平成17年4月のJR福知山線脱線事故で、実際に負傷者の救助に当たった救急隊長が16日、現場近くの兵庫県尼崎市潮江の尼崎中央病院で、医師や看護師ら約130人を前に講演した。症状の程度に応じて治療、搬送に優先順位をつけるトリアージの方法などを説明した。

講師を務めたのは、事故当時、尼崎市東消防署の救急隊長として出動した市消防局消防防災課長補佐、楠保人消防司令(51)。当日朝、消防署の救急隊員だった楠さんは非番で兵庫県加古川市の自宅にいた。テレビで事故を知り「信じられなかった。あれを見たら、救急隊員は誰でも駆けつける」と緊迫した状況を振り返った。

その上で、救急救命活動の実態や負傷程度に応じて4色のタグを利用するトリアージの方法などについて、「タグは負傷の程度が重い順から黒、赤、黄、緑に区別して付ける」などと具体的に説明した。

現場の南東約1キロにある尼崎中央病院には事故当日、発生後約30分の間に、負傷者約100人が運び込まれた。しかし、付近の市場や工場などの従業員らがトラックやマイカーなどで搬送したことで約9割がトリアージされておらず、院内でカルテなどに記入して負傷程度を区別し、総がかりで治療に当たるなどあわただしい状況だったという。

同病院は、こうした点を反省し、事故を知らない新しい看護職員らが増えたことから、大事故などが起きた際、医療現場で的確な救急医療を施す技量を習得しようと尼崎市消防局に依頼し、初めて開いた。伊福秀貴院長は「事故から5年となり、災害医療に対する対応を見直していきたい」と話した。

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