わずか1ナノメートル(ナノは10億分の1)のすき間にDNA塩基分子を通し、電気を流して塩基を識別する実験に大阪大の川合知二教授らのグループが成功した。この技術を応用すれば、現在3カ月かかるヒトの全遺伝情報(ゲノム)が1日で解読できるという。21日付の英科学誌「ネイチャー・ナノテクノロジー」電子版で発表した。
 DNAは二重のらせん構造で、アデニン、グアニン、シトシン、チミンの塩基が連なっている。塩基の並び方が遺伝情報を表すが、1990年代にヒトゲノムを解読した際は8年で300億円掛かった。現在は3カ月で10億円、数年後に登場する次世代DNAシーケンサー(解析装置)でも2カ月で1000万円掛かるとされる。
 研究グループは、ナノポアと呼ばれる穴の入り口に1ナノのすき間を空けた電極を置き、DNA塩基分子の水溶液を通して電流の大きさで塩基を1個ずつ判読。DNAを一度バラバラにして増やす従来の方法に比べて長いDNAを解析でき、時間と費用が抑えられる。この技術を使った次々世代シーケンサーは解読に1日、費用は10万円で済むという。
 川合教授は「患者の遺伝子情報を踏まえた個別医療や犯罪捜査、世界的大流行に備えた新型ウイルス検出などに活用できる」と話している。 

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