2013年08月29日(木) 21時05分54秒

傘がない

テーマ:10F支配人兼作家 米澤
 八月の午後の激しい通り雨が去った穏やかな街の風景を眺めながら、海の向こう遠く離れたアメリカ、オレゴンの空に想いを馳せていました。強い陽射しも、降り注ぐ雨も天の恵み、傘など持たず全身で受け止めようとする彼の地の人びとの姿勢は素晴らしい。一方で、実用性の中にも美を追求する侘び寂びの精神の根づいた日本のモノづくりの文化の中で、傘作りの技術もまた何代もの職人たちに引き継がれ、雨の日には欠かせぬものとなりました。
 LucianoShow10F支配人米澤です。

ルチアーノショーで働くスタッフのブログ-オレゴン ルチアーノショーで働くスタッフのブログ-和傘

 今から40年余り前のこと、国の将来を憂い、歪んだ社会を正そうと数多(あまた)の若者たちが立ち上がり、一気に全国に飛び火した燃え盛る炎は日本中を学生運動の渦に巻き込みました。彼らの真剣で純粋な想いは、ときに過激な行動をもたらし大きな政治問題へと発展します。

 やがて、業を煮やした国家権力警察に送り込まれた機動隊に制圧され挫折した彼らは自分たちの行動に疑問を抱き、考え始めます。国の将来も勿論大事だが、降りしきる雨の中、傘がないことの方が今の自分には大きな問題ではないのかと。激しい雨に打たれれば一本の傘のありがたみがよく分かる、つらい経験は他人(ひと)の痛みを教えてくれる。目線を変えれば大切なことは周囲に無数にあるのだと。

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 合作ブログ第一部で、美しきナタリーは雨に濡れても力強く生きる人びとの姿を取り上げた。しかし、厳しいこの世の雨に打ちのめされ、ときには傘を必要とするひともいるだろう。
 このあとの合作ブログ第三部をまとめる辣腕カメラマン、チャーリー。ひとの心の姿まで映す何枚もの美しい彼の写真は、これまで多くのひとの心を癒してきた。ルチアーノショーのピンチをも幾度となく救ってきた。そう、気づかぬうちに彼は人びと心の傘となっていた。
 心の傘といえば、私にはもうひとつある。

 死のうと思っていた。
 ことしの正月、よそから着物を一反もらった。
 お年玉としてである。
 着物の布地は麻であった。
 鼠色のこまかい縞目が織り込められていた。
 これは夏に着る着物であろう。
 夏まで生きていようと思った。   (太宰治「晩年」より)

ルチアーノショーで働くスタッフのブログ-傘がない

 厳しい暑さの残る九月を迎え、残された命を惜しむかのように蝉しぐれの音色が激しさを増す。照りつける強烈な陽射しにも負けず、凄まじいゲリラ豪雨も躱(かわ)し、傘など持たず生き延びた。行く先々で向かい風、人生なんてそんなもの、自分を信じて生きてゆく。それでもこんな日の夜は傘に守られ休みたい。

 そうだ、ルチアーノショーに行こう。

$ルチアーノショーで働くスタッフのブログ-店

 皆様のご来店をお待ちしております。


 さて、今夜のBGMは、勿論、「傘がない」by 井上陽水。

雨にぬれても→傘がない、と来たが、彼(チャーリー)なら何と応答するだろうか。私の予想では、ショパンの「雨だれ」あたりだろうか。

 合作ブログ第三部、お楽しみに。

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