小出裕章先生:歴史を逆に戻すようにすることを彼らはやろうとしている | 私にとって人間的なもので無縁なものはない

小出裕章先生:歴史を逆に戻すようにすることを彼らはやろうとしている



孫たちへの証言~私たちの戦争の記憶を風化させない
(ラジオフォーラム#94)

http://youtu.be/lUclJiZmdcU?t=14m33s
14分33秒~第94回小出裕章ジャーナル
SPEEDIについて「計算で得たことも米軍には渡したけれども住民には知らせないという事に打って出てきたわけで、やはり彼らとしては都合の悪い物はできる限り使わないし、自分達がフリーハンドでいたいと思ってるのだと思います」

http://www.rafjp.org/koidejournal/no94/
景山佳代子:
原発など重大事故が起きた際に、放射性物質の広がりを予測するSPEEDI(スピーディ)について伺っていこうと思います。SPEEDIと言うと、福島の原発事故で住民避難に活用されなかったことが非常に問題になっていましたよね。
SPEEDIの試算について
今回、8月25日に原子力規制委員会が、そのSPEEDIについての予算を大幅削減するということを決定し、10月8日にはこのSPEEDIは原発事故の避難判断には使わないという方針が出されたというふうに報道されてたんですが、まずSPEEDIというのは原発の事故前までは住民避難の指標とされていたんですよね。
住民避難 SPEEDI

小出さん:
そうです。
SPEEDIとは

景山:
これが参考情報というかたちで格下げされた後、じゃあ自治体というのは一体SPEEDIに代わる、何によって避難計画というのを判断したらいんですか?

小出さん:
原子力規制委員会の方は実測値を重視してやるという立場なのだと思います。

景山:
実測値というのは予想ではないということですね?

小出さん:
そうです。ただし、実測値自身が福島の事故の時もそうでしたけれど、ほとんど得られないのです。例えば福島の事故の場合には、原子力発電所の近くに国の検査官が常駐しているオフサイトセンターというのがあって、例えばそこにも放射線量を測る機械が設置してあったのですけれども、オフサイトセンターにいた国の職員は事故が起きたことを知ってみんな逃げちゃった。住民に警告を発する前にもうすでに自分達だけが逃げちゃった
オフサイトセンターとは

景山:
この実測を測る人達が、ってことですか?

小出さん:
そうです。ですから、要するに放射線の測定器を実際に測る機械自身が役に立たなかったわけですし、そういう実際の機械というのはごくまばらにしか配置されていませんので、そんな情報で住民を避難させるということは基本的にはできないと私は思います

だからこそ、実測値では足りないので計算をして、時時刻刻どちらの方に放射性物質が流れて行ってるかを知りながら、住民を避難させるということだったのです。


1979年に米国のスリーマイル島という所で事故が起きたのですが、それ以降、世界中の国々がなんとかその事故の時の放射能の雲の拡散というか、流れていく方向をキチッと予測しなければいけないということで、日本もそれに取り組んでSPEEDIという計算コードを作り上げたのです。確か130億円ぐらいはそのために使ったと思います。
137Csの地上濃度分布と気流及び放射性雲の分布
それが実際に福島第一原子力発電所の事故の時に、必ずしも期待通りには動かなかったのですが、ある程度、彼らが計算で得たことも彼らは米軍には渡したけれども、住民には知らせないということに打って出てきたわけで、やはり彼らとしては都合の悪い物はできる限り使わないし、自分達がフリーハンドでいたいと思ってるのだと思います。
放射能拡散予測、米軍を優先

作戦「トモダチ」
東日本大震災の被災地支援に陸海空で緊急展開した米軍。最大時約2万4000人を動員した大規模作戦「トモダチ」は、窮地の同盟国・日本を救うた めの活動だったが、一皮めくれば、軍事的に台頭する中国をにらんだ米国のアジア太平洋戦略が色濃く浮かぶ。

景山:
こちら、もしSPEEDIの方の予算を大幅に削減し、参考情報にしていくという風に切り替えるんであれば、事故が起きた場合の防災、あるいは減災のためにはどんな他に方法とか手段があり得るんですか?

小出さん:
本当であれば、その実測値と計算値を組み合わせて対処しなければいけないはずだと思います。今聞いて頂いたように、実測値そのものもかなりまばらな情報しか得られませんので、やはりSPEEDIというものが必要だと思った原点に戻って、実測値とSPEEDIのような計算値とを合わせて、できる限り住民にそれを知らせながら避難をさせるということが私は必要だと思います

小出裕章ジャーナル

景山:
これ全くの素人質問になって申し訳ないんですが、その予想というのは、こちらに放射性物質が来るだろうということをまさに予測して、そちらに行かないようにとか、避難経路としてはそちらを選択しないように、というそういう情報が得られると思うんですけど、実測ということはもうすでにそこに放射性物質は到達してるということですよね?

