とある小学校の近くには、当店管理の飲料自販機が設置してある。
飲料の補充作業をしていると、続々と綺麗な衣装を来た子供たちと、親御さんが
私の前を通っていく。
今日は市内の小学校の卒業式のようだ。
皆、お父さんや、お母さん、友達たちと家路に向かって歩いていく。
そんな中、一人の女の子が、ふと目に留まった。
大勢の親子の中で、その子だけが一人で歩いている。
今どきの小学校の卒業式は、男の子は背広の様な衣装。
女の子はAKBのアイドルの様な衣装。
（イメージ画像）
そんな中、その少女は一人、黒いカーディガンを来て歩いていた。
少しうつむき加減で歩くその子は、まわりの親子と違い、少し寂し気に見える。
ここからは私の想像の話になるが・・・。
彼女はきっと周りの友達の様に、かわいい制服の様な衣装で卒業式に出たかった
のではないだろうか？
そしてそれ以上に、親に見に来て欲しかったはずである。
ひょっとして母子家庭で、お母さんは仕事で来れなかったのか？
制服も買ってもらえず、黒いカーディガンで我慢をしたのか？
・・・？？？
私が子供の頃通っていた小学校は、近所の普通の公立小学校。
旧東海道沿いにあったため、歴史だけはあり、私が通っていた40数年前に、すでに
100年以上の歴史があった。
別に、いいとこの子が行く学校では無かったが、なぜか制服があった。
上下グレーのジャケットと半ズボン。
毎日その制服を着て学校に通った。
そして、学校の外に行く校外学習や修学旅行、入学式、そして卒業式も。
回りも皆同じだから、着飾る事による「差」は無かった。
それでも個性は十分表現できていた。
算数の出来る子、足の速い子、絵の上手い子、ピアノの上手な子。
面白い子、魚釣りの上手い子、野球の上手い子などなど。
昨今、中学や高校でも、制服が無くなった学校があるそうだ。
私服にする事で、個性が表現できるとか？？？
大人になり、自分で衣装を選べるようになってからは個性かもしれないが、小学校の
卒業式の衣装など、親のエゴにしか過ぎない。
先の黒いカーディガンの少女は、お母さんに無理を言わず、家族の事を考える
心の優しい子では無いだろうか？
それこそが本当の個性であり、立派な大人の女性になれる可能性を秘めている様な
気がする。
今日は、少し惨めな気分の卒業式だったかもしれないが、胸を張って歩いて欲しい。
誰にも祝ってもらえないっと思ったかもしれない。
でも、そんな事は無い。
君にとっては、ただの風景の自販機を補充するオジサンだが、そのオジサンから
君だけにお祝いを言おう。
「卒業おめでとう」
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