2013年11月21日(木) 20時24分48秒

後がない

テーマ:10F支配人兼作家 米澤
 晩秋の夕暮れ、ふと見上げた空に浮かぶ下弦の月はどこか不思議な光を放ち、眺める者を惹きつける。白く輝く凛としたその姿はあらゆる邪気を削ぎ落とした無我の境地を掻き立てる。ひとは美しいものに反応する、花であれ景色であれ、人の心であれ、美しいものに感動する。時代が移ろいゆこうとも、それがひとの本質なのだろう。
 LucianoShow10f支配人米澤です。

ルチアーノショーで働くスタッフのブログ-月

 来たる12月17日、赤坂ルチアーノショーは開店3周年を迎える。支配人としてこのうえなく喜ばしいことではあるのだが、正直苦しい、非常に苦しい。一昨年の1周年記念パーティーは当然盛り上がり、2周年の昨年は007の‘スカイ・フォール’でさらに盛況であった。ホップ・ステップでジャンプの今年、更なる飛躍が試される。失敗すれば、‘後がない’、個人的には厳しい状況である。先日の、‘ネタがない’窮地は辣腕カメラマン、チャーリーのセンス溢れる写真に救われたが、今回は非常に危うい、アイデアが全く浮かばないのだ。閃(ひらめ)きを求めて、小旅行に出ることにした。

ルチアーノショーで働くスタッフのブログ-あずさ1

特急あずさに乗るのは何年ぶりのことだろう、信濃路への旅は何故か心を抉(えぐ)る。いつまでも答えを出さぬ自分を見捨て、他の男(ひと)のもとに飛び込んでしまった彼女を責められるはずもない、そんなこともあった。

 失うことで大切なものに気づき、何かを得ることで見えなくなるものもある、まことに人生とは奥が深い。

 人生いろいろ
 男もいろいろ
 女もだっていろいろ咲き乱れるの   (島倉千代子 「人生いろいろ」より)


 出発の前日、旅のお守りにと、チャーリーに小さな包みを手渡された。綺麗に包装された小さな箱をしっかりと握りしめた。

 美しい景色に誘われ、途中下車をした。晩秋の信州の冷え込みは厳しい、渡る吊り橋の遥か下には穏やかな清流が霧に霞む。目が眩み思わず腰を落すと、突然不安な思いがこみ上げる。これまで、自分は正しく生きて来られたのか、一番大切な女性(ひと)さえ幸せにしてあげられなかった。こんな自分にこの先、生きてゆく資格などないのではないか、ひとを喜ばす企画など浮かぶはずもない。もはやこれまでか、と諦めかたその刹那、やさしいチャーリーの表情が浮かんだ。たまらず、前日彼に手渡された包みを開けると上品な革の手袋が収まっていた。やわらかくなめしのかかった墨色の手袋であった。これから迎える厳しい冬には欠かせぬものである、冬まで生きていようと思った。

ルチアーノショーで働くスタッフのブログ-box ルチアーノショーで働くスタッフのブログ-手袋

 人からの贈り物はときにとてつもなく大きな勇気を与えてくれる。

 「そういうことだよ」
 あの舞台監督(おとこ)の呟きが聴こえた、気がした。

 それでは本日のBGMを。あずさ2号 by 狩人

 さて、ルチアーノショー3周年記念日まで、残り1か月をきった。ひとの成長は素晴らしい、思い悩んだ旅から戻ればスタッフたちが捻りだした素晴らしい企画が待っていた。気づかぬうちにひとは育つ、伊勢の式年遷宮に携わる宮大工の技術のように、ルチアーノショーの使命もまた脈々と引き継がれてゆくのだ。ひたすら挑戦し続けるルチアーノショーに妥協はない。何かが起こる記念イベント、12月17日、赤坂ルチアーノショーはあなたのドラマを演出します。ルチアーノショーがお届けする今年最高の贈り物、是非、お受け取り下さい。

ルチアーノショーで働くスタッフのブログ-ルチアーノショー

 皆さまのご来店をお待ちしております。


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【後がないあとがき】
文豪自身が写された手袋の写真は、

舞台監督と打ち合わせ中の二人のカメラマン、
チャーリーさんとナタリーに事前確認してもらいました。

写真を見た二人は一言。
「写真へただね。」

笑う舞台監督。
「天は二物を与えず
    そういうことだよ」

にわかに脱線する打ち合せは、
私タケダとナタリーが新宿駅へ支配人米澤を見送りに行った話へ。

ナタリーが次々に駅ホームの写真を披露すると、
「それにしても、ナタリーはもうちょっと文豪を撮ってあげれば良かったのに。」
舞台監督がそう仰った刹那。
ナタリーと私の頭の中に「?」がよぎった。

特急あずさの写真のほとんどは、文豪こと10F支配人米澤は写り込んでいるのだ。


「監督、ここに写っているのは支配人ですが、、、」
$ルチアーノショーで働くスタッフのブログ-あずさ2
「車掌かと思ったよ」

"間もなく3周年へ到着いたします。"
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