小出さん:
はい。

景山:
それが到達しましたよと言われてから逃げるという、こういう手順になっちゃうんでしょうか?

小出さん:
そういう手順になってしまうわけですね。それでは困るわけですから、実測値と計算値を組み合わせながら住民が被ばくをする前に避難の計画を立てて逃がすということをやるべきだということでSPEEDIを開発されたのです。それを全く使わないということは歴史を逆に戻すようにすることを彼らはやろうとしているわけで、キチッと考え直すべきだと思います

景山:
ちなみに、例えば先ほどスリーマイル島事故というのがひとつ大きなきっかけにあったとおっしゃってたんですけど、それ以外の地域、例えばヨーロッパとかアメリカとかでもSPEEDIのような予測システムというのは開発されているんでしょうか?

小出さん:
はい、世界各国で開発しています。放射能がどちらの方向に動いているというようなことは、福島の事故の時も日本政府はSPEEDIの情報を隠してしまったわけですけれども、ヨーロッパのドイツであるとかフランスであるとか、そういうところがむしろあっちに放射能が流れていったというような情報をしきりに公表してくれました。
ドイツ気象庁の放射能予報
Version du 17 mars 2011

景山:
日本としては今後はほんとにSPEEDIをそういうふうになくすという…「代替案はどうするんですか?」というのがとても気になるです。そういう方法とか、「現在、実はSPEEDIに代わる予測システムとしてこれを導入しようとしてるんです」とかいうのはあるんですか?

小出さん:
ありません

景山:
ないんですか?

小出さん:
はい。大気拡散という現象自身は普遍的というか、風がどっちに流れたらどっちの方向に、どのスピードで流れていくというようなことは、普遍的な知識というか、誰がやっても計算できるわけですし、ただしキチッとした計算値を出そうと思うと、それなりの時間も研究の積み上げもあるし、お金もかかるということで、SPEEDIにしても20年以上の歳月をかけてようやくにしてできてきたものなんですね

先ほども聞いて頂いたように、130億円というような膨大なお金も注ぎ込みながらようやくにして作り上げたわけで、それを捨ててしまうと言うなら、じゃあ今までそれにお金を投げた人達は一体どういう責任を取るのかというのを問わなければいけないと思います。
WSPEEDI-IIの概略
そして、他にももちろん個々の研究者が作っている計算コードであるとか、なにがしかのその民間の団体が持っている計算コードもありますので、そういうものをほんとにまた事故が起こってしまえば使わざるを得なくなると思いますが、やはりこれは国家としての問題ですので、これまでお金をかけてきたSPEEDIを使わないというのであれば、じゃあどうするかというのは、むしろ国家の側、原子力規制委員会なり安全保安院の方からキチッと意見を表明しなければいけないと思います。

景山:
そうですよね。本当に逃げるという立場から考えた時に、ちゃんとした情報がもらえないで逃げるということほど不安なことはないしという。ひとつの指標にしか過ぎなかったSPEEDIさえなくなってしまったら自治体はどうしたらいいのかとか、本当にこの問題は大きいですよね。

小出さん:
はい、と思います。原子力規制委員会というのが新しい規制基準というのを作りまして、原子力発電所の機械そのものが新しい規制基準に合致してるかどうかということは規制委員会が判断をして、例えば九州電力の川内原子力発電所は規制基準には合致していると、この間認めたのです。
新規制基準
ただし、新規制基準というのは、「事故が起こらない」とは言っていないわけで、「起きる可能性はある」とむしろ認めている「その時の避難計画はそれぞれの自治体で作りなさい」「国の方は知りません」「規制委員会も知りません」と言ってしまってるわけで、そう言われてしまいますと、自治体では対処できるような問題ではありませんので、結局、避難計画そのものもキチッとしたものが作れないということになってしまうと思います。
川内原発事故避難計画 放射性物質拡散考えず

