富士通の野副州旦(くにあき)元社長(62)の辞任問題をめぐり、「反社会的勢力との関係が疑われる」とされた投資会社が15日、名誉を傷付けられたとして富士通の秋草直之相談役(71)や間塚道義会長(66)ら現職の3人の役員を相手取り、計3億3千万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて東京地裁に提訴した。

 投資会社側は「延べ150社以上に1600億円以上の投資実績をあげた業績があるなど、反社会的勢力とは何も関係がない」と反論。野副氏辞任に関連して「富士通側が『反社会的勢力との関係が疑われる』『その疑いを示す資料がある』などと根拠もなく指摘を繰り返したことで、顧客に動揺が広がり重大な悪影響が生じつつある」などと主張している。

 この投資会社は、平成21年2月に始まった富士通の子会社ニフティの売却交渉で野副氏が関与させようとした。富士通側は「複数の金融機関から悪い風評が寄せられた」などとして、野副氏に対し、投資会社と業務上の関係を持つことに難色を示したとされる。ただ、富士通側は「投資会社の名前を公表したことはない」としている。

 富士通広報IR室は「訴状を見ていないので現時点ではコメントできない」としている。

 ■泥沼…社員らうんざり

 日本を代表する大手電機メーカーで明らかになった“お家騒動”が、訴訟合戦に発展しそうだ。「虚偽の理由で辞任を強要された」と主張する野副州旦元社長に対し、富士通側は辞任手続きの正当性を強調するなど、言い分は真っ向から対立。野副氏との関係が取りざたされてきた投資会社が15日、富士通の現職役員3人を提訴したのに続き、野副氏、富士通側双方とも互いを訴え合う構えだ。社員からはため息が漏れる。

 一流企業のお家騒動とあって登場人物は豪華だ。野副氏(社長就任・平成20~21年)は海外勤務が豊富。半導体事業の構造改革を進め、ライバル他社に先駆けて世界同時不況からの脱却に道筋をつけた立役者だ。

 一方、秋草直之氏(同10~15年)は、ソフトサービス部門の出身。社長退任後も会長、相談役として同社に君臨してきた最高実力者。実父は電電公社(現NTT)の総裁を務めた秋草篤二氏。

 15日に秋草氏ら現職役員を提訴した投資会社も「1600億円以上の投資実績がある」と、市場での力を誇示する。ただ「すでに風評被害がでている」として、名前がさらされることは固く拒んでいる。

 今回の騒動の発端は昨年9月、富士通が突然発表した野副氏の社長辞任だった。理由は「病気療養のため」とされた。

 しかし、野副氏は今年2月26日、「虚偽の理由で、他の役員から密室で解任を迫られた」として、辞任の取り消しを要求する文書を富士通に送付、お家騒動を表沙汰(ざた)にした。

 野副氏は3月29日、「自身の辞任によって子会社ニフティの売却交渉が停止するなど会社に損害を与えた」として、辞任に関与した役員2人について損害賠償で提訴するよう富士通の監査役会に要求。

 今月7日に開かれた会見では、「虚偽の理由で解任され、人格を傷つけられた。なぜこうなったのか、疑問を解消していきたい」として、役員2人に損害賠償を求める株主代表訴訟を起こす方針であることなどを明らかにした。

 一方の富士通は3月6日、「『好ましくない風評』のある投資会社との付き合いを、取締役らの警告を受けた後も継続したため」と、当初の辞任理由を訂正した。

 その上で、野副氏の主張に反論する形で、今月14日には間塚道義会長(同21~22年)が会見。「密室で辞任を迫った事実はない」と、野副氏の主張を真っ向から否定した。さらに、「野副氏の会見などで会社に損害が生じたと判断すれば損害賠償請求する可能性がある」と、提訴の構えを見せている。

 旧現の会社幹部らがかかわったお家騒動に、社員らはうんざりだ。「取引先から『どうなっているんだ』といわれ、困惑している」(営業中堅社員)。「一刻も早く収拾してもらいたいが、長引くんだろうなぁ」(総務幹部社員)といった声が漏れている。

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