2009-07-06 12:41:42

夢の風化と復権

テーマ:[連載] ジョダギリ・ホウの夢の復権 

hi dear




このおはなしのタイトルは、『ジョダギリ・ホウの夢の復権』といいます。


彼の夢が、またよみがえるというおはなしです。


では、夢っていったいなんでしょう?



私は、「君には役者になりたいという夢があるんだね」だとか、「夢があっていいなあ」だとか、そんなようなコトを言われると当惑することがよくあります。



恥ずかしながら、私はこのような「夢」という言葉に対してなんの実感もわくことがない。
無縁なものだと感じるのです。



私にとって夢とは、描けるものではなく、実現すべき何かなのではなく、美辞麗句でもなく、いいように使われる金儲けのための装置でもありません。








(ああ、なんと多くの若者が安易に夢という言葉に踊らされ、搾取されていることでしょう!おそらくは、芝居を目指す9割以上の若者がです。)





私にとって夢とは、常に現在進行形で達成されつつある、ある奇跡的な領域のことなのです。



それは、舞台でのコミュニケーションの只中にしか決して存在しえません



このうえない実在感を伴ったものです。






ただし、所有のできないものでもあります。


(つまりは個体としての自我の安定に寄与しません)





しかし、だからこそ私は、確信犯的に「芝居」というものを選択していたはずなのです。





私はすでに、この意味での「夢」を達成しまくっています。

そりゃあ壮絶にです。




(ですがその事実はほとんど知られていないので、
私は「夢があるんだね」というコトバに対して当惑するのです。)





ですがこの「夢」は、はかなさと隣合せのものである以上、常に強靭な意志をもってそれを求めないと、日常に埋もれて忘れ去られてしまいます。




そして私はわりとアホなので、この自分にとって最愛の「夢」というものへの希求を、時には風化させてしまっていることに気づくのです。









私が朝、職場で雑誌の整理をしながらジョダギリ・ホウという男を思いついたのは、この「夢」の風化を実感していたからでした。



私はジョダギリ・ホウをとおして、自分が本来はもとめていた夢を再確認したかったのかもしれません。





ですからこのお話は、いずれホウが夢への階段をのぼっていくところに行き着くでしょう!


そうすることによって、ホウが私の目を覚まさせてくれるのです。


それがハッピー・エンドかどうかはわかりませんが、


ただ言えることは、




希望そのものだということです。











ジョダギリ・ホウにとって希望とは、ただひとりの仲間であったサムラ・ケイとの再会でした。

あの「星をぬすんだ男」とよばれたスペース・ハンターです。



そしてサムラ・ケイへの刑の執行のおはなしは、また違った形で描かれることになります。


これは「孤独」についてのおはなし



ホウの孤独は、その試作品なのでしょう。










それはあなたと、あなたの愛する人へ贈られた作品になることでしょう。


私はおぼろげながら、そのことを感じたのです。

2009-06-29 10:11:11

The return of DAN JIROU - Betrayal in the past

テーマ:[連載] ジョダギリ・ホウの夢の復権 
rise and fall of jyodagili ho Ⅲ

0000000000000000000000000000000000



ジョダギリ・ホウは嘘をついていた。




おそらく自分に対しても、である。




ホウはこの地球を救うためにヘッポコ星からやってきたと信じ込んでいたが、なんてことはない


実は、ただヘッポコ星から放逐されただけなのだ。


だが彼にとってこの事実はあまりにも辛く、認めがたいものだったので、しょうがなく嘘を貫きとおしてきたのである。




ホウの人生は、もはやウソとハッタリに染め上げられてしまったようだ。


ウソもハッタリも、長年続けているとだんだんサマになってくる。


つまり、本当のことになってしまうのだ。


これは多くの地球人も経験するところである。



そう、ホウは本当に自分の過去を忘れていた。


思い出したきっかけは、音楽だ。


ある曲を耳にした瞬間に、ホウの記憶は全てよみがえった・・・。









放逐されたのは、今思えば当然だったのかもしれない。





ヘッポコ星では、10人から15人くらいの「ヘッポコ団」とよばれる仲良しチームを組み、定期的に催し物をする。


ヘッポコ団同士で、互いの特技を磨いて発表し、観賞しあうのである。


(これは、地球では義務教育に当たる。)


ジョダギリ・ホウの所属するヘッポコ団、「帰ってきた団時朗」ではホウはエースであった。


ホウの実力で、団の人気はウナギ上りにあがっていったのである!