景山:
はい、小出さん今日はどうもありがとうございました。

小出さん:
ありがとうございました。


衝撃の原発事故シミュレーション


本当のSPEEDI

http://youtu.be/GlDslbj08aw



原子力災害時における住民避難に関する規定
(総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000008092.pdf
SPEEDIシステムの運用について
第4章 緊急時運用
4.1 緊急時の運用概要
緊急時には文部科学省防災環境対策室(以下「防環室」という。)から原安センターに対して事態発生の連絡がなされる。連絡を受けた原安センターは、SPEEDIを直ちに平常時モードから緊急時モードへ切り替える。SPEEDIが緊急時モードに切り替わると、SPEEDIシステムに組み込まれている通報サーバが自動的に作動し原安センター関係者の携帯電話に参集指示を流すとともに、所定の連絡網による連絡も行い参集を指示する。
防環室からの指示を受け、緊急時モードになったSPEEDIにより直ちに予測計算が行われる。計算結果は図形として作成され、防環室の担当者の確認後に関係地方公共団体及び防災関係機関へ図形配信が行われる。また、SPEEDIを緊急時モードに切り替えることによって、大気中濃度又は空気吸収線量率等は1時間ごと(放出量がわかるまでは単位量放出で計算)、風速場図形が 10 分ごとに自動作成されるので、必要に応じ防環室及び文部科学省非常災害対策センター(EOC)、経済産業省緊急時対応センター(ERC)、原子力安全委員会、関係する地方公共団体に配信される。(略)
備 考
(1)「緊急時」この資料では原災法第 10 条通報事象以降のことを指す。

原子力災害時における住民避難に関する規定




「汚染の影響小さく演出」 再稼動へ地ならしか
(東京新聞【こちら特報部】ニュースの追跡)2014年10月16日

 政府は今月中にも、福島原発事故に伴う福島県南相馬市の特定避難勧奨地点の指定を解除する。住民たちからは強い反対の声が出ているが、こうした汚染の痕跡を消そうとする試みは政府の常とう手段だ。原発の再稼働に向け、「事故が起きても、それほど問題は大きくない」と演出する意図が透けて見える。(榊原崇仁)

「汚染の影響小さく演出」 再稼動へ地ならしか

●南相馬 避難勧奨解除
●SPEEDI 使わず
●除染目標の実質緩和


 解除対象は百五十二世帯で、住民約七百人のうち八割が避難している。伊達市と川内村にも特定避難勧奨地点はあったが、指定が続くのは南相馬市だけだ。解除されれば、東電が出す一人月十万円の精神的賠償は三カ月で打ち切られる。
 解除が具体化し始めたのはここ一カ月のこと。政府は先月二十六日、対象世帯が解除基準の年間被ばく線量二○ミリシーベルトを下回ったと公表。今月三日には、高木陽介経済産業副大臣が南相馬市を訪れ、月内の指定解除を検討していると、桜井勝延市長に伝えた。
 桜井市長は「納得していない」と発言し、八日からの住民説明会でも反対意見が続出。十日は特定避難勧奨地点がある行政区の区長らが上京し、反対集会や記者会見を開き、内閣府原子力被災者生活支援チームなどにも申し入れた。
 参加した藤原保正・大谷行政区長は「説明で解除に賛成する住民は一人もいなかった。二○ミリシーベルト以下なら本当に安全なのか。何かあった時に医療的な補償を受けられるよう、解除する前に被ばく手帳を出してほしい」と訴える。
 支援チームの担当者は「住民の方々の意見を踏まえ、方針を検討している」とするが、解除の先送りは不透明だ。というのも、政府はこれまで深刻な汚染状況を直視してこなかった。
 事故直後には、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算で、大きな健康影響を及ぼす被ばく線量一○○ミリシーベルト以上の地域が福島第一原発から五十キロ圏まで広がることが予測された。だが、政府は情報を隠し、避難の遅れを招いた。
 このことは、国民に原子力行政への深い不信を抱かせた。それを「教訓」としたのか、原子力規制委員会は今月八日、「予測の不確かさの排除は不可能」という名目で、原発事故時の避難作業でSPEEDIを使わないことを決めた
 汚染を直視しない動きは除染でも出ている。
 政府は除染の長期目標として年間被ばく線量1ミリシーベルトという基準を決め、毎時換算した空間線量の値として○・二三マイクロシーベルトを示した。しかし、除染の効果がなかなか上がらず、個人線量計に基づいて除染目標を設定する方針に切り替えた。
 個人線量計で被ばく線量を測った場合、年間一ミリシーベルトになるのは空間線量が毎時○・三~○・六マイクロシーベルトの時という報告もあり、実質的に除染目標が緩和されてしまう公算が大きい。
 国際環境団体「FoE Japan」の満田夏花理事は「放射線の影響が小さいと演出することで、世間の警戒を抑え、現原の発再稼働に向けた地ならしをしようとしているのではないか」と指摘する。
 居住制限区域の福島県富岡町から、横浜市に避難している坂本建さん(四六)はこう憤った。「再稼働のために、被災した私たちがないがしろにされる現在の状況が悔しくてならない」

