2008-09-30 23:49:35

背中が、恥ずかしい。

テーマ:仕事

君にひとつ注意しておくことがある。
一度しか言わない、よく聞いてくれ。
ゴルゴ13に会う時は、彼の背後に立とうとしないことだ。
彼は野生の獣のような男だ。背後に立たれることが
何を意味するのか知っている。
後ろを取られることはすなわち死ぬことだ。ドクロ
 
たとえ女であろうとも幼い子供であろうとも、
イリオモテヤマネコであってもだ、彼の後ろに
立とうとすれば、裏拳やヒジ打ちが飛んでくる。
そして叩きのめされることになる。
いいか、絶対奴の背中に回ろうとするな。
 
…ということでなく、背中のことを言いたい。
思想家の内田樹(たつる)さんによれば、
日本人の規範としてよく言われる「恥の文化」
について、「みっともない」「はしたない」
「世間に顔向けできない」等と恥じ入らせる
人や世間といった他人は、具体的な
誰それでなく、一種の抽象的な概念だという。
 
そしてその概念が個人の中へ刷り込まれていくと、
誰も見ていないような時でも、内からのまなざしを
意識して、「みっともない」ことをするのを
躊躇
してしまうのだとか。叫び
 
こうしたルールは、長らく日本社会や
日本人を支えてきたし、そのような倫理に
育まれてきた人々は、人が居ようが居まいが
つねに居住まいを正して、芯の通った生き方

してきたのだと内田さんは書いている。
 
たしかに明治、大正生まれの祖父母や
昭和のはじめに生まれた親の世代を
見ているとそう感じることがある。
 
そこで背中。人の視線を意識することで
自分を律する日本人の倫理性をとりわけ
強く感じさせるのがお侍さんで
それは背中に対する意識に表れる。
 
たとえば着物の背についている家紋。家紋は家格を
象徴する大切なもの。それがみっともなく見られるのは
恥ずかしい。だから侍はつねにぴしっと背中を伸ばして
家紋を歪ませることなく居らなければいけない。
猫背などもってのほかなのだ。
 
あるいは刀。刀を差すと左後方に鞘の部分が突き出る。
この鞘を当ててしまうことは無作法のきわみとされる。
当てた方も、当てられた方もただ事ではすまない。
時代劇で侍の鞘に何か当ててしまい「えい、無礼者!」
と侍同士が斬り合うシーンを見たことがあるけれど、
そういうことなんだね。
 
武士は鞘を当てないよう、当てられないよう、
自分では見られない(でも他人から見られる)
背中へも意識を張り巡らせたきたのだと言う。
 
内田さんはさらに背中というセンサーが
機能している人は、身体的感知力が強く、
とくに優れたアスリートはそういう力が
備わっていると、中田英寿さんや中村
俊輔選手(察知力という著書もありますね)
などを例に挙げている。
 
だとすれば、この人の背中も
相当にたいしたものだ。
 
 
★今回のビックリマークコピー言葉。
 
 
苦しかったら私の背中を見ろ
 
 
男前な言葉でしょ。これ、サッカー女子
日本代表(なでしこ)のニッポンの誉れ、
澤穂希(さわほまれ)さんの言葉なんですね。
 
北京五輪中に、同じ代表のMF宮間あやさんにかけたのだそう。
見ろと言ったのか、見てねと言ったのか正確なとこは分からない
けれど、思わずアニキと呼びたくなるくらいの
肝のすわった言葉。試合にかける覚悟のほどが伝わってきます。
 
結果で言えば、メダルに届かず4位(すごいことだけど、
3位との差はかなり大きかったのも事実)で終わったけれど、
彼女たち「なでしこジャパン」の戦いぶりは、とてもすばらしかった。
心が揺さぶられるんですね、いつも「なでしこ」には。
 