(ホウの最強のグワ・ナシニモである、「ホッホッホ~~ウ!!」の魂の叫びは、人々の心を捉えて離さない)




しかし、ホウは裏切られていたことに気づかなかった…。




「帰ってきた団時朗」の面々は、人気が上がるにつれだんだんと天狗チャンになってきた。


しかもモテはじめた。



彼らは自分たちに本当に実力があると思い込み、ホウが大切にする「ヘッポコ魂」を忘れてしまったのだ。







もはや、ヘッポコ魂を貫こうとしていたのはホウだけだった。



コルモリとグワ・ナシニモを欠いた彼らの表現は、もうすでに表現と呼べるものではなかった。


自分のエゴを満足させ、他のヘッポコ団に媚を売るだけの猿芝居である。


しかも夜はセックス・パーティーに溺れる日々だ。




ホウは「そこだけはうらやましいな」と正直思ったがグッとこらえ、ひとりグワ・ナシニモを繰り返した。



だがある日、他のヘッポコ団員から言われるジョダギリ・ホウ・・・





(以下、地球語訳)

「ホウさんの叫びも祈りも、もう必要ないんです。


 そんなものなくても他のヘッポコ団は満足しますし、

 僕らはモテモテです。

 なぜって、それが世の中だからですよ。」








ホウはひとり泣いた。






そしてその日から、彼は「帰ってきた団時朗」を立ち去ったのだ。




そして義務教育を放棄したとみなされたジョダギリ・ホウは有罪となり、そのまま地球へと島流しにされることになった。




法手続の際、書類に以前在籍したヘッポコ団の名称をを記入しなければならなかったが、ホウは放心してこう書き入れた。





(以下書類のコピー)






A級犯罪人 : ジョダギリ・ホウ


在籍団 : 孤独











彼は、孤独に在籍した。


つまり彼の居場所はどこにもなかったのである。



彼は実は「孤独」と書くか、「真実」と書くか、少しだけ迷った。



だがいずれにせよ同じこと



ホウにとって孤独は、真実と全く等しかったから。







ホウはなぜあの曲を聴いて、全てを想い出したのだろうか?


おそらく彼がまだ孤独ではなかったころの何かを、あの曲が想起させたのだ。




彼はその「何か」にあたる地球語を捜し求めた。



いちばん近いものは、「あたたかさ」であった。






ホウは「あたたかさ」と、ひらがなで書くのが好きだ。


この字面が、いかにもあたたかく感じるのである。




ジョダギリ・ホウは今日も梅酒のソーダ割りをあおりながら、

ノートに「あたたかさ」と100ぺん書いてみた。










これで少しは、孤独がまぎれるように思えた。





ホウが聴いた曲↓


http://jp.youtube.com/watch?v=mtGymzkB_cc




i wish you were here to listen this song ...

oh my love

my love ...
2009-06-21 02:01:10

ジョダギリ・ホウの涙

テーマ:[連載] ジョダギリ・ホウの夢の復権 
ジョダギリ・ホウは今日も梅酒のソーダ割りを買わなかった。





最近のジョダギリは、故郷ヘッポコ星への郷愁がつのり、



なにかしらこの地球でも、「ヘッポコ魂」に満ちたものがないかどうかを物色しているのだ。




残念だが、酒代は減る一方である!






(ヘッポコ魂とはすなわち、地球語では「祈り」にあたる「コルモリ」と、「叫び」にあたる「グワ・ナシニモ」に満ち満ち
ている表現のこと、あるいはその瞬間にある表現主体そのもののことを指す。)





ホウは、この地球では唯一「芸術家」と呼ばれるごくごく一部の誠実な人間たちが、ヘッポコ魂と同種の想いをかか
えているということに気づいた。

そこでホウは、彼らを捜し求めた。







ジョダギリ・ホウはまず、中野区立中央図書館で、フリードリッヒ・ニーチェと出会った。


フランツ・カフカにも出会った。




彼らは、ジョダギリと同じ想いと孤独を抱えて、死ぬまで戦い続けていた。








ジョダギリは泣いた。







この地球という場所では、自分のことを見つめてくれる人間などどこにもいないと思っていた。



なぜみんながみんな、自分のことを心から想ってくれないのか?



