応様と私の魅酒乱

不良オヤジの備忘録と回想 サケ・旨いもん・本・映画・トリ


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 もう10年以上マッカランを飲んでいなかった。

 ザ・マッカラン。スペイサイドの銘酒であり、シングルモルトのロールスロイスと呼ばれるほど評価が高い。

 シェリー樽で寝かされている。ためかどうかは知らないが、最初に飲んだ印象は、甘いサケであるいうものだった。その印象が強く残っており、辛口のサケが好みになった頃から遠ざかっている。

 ポピュラーなサケであり大量に生産されているため、どんな鄙びたバーでもお目にかかれるし、どんな田舎の酒屋でも在庫がある。

 だから有難みがない。マッカランを飲む金があったらアイラを飲む。


 今頃マッカランを飲む気になった理由は、昔読んだ小説を思い出したからである。その小説の登場人物が、大きめの氷をごろりと転がしたグラスでマッカランを飲む。

 サケの飲み方は自由だけれど、シングルモルトはオンザロックにはしないものだ。

 でも、やってみようかな、と思った。


 ストレートで味の確認をする。一飲、とてもオイリーな印象を持った。チェイサーが欠かせない。そしてやはり甘い。が、スプリングバンクのように好ましい甘さだ。

 これならばロックもありかもしれないと思った。

 ストレートでクイクイ入っていき、適当な大きさの氷を見つける前にボトルが空いてゆく。



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    『開かせていただき光栄です』   皆川博子 

                      早川書房(2011)


 優れた小説は、臨場感が素晴らしい。
 本書では、開巻いきなり十八世紀ロンドンの解剖教室の空気が漂ってくる。
皆川博子というブランドから、衒学的幻想的な歴史小説を期待したが、本書は100%ミステリである。人が死ぬ、あるいは殺される。なぜ死んだか、犯人は誰だ、そういう物語である。
 ただし背景が十八世紀ロンドン、屍体は四肢を切断された少年と顔を潰された男性、そして妊婦。登場人物は解剖学者とその弟子たち、天才詩人、探偵役に盲目の判事という尋常ではない設定がとても魅力的だ。
 度重なる殺人と偽装、証拠隠滅と捏造。物語は二転三転し、残りの頁数が減るにつれて作品は加速してゆく。そのスピード感が心地よく、後半はほとんど一気読みだった。
 ラスト近く、それは反則だろうと云いたくなるようなご都合主義的なアクロバットがある。昏くて重たい悲劇が好きな読者ならば罵倒するであろうこの展開により、本書は軽妙な娯楽作品として成功した。
 しかし読み了えてみれば、エンターテインメントの域を出ていない。一流のエンターテインメントではあると思うが。
 当時の解剖学の様子についてもっと読みたいと思ったし、それについてのユニークな考察があれば、本書は単なるミステリにとどまらないジャンルを超えた傑作になったかもしれない。
 オープニングこそワクワクさせられたが、十八世紀の解剖学者の弟子は、どんなメスで屍体を切ったのか、どんな鋸で骨を断ったのか、どんな鉗子で何を挟んだのか、もっともっと読みたかった。
 詩人が通うカフェの香りや、殺人者が訪れたパブの匂いも、もっと嗅ぎたかったと思う。



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 風呂やシャワーは朝使う習慣がある。夜は酔って疲れて風呂どころではない。

 風呂上がりにビール、とはよく云われるが風呂に浸かりながらのビール、というのも乙なものである。映画『マディソン郡の橋』でメリル・ストリープがそんなシーンを演じていたように記憶する。