彼女たちが注目されたアテネ五輪予選あたりから
見たくちだが、ひたむきで献身的な“あきらめませんわ、
勝つまでは”
という姿勢は、とても好感のもてるもので
たとえほかの国の代表でも応援せずにはいられない。
そんな印象があった。(日韓W杯のアイルランド代表も
そうでした)
 
そんな愛嬌が魅力の「なでしこ」といったところだが、
北京五輪の「なでしこ」には、美しさが加わっていたの
にはハッとした。個の技術と戦術的な部分がずいぶんと
レベルアップして洗練したのだ。しばらく見ない間に
ずいぶんベッピンになったねという感じ。
 
金メダルを獲ったアメリカ代表の監督がこう言ったそう。
これから女子サッカーのお手本となるのは日本。

素晴らしいパスと技術がある」と。うれしいじゃないか。
その言葉が世辞でないことは、五輪後に試合のオファーが
殺到したり、「なでしこ」の選手が今度発足するアメリカ
プロリーグから指名されるなどのモテぶりが証明している。
 
男子と比べて支援体制が脆弱な環境のなか、

「なでしこ」が美しく成長できたのは、男子と違って

継続的に強化できたからだと言う。
めざす姿を据えて、イノベーションを加えてきたのだ。
監督が変わってもブレがない。上積みができたんだね。
 
結果として「なでしこ」が愛称でなく、

愛されるブランドになれたのもそのため。
変わらない<らしさ>があって、感動体験を提供してくれる。
(監督名にジャパンをくっつける昨今流行の愛称は
いかんと思う。無粋だしリセットばかりして迷走するだけじゃない?)
 
「なでしこ」らしさの核となっているのが、いつも一所懸命な強い気持ち。
日本での女子サッカーの環境はとても厳しい。Lリーグ発足当初は良かったが、
その後リーグ衰退やチーム解散など地獄を見てきた。いつも崖っぷち、
だからオリンピックでいい成績を残すことがその後の女子サッカーの
運命を決めることにつながるのだ。
 
前述の宮間選手の次のコメントからそれが伺える。
「男子のプロ選手と自分とを重ねて考えることは、正直できないです。
プロはサッカーをすることイコール生活だから、とらえ方も違うと思うんですよ。
私たちは、男子のように『魅せるプレーでファンを増やしたい』って思うと
同時に『結果を出さないとチームが消滅してしまう』っていう現実も
考えなくちゃならないから……」
 
彼女たちが背負っているものは、つねに黄色と赤が
点滅している女子サッカーの未来。
言い訳しなくていけないようなふがいないプレーは、
死んでも見せられない。
澤選手は直前の合宿でこんなことを言ったとか。
「恥ずかしい試合はできない。仲間の思いも背負っている」
 
「苦しかったら私の背中を見ろ」と若い妹分へ自らの
背中で伝えたかったのは、プレーヤーとしての矜持と
覚悟なのか、「なでしこ」のDNAなのか。きっと両方だろう。
澤の姐さん、あんた相当にカッコよすぎる。
 
そんなタフな「なでしこ」だが、一方で涙もよく
見せるようで、最終メンバーにもれた仲間のことを聞いて
みんな涙で目を真っ赤に腫らしたり、最後の練習時に
これで解散かと感極まって泣いたり、試合前にキャプテンが
ポロリと涙したり
、負けて泣いたりとけっこうな量の涙を
流している。「なでしこ」はかなりの泣き虫、でも弱虫でない。
 
個人的に、お、なでしこと思ったのは、ノルウェー戦での
できごと。接触で倒れたままのノルウェー選手。
ユニフォームがまくれて、背中の半分が剥きだし。
 
そこへ「なでしこ」の選手が近づいて、いかに敵であっても、
人前で肌をさらして辱めをうけるなんて許されないことですわ
と言わんばかりにユニフォームの乱れもとに戻して肌を
隠してあげた。
「みっともない」のは恥ずかしい。そこらへんが、大和なでしこ。

