違いが、分かりすぎるコーヒー。
嗜好品とは、栄養のためにではなく
楽しむためにとる飲食物である。
酒やタバコ、コーヒーなんかがそうだ。
チョコレート、ココアも嗜好品のひとつであったが、
原料のカカオにポリフェノールが含まれていると
いうことで、いつにまにかカラダにイイ食品みたいな
位置に格上げされている。
それにしてもポリフェノール。たいしたものだ。
新しい商品価値を作って、ランクアップさせて
しまうのだから。そんなポリフェノールマジックをまた発見。
★今回の!なコピー。
コーヒーで始めよう。
朝のポリフェノール。
AGFのインスタントコーヒー<マキシム>
ポリフェノールリッチの広告より。
一見すると、どうってことのないコピーだが、
コーヒーの価値を、ポリフェノールで
訴求したアプローチはこれまで無かったのではないか。
この商品、今までの<マキシム>より2倍の
ポリフェノールを含んでいるのだそうだ。
この広告を見た時に、ああ、とうとうコーヒーも
脱・嗜好品をめざし始めたのかと思ったもんだ。
インスタントコーヒーの広告はたいてい、
味わいや香り、そしてコーヒーを飲んで過ごす
という体験を前面に出したものばかり
だったような気がする。
なかでも“違いのわかる男”ネスカフェは
まさにそんな王道ともいえる訴求をして、
ブランドを作ってきたインスタントコーヒーだ。
インスタントコーヒーのブランドといえば、
僕が最初に連想するのはネスカフェ。
他は思いつかない。世間の認知度も同じだと思う
それだけネスカフェは強いブランドだ。
圧倒的?なブランドに対抗するためには、
同じ土俵で勝負をしていけないのは
ビジネスの常識。
おそらくブランド力ではネスカフェより
弱いであろうAGFは、自らが勝てる土俵として
健康というベクトルを設定したのではと僕は感じた。
広告にはAGFのメッセージがこう書かれてある。
AGFは
始めています。
地球に、やさしいこと。
カラダに、うれしいこと。
あなたに、おいしいこと。
これで分かるように、健康によい商品づくりを
はっきりとうたっている。
そういえば、コーヒーオリゴ糖の入った
<ブレンディ>を発売した時には、
「特定保健用食品」のコーヒーなんて
珍しいと思ったものだ。
僕が述べていることは、勝手な推測で
仮説と呼べるほどのものではない。
しかし、明らかにネスカフェとは
違う、はっきりと差別化されたポジションを
AGFはこの<マキシム>でめざしている気がする。
一方女優メグ・ライアンを起用している
ネスカフェの広告のコピー
は、
私の好きな朝を飲む。
朝、コーヒーを飲んですごすリッチ?な時間を
訴求している感じ。(たかが
インスタントコーヒーじゃないか!)
相変わらず、ネスカフェらしい世界だ。
それと比べると、へルシーマーケティング
とでも言うべきAGFの“違いのわかる戦略”は
今までになかっただけに面白い。
もし、インスタントコーヒー市場がすっかり
成熟して伸び悩んでいるか、あるいは
縮小しているかどちらかならば、カラダにイイと
いう<マキシム>の切り口は斬新で、展開しだいで
うまくいくかもしれない。
この商品、多分こだわりのあるコーヒー好きよりも
今までコーヒーに対してネガティブな
イメージを持つ、あるいは今までコーヒーが
特に好きでもない消費者に飲んでもらいたい、
健康志向の強いファンを新たに増やすことを
目指しているように思える。
ただ、コーヒーはポリフェノールを
含んでいるので、カラダにイイと知覚した
消費者が、やっぱりコーヒーはネスカフェよねと
ブランド力で判断して競合商品を選んではしまわないか。
そこが唯一気になる。
ところでコーヒー通や本当のコーヒー好きは
インスタントコーヒーなんか飲むの?
自分で豆を選んで、コーヒーメーカーで
本格的に楽しむんじゃないの?
僕はあまりコーヒーを飲まないから、
そのあたりはちょっと分からない。
それに街は大手カフェチェーンだらけで、
コンビニにも缶コーヒーから専用のコーヒーまで
いろいと種類のある今の世、インスタントコーヒーを
愛飲する理由や、消費者像とはどんなものなんだろう?
余計なことだが、セレブのメグ・ライアン、
本当にインスタントコーヒーを飲むのかな?
ちょっとウソくさいなぁ、そんな気がしません?