 日曜に宴があった翌日月曜の朝7時、一週間が始まる都会の様子を眺めながらホテルのバスタブに湯を張り、浸かり、ビールを飲む。あろうことか煙草まで喫う。

 リタイヤしたテメエの身分とか世間様の様子とか関係なく、今ここで風呂に浸かりながらビールを飲み、シャワーを浴びるという贅沢を満喫する。今だけは。




 ホテルの部屋を出た瞬間、一体いま何時でここが何処か判らなくなる。

 そんな風景である。リネンの人とかがいれば少しは現実的な風景にも見えるだろうに。

 S・キングとS・キューブリックが怪作にして傑作『シャイニング』の想を得たのもこのような風景からかもしれないと思った。





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 名古屋マリオット52階ジーニスでマルガリータを飲む。


 サラリーマンをやっていた頃、金曜の晩に雨が降るとホテルのバーに寄って帰る習慣があった。

 自転車通勤をしていたので雨では自転車が使えず、ならば飲んで帰ろうと思った次第。

 バーは居酒屋に比べて少々敷居が高いが、時にはちゃんとしたカクテルや珍しいサケの味を確認したかった。

 バーも早い時間に行けば酔っぱらいはいないし、バーテンと喋ることもできる。


 マルガリータはショートカクテルのなかでも喉越しがよく、最初の一杯にこれをたのむことが多い。

 また、とてもポピュラーなカクテルで、完全にレシピが確立されており、何処で飲んでも大抵同じ味がする。

 安心してオーダーできるのであるが、その分つまらなくもある。

 この店のマルガリータは絶品でねぇ、なんてことが基本的にあり得ないのだ。

 ベースとなるテキーラの銘柄を変えれば多少は味の変化も楽しめるのかも知れないが、そこまで舌が肥えているわけでもなく、テキーラの知識があるわけでもない。


 ウィスキーや焼酎についてはいろいろと煩いことを云うこともあるが、テキーラやラムについてまで煩くなるには人生は短すぎる。

 否、同じ店で同じサケばかり飲んでいる方が悪いのだ。生きてるうちは、もっと冒険しなくてはいけない。




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 宴の翌日は、昼餉にひつまぶしを喰ってやろうと企んでいた。

 ビールではなく燗酒を添える。

 一口飲んで、! となった。

 お店の人に銘柄を尋ねたら、剣菱だと云う。静岡の居酒屋では、なかなかお目にかかれないサケである。

 学生時代にはよく飲んだサケである。それも冷やでがぶがぶと。

 俺は剣菱の何を飲んでいたのかと反省する。

 剣菱の燗、侮れ難し。旨い。

 で、主菜登場。


 稲生エスカ店のひつまぶしはこの日サービス価格の¥2260、燗酒¥420也。

 静岡では、歩いて行ける距離に適当な鰻屋がなく、鰻を喰うときはいつもクルマで出かける。

 従ってサケが飲めない。

 鰻を目の前にする度、これを肴に一献傾けたいものだといつも思っていた。

 それをこの日叶える。


 ひつまぶしというものはですね、まずは蒲焼とごはんをそのままいただき、次は葱や芥子などの薬味を添えていただき、最後は鰻茶漬けにして…

 し、しまったぁ~!


 山椒を振りかけるのを忘れたではないか。今気付くとは。

 蒲焼を見ると、つい逆上してしまい、いま食べねばスグ食べねば早く食べねば熱いうちに、などと思い、山椒を忘れる事しばしばである。




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 去る日曜、旧き友が催した宴に呼ばれて名古屋に出張った。

 ひかりに乗り込むと、絶妙のタイミングで車内販売のワゴンが来る。まさか計算されているのではあるまいな。

 ひかりなら静岡からわずか1時間で名古屋に着くので、降りる間際ではなく乗ってしばらく経った頃、というタイミングが絶妙なのだ。アル中ではないから1時間の間サケを我慢できないわけでは決してないが、どうぞと云われればそれは飲みます。

 サントリー山崎12年50ml、¥1120也。ホテルの冷蔵庫にあるのは¥1100、近隣のバーでシングルをロックでオーダーしても千円は下らないと思う。

 だから高いとは思わない。

 昼下がりの静かな新幹線車内で、読書しながらウィスキーが飲めるのは至福である。



 せっかく名古屋に来たのだから、宴を控えていても久しぶりに名古屋メシを喰いたいと思った。

 遅めのランチに名駅4丁目のスパゲティハウスチャオを訪れる。

 あんかけスパゲティというモノですね。トッピングはポークピカタ。

 ピカタは好きな料理なのだが、作ってくれる人がなく定食屋や居酒屋のメニューにはない。稀に、学生食堂や社員食堂で目にすることがあるが、このごろは斯様な食堂も縁遠くなってしまっている。

 卵をまとった豚肉が4枚、辛めのパスタのソースにビールが進みます。



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 『キャプテン☆アメリカ』第3作として制作されるべき映画が、アベンジャーズのせいでぐちゃぐちゃである。
 超人タッグマッチの花相撲は早くも見飽きた感がある。ヒーローVSヒーローの図式は、ヒーローと対峙するべき強大な敵役が枯渇し、新たなそれを創造できない作り手の想像力&企画力の貧困を露呈するものだ。
 本作の軸が、キャプテン☆アメリカとウィンター・ソルジャーのその後であるとするならば、主要登場人物は、キャプテン☆アメリカ、ウィンター・ソルジャー、ゲストとしてのアイアンマン、この3人だけで良い。
 客寄せパンダと化したアントマンやスパイダーマンはカットしたほうが映画としてスッキリする。ピンで客を呼べるキャラを出せばファンの人が映画を観てくれるだろうという制作側の魂胆が透けて見え、ましてそのキャラ造形もあまりにお子様ランチで、昭和ゴジラ映画の末期を観るような悲しさが漂う。ファルコンやブラック・ウィドウは脇に徹しているので許せるにしても、蟻と蜘蛛は出してはいけない。『キャプテン☆アメリカ』パート3は、蟻や蜘蛛の予告編であってはならなかった。



