言えばいいのに」と言い放った。

 連立与党間の亀裂も修復不可能な状態にある。岡田克也外相は20日の記者会見で、移設先について「日本の外ということは考えられない」と述べ、社民党の主張を明確に否定した。

 首相が宣言した「5月末決着」まで残りわずか。北沢俊美防衛相は同日の参院外交防衛委員会で「5月いっぱいで全部片付くかどうか…」と本音を漏らした。(五嶋清)

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