なぜみんながみんな、自分と深く関わろうとしてくれないのか?



なぜみんながみんな、ホウの鋭い眼光の奥に隠れている深い悲しみに気づいてさえくれないのか?







ホウはあまりの孤独と悔しさに、毎日毎日、


「クソウ! クソウ!!」


とチャリンコに乗りながら泣き叫んでは、バイトに遅刻していたのだ。




それが彼のグワ・ナシニモであった。



しかしジョダギリ・ホウは今はじめて、仲間に出会ったという感覚に襲われた。

あるいはそう信じるようになった。





そしてはじめて、うれしさのあまりに、泣いたのである。


うれしくて、泣いたのだ。





しかしはたから見れば、これほど惨めな姿もなかった。

必ず、恥だけが残るのである。

つねに、恥だけが、自分が消え去った後にも・・・。










そしてジョダギリ・ホウは、以下の映像に感動する。

ここには、自分の愛する、あるいは尊敬する人に対しての純粋なコルモリと、

自分自身の心のグワ・ナシニモが高度に結びついているのを感じたからだ。



peter gabriel : biko


magma : otis





ho ho ho !!


for all lovers and losers in the world


ho ho ho !!
2009-06-16 22:58:04

ホウにとって恋とはラフマニノフの二番であった (ナワ・コルモリ)

テーマ:[連載] ジョダギリ・ホウの夢の復権 
a story of jyodagii ho


0000000000000000000000000000000000000000000


ジョダギリ・ホウは恋をした。


(ナワ・コルモリ)



相手は、松屋の店員の女の子である。



年のころは、まだ19か20くらいか





朝10時



カレーと生野菜の食券を買うジョダギリ・ホウ


食券をおき、ふとカウンター内を見上げると・・・



その子は輝かんばかりの笑顔で言った。



「カレー野菜セットいっちょう!」


ジョダギリ・ホウにとってこの一言は、まるでミューズの竪琴からくり出される甘美なメロディーであった!



そして彼の体に電撃が走る。



そう、恋とは電撃そのものである!



電撃を伴わないものを、私は恋だと信じない。




はっきり言って、彼女は松屋のような下賎なジャンクフードチェーンには全く似つかわしくない。


純真無垢な、色白のかわいい娘さんである。


店内から食品全てが茶色に塗りたくられたこの肉食ゾーンのなかで、

彼女はまさに紅一点であった。




他に紅いのは紅ショウガだけである!!





ホウはカレーを食いつつ、横目でチラチラと彼女の胸のネームプレートを盗み見ようとした。
そして・・・



「ながおか」





この瞬間から、この名前はホウの記憶に永遠に刻まれるものとなった。


ヒラガナで書かれているところがまた良かった!


なぜだかとってもかわいらしい感じがするのである。




下の名前はなんと言うのだろう・・・


だが、それを聞く勇気はジョダギリにはまだない。






彼女はまだ新人なのだろう、仕事もぎこちない感じが残る。


そして店が忙しくなってくると、彼女はあからさまにテンパってきた!




ホウはカレーをミソ汁で流し込みつつ、ながおかさんをココロの底から応援し始める。



「がんばれ、めげるな! ミソ汁出すの忘れずにね!!」



ホウにできることはそのくらいであった。


本当はもっと彼女のために何かをしてあげたかった。




忙しいのにヅカヅカと店内に入ってくる客に向かって


「帰れこのブタ野郎! いやもとい、ブタめし豚汁セット野郎!」


くらいは罵ってやりたかった。



だがホウはじっと、ココロの底から彼女のことを想い続けた。


彼女が早く仕事になれてくれますように

そして、彼女が幸せになれますように。。。



このとき、ジョダギリ・ホウに霊感が走る。


いったい、「おもいやり」というものはどこから生まれてきたのだろう?


ホウは間違いなく、彼女のことを「おもいやって」いる


自分の存在というものを、彼女のうちに投影し、

まるで彼女の苦難が、自分の苦難であるかのように感じようとしている。


そのとき、ホウは自分自身を抜け出して、「おもいやりそのもの」となっているのだ。


それは、純粋な瞬間であった。



そして、このほかの人間を「おもいやる」という人間の営為


これこそが、ホウにとって何よりも大事なもののように思われた。



この「おもいやり」がこの世には確かに存在しているというのに、


なぜ人間たちは互いに傷つけ、殺しあっているのだろうか?