【特定避難勧奨地点】
 局地的に放射線量が高い地点があることを考慮し、年間被ばく線量の推計が20ミリシーベルトを超える地点が指定される。避難指示が出なかった福島第一原発の20キロ圏外が対象。避難の判断は住民に委ねられている。


手続き進む川内原発再稼働 避難計画不安根強く
(東京新聞【核心】)2014年10月22日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014102202000133.html
 九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)をめぐり、同市議会は二十八日に開かれる本会議で再稼働を容認する見通しになった。地元同意に向けた手続きが着々と進む一方、住民の中には県や市が大事故に備えて策定した避難計画への不安が依然くすぶっている。
(浅井俊典)

手続き進む川内原発再稼働 避難計画不安根強く

■丸投げ

 「避難計画は本日の課題ではありません。質問は説明のあった新しい規制基準や審査結果に限ります」
 今月九日から二十日まで原発から半径三○キロ圏内のうち五市町村で開かれた原子力規制委員会の住民説明会。薩摩川内市の説明会で、規制委側は冒頭、くぎを刺すのを忘れなかった。
 再稼動の前提として規制委が新規制基準の下で行った適合審査で、川内一、二号機は基準を満たすと判断された。ただ、審査したのは地震や津波、事故の対策などで、避難計画は初めから対象外。質問に立った男性が「避難計画は地元の大きな関心。説明の機会を設けてほしい」と求めると、大きな拍手が起きた。
 そもそも原発事故時の避難計画は、原子力災害対策特別措置法などで地方自治体が策定することになっている。政府の原子力防災会議が九月十二日に了承した鹿児島県や薩摩川内市などの計画では、放射線量や風向きに応じて県がデータベース化する避難施設の中から最適な避難先を伝えるほか、入院患者など自力で動くことができない人をバスで移送させるとしている。
 市の防災担当者は「福島第一原発事故で生じた問題点を踏まえ、これまでの計画を見直した。国との連携もあり、基本的な対策はできている」と強調する。

■移動手段

しかし、地元には計画が想定通りに運用されるのか不安が根強いままだ。
 例えば、原発の半径五キロ圏内で唯一、入院病棟がある私立病院。患者は鹿児島市内の四病院で受け入れる計画だが、移動手段の大型バスを確保できていない。県外のバス会社に要請したが、「運転手の安全が保証されなければ出せない」と断られたという。
 問題は病院の患者だけではない。原発から十二キロの自宅に住む薩摩川内市の小城(こじょう)武紀さん(七三)は肺に難病があり、酸素を送り続ける機械と薬を手放せない。「受け入れ先に薬や設備がないと命にかかわる」と危惧する。車いす生活の夫を介護する同市内の主婦(七○)も「私一人では夫を車に乗せることもできない。避難なんて考えられない」と話す。

■蚊帳の外

 地元の不安が解消されないことについて、九州大の吉岡斉教授(原子力政策)は「避難計画の妥当性を判断する法的な裏付けが何もない。規制委が何らかの審査をすべきだ」と話す。米国では一九七九年のスリーマイル島原発事故後、規制委のモデルとなった米原子力規制委員会(NRC)が避難計画を厳しく審査。基準をクリアできなければ運転を認めず、廃炉に追い込まれた原発もある。
 薩摩川内市議会は二十日の特別委員会で再稼働に賛成する陳情を賛成多数で採択。県議会も二十七、二十八日に特別委を開き、地元同意の手続きを本格化させる。一方、県と薩摩川内市以外の八市町村は同じ三十キロ圏内で避難計画も策定しているのに、同意は求められておらず、「蚊帳の外」に置かれている。
 東京大総合防災情報研究センター関谷直也特任准教授(災害社会学)は「住民にとって最重要の問題である避難計画が実効性を伴っていない段階で、再稼働を進めるべきではない」と批判している。





福島知事に内堀氏初当選 相乗りで論戦深まらず
(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201410/CN2014102601001494.html
 任期満了に伴う福島県知事選は26日、自民、民主、公明、社民などの各党が支援した前副知事で無所属の内堀雅雄氏(50)が、共産党と新党改革が支援した元岩手県宮古市長の熊坂義裕氏(62)ら5人を破り、初当選した。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、初の知事選。震災復興と原発政策が争点となったが、各党が相乗りで内堀氏を支援したこともあり、議論は深まらなかった。