 当地のシネコンには、こんな方や、



 こんな方がいました。



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   ベン・H・ウィンタース   『世界の終わりの七日間』           
        上野元美:訳      早川書房(2015)


 『地上最後の刑事』三部作完結編。云うまでもないことだが、前2作を読んでから手に取るべき一冊。
 巧い邦題だと思う。原題は〝World of Trouble〟。平坦な直訳ではなく、読者の購買意欲をかきたてる名訳題であると思った。
 小惑星が衝突するまで、あと七日。世界が終わるまであと七日しかない中、主人公は妹を探す旅に出る。タイムアウト寸前の探索行だ。
 世界が終わることが明らかになると、様々な流言飛語、新興宗教、デマが飛び交い、当然ながらそれにすがる人が出る。破滅が近いので、何の判断基準もないのである。
 主人公の妹は、小惑星衝突回避を実行しようとする集団に身を寄せて兄の許を去っている。
 小説の構成は全六部+終章。つまり七つの章から成り立つ。一日一章、七日間で読み終えたりするのも一興かもしれない。
 これまでの作品同様、世界が終わるというのに、作品の視点がすべて主人公の元刑事のものであるため、タイトルやテーマに比して小ぢんまりとした作品世界であるという印象も免れない。
 しかしラスト七日というスピード感は半端ではない。緊張感もまた。急がないとすべてが終わってしまうぞ、と主人公に叫びながら本を読む。
 妹は見つかる。思いがけない形で。
 謎は解かれる。いささか技巧を凝らしてはあるが。
 そしてその日。間もなくそれが地球に落ちてくるその時。

 とても静謐なラストシーンだ。



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 二十年以上も前のことになるが、名古屋に住んでいた頃、居酒屋で食したホタルイカに当たったことがある。相当ひどい目にあっているのに、何も学習することなく、懲りることなく、こうして馴染の店でホタルイカを肴にサケを飲むのである。

 


 他日、他店。大村バーのホタルイカです。

 当たる時の貝などは、異様に旨いと聞く。安心して食べられる美味しさです。


 牛のたたき。

 飲み過ぎ故の胃弱であるが、美味しいモノが食べられるときに、美味しいモノを食べることが至福である。

 翌日の腹のもたれ具合や、二日酔の程度を気にしていては、サケにも肴にも申し訳ない。

 加齢のためか、食が細くなりサケも多くを飲めなくなった。

 その分明るいうちから宴を始めれば、店が宅から歩いて行ける処にあるので帰りのバスや電車の時間を気にすることもない。

 すぐに腹が膨れるので、財布の中身を気にすることも少ない。とても有難いことである。

 それにしても、いつも萩錦だなあ。少し飽きてきたぞ。




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      ベン・H・ウィンターズ 『カウントダウン・シティ』          
            上野元美:訳    早川書房(2014)


 『地上最後の刑事』続編。作者の文体に慣れたせいか、読みやすく感じる。
 小惑星の地球衝突は77日後に迫り、インフラの停止や食料不足、治安悪化などが物語の背景に描かれる。直截的な表現は少ないが、主人公の目を通して語られるので、とてもリアルだ。小説の書き方が巧いのだろう。
 世界の終わりを前に、行方不明者続出のなか、敢えて人探しを請け負う主人公の元刑事。
 多くの人が、死ぬまでにやりたいことリストを実行せんがために、身勝手な行動に出る。気持ちは判る。77日後に世界が終わり自身が死ぬとしたら、それまでに抱きたい女もいるだろう、飲みたいサケもあるだろう、行きたい所もあるだろう。
 そういう人が多くいる中で、敢えて日常を貫く主人公の勇気と諦観がとてもハードボイルドだ。
 物語は7月18日に始まり、エピローグの8月12日で幕を閉じる。しかし最終章が7月24日なので、事実上は僅か一週間の探索行である。
 この密度の濃い一週間の間に、世界からみるみる秩序と法が失われ、ミステリはプレ・アポカリプスの比重を増してゆく。
 小説終盤で日常が完全に失われ、エピローグでは廃墟と化した世界でのサバイバルが始まることを予感させる。
 現実に終末が近いことが確定した世界で、人々がどのように考え、行動してゆくのが気になって読み始めたシリーズである。
 世界の終わりが自身の終わりであり、自身の終わりが世界の終わりなのだ。還暦を射程に据えてしまい、思いがけない速さで肉体が朽ちてゆき、自然災害の脅威も他人事ではないことを思い知る今、もうじき世界が終わるという作品世界の背景をとても身近に感じてしまう。残念なことに。
 そして自分が、死ぬまでにやりたいことリストを実行したくて仕方のない人間であることを自覚する時、主人公のヘンリー・パレス元刑事の眩しい生き方が参考になるのではないかと思った。



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