allaboutさんの記事で、
ミュージカルガイドの松島まり乃さんが、
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」について、
書いてくださってます。
 
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ナミヤ雑貨店の奇蹟

5月17~21日=ザ・ポケット

【見どころ】
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

 

世界各国で500万部のベストセラーとなっている東野圭吾さんの同名小説『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。三人の空き巣の若者たちが忍び込んだ廃屋で起こる、不思議な出来事の数々。その日はちょうど、店のポストを通して多くの子供たちの悩みに答えてきた雑貨店が、33年ぶりに復活する予定だった……。名もなき人々の苦悩と再生を描き、東野作品の中でも屈指の感動作と呼ばれる本作が、脚本に『エリザベート』等で俳優としても活躍する大谷美智浩さん、音楽に『キューティー・ブロンド』で音楽監督を務めた小澤時史さんを迎え、イッツフォーリーズによってミュージカル化されます。

手紙を通して浮かび上がる様々な人生模様に寄り添うのは、情感豊かな歌声と、ピアノ&チェロの生演奏。作曲の小澤さん曰く、コーラスの美しさに定評のあるイッツフォーリーズのため、今回は敢えて、ソロが引き立つメロディを心掛けたのだそう。小ぶりの劇場空間に包まれ、心洗われるひとときが過ごせることでしょう。


【観劇レポート
“名もなき人々”の悲喜こもごもを包み込み、
清々しい希望を与える“東野圭吾ワールド”】

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

 

廃屋と思って忍び込んだ店のポストに、次々投げ込まれる人生相談の手紙。なりゆきで返信してみた泥棒3人組は、実はそれらが時空を超えた手紙であることに気づく……。

手紙を介して様々な名もなき人々の人生に触れ、“どうせ自分なんか”とやさぐれていた青年たちが少しずつ変わってゆく様を、泥棒役の加藤木風舞さん、吉村健洋さん、井原和哉さんは嘘のない、芯の通った芝居で体現。店主役の森隆二さんも、実年齢よりずっと上の“老け”役を味わい深く演じ、進路に悩む音楽青年の母役、茂木沙月さんの叱責には厳しさと愛が同居。等身大のキャラクターたちに説得力を与えるこの劇団は、東野圭吾ワールドと相性抜群と言えましょう。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

 

そして全編に流れるピアノとチェロの音色(音楽・小澤時史さん)は、場面に応じて表情を変えながらも、登場人物の心に寄り添い、優しく包み込む。終盤のナンバー「白紙の地図」は、大谷美智浩さんの過不足のない歌詞とあいまって、その場その時間を共有する人々に等しく、清々しい希望と感動を与えます。

この日、満席の会場には原作ファンであるのか、男性の“おひとり様”も多々。ちょっと心にビタミンを補給したいと思った時にふらりと観にゆける、そんなロングランが実現してもいいのでは……と思える舞台です。