 投票率は前回を3・43ポイント上回る45・85%で、過去2番目に低かった。

 安倍政権は、知事選で原発再稼働が否定されなかったとして、再稼働に向けた手続きを進める構えだ。

2014/10/26 22:03


福島知事選が見事に示したこの国の政治の不毛
(天木 直人)
http://www.amakiblog.com/archives/2014/10/27/#002969
 福島知事選が予想通り不毛な結果に終わった。

 私は与野党相乗りになった時点ですっかり関心をなくしたのだが、それにしてもこの福島知事選を見て日本のこれからの政治に絶望感を抱かざるを得ない。

 私は原発事故が起きた時、この未曾有の不幸を乗り越える唯一の希望は、この不幸をきっかけにして、それまでの日本の権力構造(支配体制)が変わるかもしれない、いや変わらなければいけない、それこそが不幸を克服する唯一の救いだと思い、それを訴えた。

 残念ながらその後3年半たって、様々な動きはあったが、一貫して権力側の攻勢に終始し、そしてついに今度の福島知事選で権力側がその勝利を確実にした。

 脱原発の勢いは今後急速に弱まっていくだろう。

 これほどの大きな政治的意味を持った福島知事選であるのに今日の大手新聞の社説は絶望的だ。

 毎日や日経は社説にとりあげなかった。

 読売産経は、さっそく新知事に復興や住民帰還や除染廃棄物中間施設建設に邁進するよう注文をつけている。

 驚いたのは朝日の社説だ。

 脱原発をあれほど紙面で主張して来た朝日が、その社説で、新知事には生活再建に尽力を、と訴えている。

 副知事の経験を活かして国と調整の上、福島の復興に尽力してほしいと書いている。

 表現こそ違うが、まるで読売や産経と同じだ。

 そこには福島を脱原発の象徴として日本を変えるという発想はまったくない。

 東京新聞の社説だけが「選択を奪った責任は重い」と題して、相乗りの形で「脱原発」というこの国の将来がかかった重要な争点をぼかした自民党と民主党の政治責任を問うていた。

 しかし、その東京新聞の社説でさえ不十分だ。

 批判されるべきは自民党と民主党だけではない。

 すべての政党が非難さるべきだ。

 自民党と民主党の相乗りには驚かないが、なぜ脱原発の社民党と自民党が相乗りなのだ。

 なぜ社民党と共産党は統一候補を擁立できなかったのか。

 なぜ報道で流される各党のコメントが、自民党、民主党、共産党の三党の代表だけなんだ。

 この国の政治はすべていかまさだ。全否定されなければならない。

 残るは沖縄知事選だけになった。

 今度は原発よりも、もっと大きなテーマである日米同盟の将来を問う選挙になる。

 日本の政治を揺さぶる一大決戦となり、辺野古移設反対派の圧勝で終わることを願うばかりである(了)











小出裕章「反原発、反権力。」- 2014.10.09(その1)

http://youtu.be/s5RWq2w2YsM
【ぽぽんぷぐにゃん対談】小出裕章「反原発、反権力」- 2014.10.09(その1)
http://blog.goo.ne.jp/sithux7/e/73ba40e721370b111da40b8e682562fe

小出裕章「反原発、反権力。」- 2014.10.09(その2)

http://youtu.be/gv0F2G9v-WQ

小出裕章「反原発、反権力。」- 2014.10.09(その3)

http://youtu.be/UW9RsFejnwo
【ぽぽんぷぐにゃん対談】小出裕章「反原発、反権力。」- 2014.10.09(その3)
http://blog.goo.ne.jp/sithux7/e/42d595f09906fb6f06a0f543a596752f


小出裕章 対談 品川寿男 京都大学原子炉実験所にて 9242014

http://youtu.be/-u6EfEBDsGg


3.11から始まったこと

http://youtu.be/J2PaYGWp14Q
【わすれンTV311】 東京電力福島第一原子力発電所 原発震災を生きる私たちへの提言

日時:8/5(金) 18:00~21:00
番組名:3.11から始まったこと
講師:小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
会場:ハーネル仙台
主催:小出さんをよぶ会in仙台
放送協力:3がつ11にちをわすれないためにセンター

3.11から始まったこと http://recorder311.smt.jp/movie/3371/ (わすれン!)
3がつ11にちをわすれないためにセンター http://recorder311.smt.jp/
せんだいメディアテーク http://www.smt.jp/