近況

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すっかり更新が滞っていて、すいません。。。

実は現在、仕事でアメリカに来ております。
2年ほどはこちらで過ごす予定です。

ということで、あまり日本のミステリが読めない状況です。
アメリカの中でもちょっと地方なので、日本の書店はないのです(^^;;

原著に挑戦とかも試みてはおりますが、いかんせん英語力が伴わず。。。

更新のペースは超スローになると思いますが、今後とも、よろしくお願いいたします。
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水魑の如き沈むもの (ミステリー・リーグ)/三津田 信三

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第10回本格ミステリ大賞候補作

奈良の山奥の村で行われる雨乞いの儀。
しかし、その儀式には様々な因縁と思惑が交錯し、
当然のことながら、事件は起こる。

横溝的と形容されることが多いであろうが、
このシリーズも巻を重ね、
標準以上のミステリとして評価されてきていることから、
もう三津田氏独自の世界観と言っていいかもしれない。

私はまだシリーズ全作を読んだわけではない。
本来なら順番に読みたかったところだが、
今回本作が本格ミステリ大賞候補作にノミネートされたため、
政宗九氏のインターネットで選ぶ本格ミステリ大賞の選考に参加すべく、
先に本作を読んでしまったわけだ。

そういった評価する気持ちをもって、読んでしまった影響もあるのかもしれないが、
候補作としていささか物足りなさを感じてしまった。

過去の事件とのリンク、
そして、現在の事件の謎。
その提起は非常に魅力的である。

しかし、その解決があまり美しくない。
つまり、論理的とは思えないのである。

さらに、伏線と思われた出来事も未回収のまま。

怪奇小説であればよいのかもしれないが、
本格ミステリとしてはいかがか。。。
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花窗玻璃 シャガールの黙示 (講談社ノベルス)/深水 黎一郎

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第10回本格ミステリ大賞候補作

デビュー4作目にして、本格ミステリ大賞候補作に入るとは、
それだけでもすばらしい。

芸術とは縁遠い私も、シャガールの作品は昔から好きだった。
以前、大分に旅行に行った際、たまたま見かけたシャガールの美術館にも寄った。
中学の頃、その作風を真似て、スクラッチングの作品を作ったこともある。
当然、単なる落書きのようになってしまったが。

だから、本作はシャガール、そして、ステンドグラスの蘊蓄だけでも十分に楽しめた。

さて、本筋のミステリとしてはどうか。

ランス大聖堂で起きた2つの死。
一方は事故死、もう一方は病死と思われた。
それはシャガールのステンドグラスの呪いだという。

もちろん本作はれっきとした本格ミステリであり、
呪いは論理的に解明される。

しかし、舞台の壮大さの割に、その解決の驚きは残念ながら小さい。

そして、私は気付くことが出来なかったが、
この作品の裏に隠された縛りとも言うべき作者の意図が存在する。
多分、その意図こそが、本作を本格ミステリ大賞候補作とさせたのだろう。
確かに、驚嘆に値する縛りではある。
だが、それが本格ミステリとしての面白さを高めているのかどうか。。。
私はやや懐疑的である。


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追想五断章/米澤 穂信

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第10回本格ミステリ大賞候補作

非常に美しいミステリである。
その流れは、連城三紀彦氏の作品を彷彿とさせる。
米澤氏はこんな作品も書くことができるのかと、その才能に素直に感心させられた。

インシテミルの映画化も決まり、まさにノリにのっていると言えるだろう。

父が書いた5本のリドルストーリーを探してほしい。
叔父の古本屋でアルバイトをする菅生芳光は、報酬目当てで女性の依頼を受ける。
生きる道筋を見失いつつあった菅生は、いつしかその捜索にのめり込んでいく。
少しずつ見つかる断章。そして、深まる謎。
徐々に明らかになる父の過去。
最終的にその全てが繋がる美しい流れ。

じわじわと心にしみてくる作品である。
密室殺人ゲーム2.0 (講談社ノベルス ウC-)/歌野 晶午

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2010本格ミステリ・ベスト10 第1位
第10回本格ミステリ大賞 候補作

「密室殺人ゲーム王手飛車取り」の続編。
前作の終わり方から、どういう風に繋げていくのかと興味深く読み始めた。

非現実的でありながら、現実的という5人の殺人ゲーム。
前回の結末はあっさり無視しながら、淡々とゲームを続けている。
しかし、なんとなくノリの軽さを感じる。
その違和感は中盤で解消され、前作との繋がりが明らかとなるわけだが。。。

それにしても、この設定でなくては成り立たないトリックの数々は秀逸である。

そして、本作の傑作は、やはり最後の事件だろう。
そのゲーム性を象徴する結末に恐怖を覚えずにはいられない。


銀河不動産の超越 (講談社ノベルス)/森 博嗣

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ミステリではないが、森氏らしい作品と言えるのかもしれない。
題名の壮大さとのギャップが面白い。

あまりやる気のない不動産屋の社員とそこに訪れるちょっと変わったお客さん。
そして、その客の変わった要望になんとか応えていくうちに、
人生が回り出す。

そう、きっと人生はそんなもんなんだ。
まず目の前にある仕事をこなしていこう。
天帝のみぎわなる鳳翔 (講談社ノベルス)/古野 まほろ

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2010本格ミステリベスト10 第22位

相変わらずの壊れぶりだが、段々とそれに慣れてきている自分がいる。。。
何故かこの物語に身をゆだねるのが心地よい。

本格としても非常によく練られた作品だと思う。
個人的には順位はもっと高くても良いのではないかと感じる。
まぁ、他の作品を読んでいるわけではないので、
私が言えることではないのだが。

古野氏の作品から感じるのは、本格への愛、
そして、自分自身への愛だ。

私が古野氏の作品に惹かれるのは、
たぶん、そのナルシストさにある。

天帝シリーズがどこへ向かうのか。
終着駅が楽しみだ。



双面獣事件 (講談社ノベルス)/二階堂 黎人

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二階堂蘭子とラビリンスとの対決。
冒険小説としては面白い。
ただ、やはり二階堂氏には本格の王道を期待してしまう。

「人狼城の恐怖」の時からオカルト的な部分は見えてきてはいたが、
本作を読み始めて、最初に語られる恐怖の体験。
これを全て現実的、かつ論理的に解決してもらいたかった。

期待が大きい分、結末のインパクトは弱い。