延々と、歴史を貫いて






(アインシュタインはかつてこう言った。

「この世に無限なものは二つある、宇宙と、人間のおろかさだ。

もっとも、前者はまだ証明されていないが・・・」)






ながおかさんは、ホウにおひやを二回、注いでくれた。


ホウは食事中に水を良く飲むのである。


ホウは、舞い上がらんばかりにうれしかった!



そしていつものごとく、ホウはこの彼女の行為を、自分への好意ととりちがえた!


彼女はもしかして、俺のことが気になっているのかもしれない。


ヤッホ~ウ!!


ホウは得意気になった!


いままでも散々同じような誤解を繰り返してきて、そのたびにコクって、でフラれ続けているというのに・・・


ああ、彼はいったい、いつになったら学ぶのか・・・


おそらく、永遠に学ばないのであろう!




なぜなら、この滑稽な誤解と舞い上がりこそが、恋の本質だからである。



簡単な成功は、恋の本質を裏切るものだ。







ホウは後ろ髪を引かれつつ店を出る。


「ごちそうさま!」


と彼女にニコヤカに笑いかけて・・・




彼女も「ありがとうございました!」


とニコヤカに笑いかける。



このときホウは、まるで天にも昇るような気持ちだった。









これだけで、いいんだ。


これで、いいんだ。


人間は



ホウは、そう思った。






そしてジョダギリ・ホウは本気で思った。


「おもいやり」についての台本を書こうと・・・



人間は美しい


それを信じて、裏切られ、そしてまた信じるようになる男の話を


美しい話を、書きたい



ただ、そうおもった。











(ヘッポコ星では、地球語で「恋」にあたるコトバはないが、

それに最も近いコトバが、

「ナワ・コルモリ」である。


新しい、祈り



それが、ナワ・コルモリの意味である。)
2009-06-12 23:41:13

ジョダギリ・ホウⅡ once i was a heppoko seijin

テーマ:[連載] ジョダギリ・ホウの夢の復権 


『jyodagiri ho (ヘッポコ星人)の夢の復権』第78夜



00000000000000000000000000000000000000000000000000000000





ジョダギリ・ホウはバイト先にチャリンコで通う。






彼はJRに払う金など持ち合わせていないからだ。





そんな金があったら梅酒のソーダ割りを買う!





今日も踏み切りでつかまり、バイトに遅刻するジョダギリ・・・。





なぜ、いつも電車にのるときは駅で待たされてばっかりなのに、

踏み切りは待てども待てども開かないものなのか?




踏切が開かないということは、電車は来まくっているはずではないのか?

これは多くの地球人も抱いている疑問であろう。





ジョダギリは、これは地球特有の「時空のゆがみ」が原因であると考えた。

このゆがみを直すのも、ジョダギリの使命であろう!






だから彼は今日も鼻息荒く、ひとり酒をあおりながら、「JR時刻表」を熟読しているのである!!








おかげで山手線の駅は全部ソラで言える!!









ジョダギリは一回、バイト先の飲み会で女の子にモテようと、山手線の駅名を連発しまくった。


ジョダギリの口角からは、泡だった梅酒のソーダ割りが飛び散りまくっている。


それほどの本気度であった!





彼にとって山手線の駅名連発は、まるでクジャクの美しい羽か、美声によるゲーテの詩の朗読に値するほどに、

チャーミングかつフェロモン分泌系の媚薬となり、女性をひきつけるはずであった。






これで間違いなく彼女ができるはずであった!








だが、ジョダギリの誠意のこもった「グワ・ナシニモ」は、
決してギャルの心にはとどかなかったのである!




ただ、「キモ~い」の一言が、ギャルたちの反応の全てであった。





また失態だ!!













ジョダギリはひとり泣いた・・・。

泣いて、「コルモリ」を繰り返すのだ。








以降ジョダギリは、飲み会に誘われもしなくなった。










(次回は、ジョダギリ・ホウが松屋のバイトの少女にホレる話を予定しています。)

powered by Ameba by CyberAgent