羞恥心の国ゆえの敬意か。
 
新米の頃、上司からこんなことを言われた。
仕事はいつも誰かに見られていると思え
人は仕事、仕事をしている姿を見ていないようで、
けっこう見ている
ぞという。
 
新米だから見られていないと思わないこと、
お前の仕事や立ち振る舞いは、社内の人間はもちろん、
直接関係なくても取引先の人、関係者が見ている
(そして何らか評価される)。
 
だから、あいさつ、電話の受け答え、掃除といった
マナーや日常の業務から、打ち合わせや書いたコピー、

文字校正などの仕事まで、よく目につくことも、
目につきにくいことも、きっちりとやれ、手を抜かずやれ、
一所懸命やれ
という様なことを言われた。
お前の背中はいつもさらされいる、油断するなということだ。
 
他者の視線が、現在だけでなく、未来のお前の
評価や信頼につながって行く
というワケだ。
つまり、わたくしというブランドがどう他者に
知覚されるかということにつながるってことだね。
 
あいにくと基本的にボンクラだったので、
ずいぶんできていないことが多く、よく怒られて
いたけれど、今でもそのことは強く意識し、恥ず
かしくないよう、お客をがっかりさせないよう
努めている(つもり)。
 
それでも、余裕や驕りからヤバイ!とか
アイタタなことをしでかしそうになる時もあり、
その度にこの20年以上も前に言われた

言葉を思い出す。
その意味では、キャリアを積んだ今だから
言葉の重みを昔より感じる
のだ。
 
気がつくと、自分より若い世代と仕事をすることが
多くなっており、それはすなわち若い人へ、人生や
仕事の先輩として背中をさらしているわけで、
思っている以上に自分は見られていることを意識しないと
いけないなと、冒頭の背中の話を読んだ時に感じた。
 
澤選手のように、私の背中を見ろといえる背中に
なっていないのがアレだが、少なくともあんな背中の
人間になりたくないと思われないよう心がけるばかりである。
(たとえ恥ずかしい背中でも反面教師として機能はするか)
 
ところで、あんたの背中はどうだろう?

ちょっと考えてみてよ。
ついていきたい背中、それとも蹴りたい背中?
  


あ、背中にきび、ハッケーン!
デイズオブデッド


アメリカ発グローバルスタンダードとやらにくたびれたら

疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫 う 17-2)/内田 樹

¥540
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おまけ

女子サッカーの人気アップは各国共通の悩み。

で、オランダではユニフォームをスカートに。

注目度上昇だとか。こ、これは…すばらしい!

(注:下はホットパンツなので見えません)


女子サッカー




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2008-09-08 14:16:41

まさしく、金言。

テーマ:コピーライティング

北京オリンピックで、銅メダルをとった日本の
女子柔道の選手が、おめでとうをいうレポーターに
対して、「金以外は同じです」というきっぱりした

言葉で悔しさを表しているのを観て、
以前、やはりオリンピックの水泳で銅メダルを
獲得した女子選手が「金がいいですぅ~」と
悔しそうに話していたのを思い出す。
 
宇宙人「先生、どうして女子アスリートはああも金に
執着するのでしょうか」
ドクロ「それはだね、フェミニズムの影響なんだよ。
男の持っているものには価値がある。女もそれを
持つべきだと思っているんだ」
宇宙人「そこから執着心が生まれると。なるほど。
しかしそれと金メダルがどう関係するのですか?」
ドクロ「ふふふ、ほれ、男には生まれつき付いておるだろうが。
両足の間に金のポニョが。女にはない。だから
執着するのだよ」
宇宙人「…先生、いっぺん死んでみます?」
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
やったぞ、金!
あ、北京の話ではありません。

 
 
総合ディスカウントリサイクルのコメ兵の広告より。
この広告が掲載されたのが、日本の女子ソフトボールが
金メダルをとった日の翌日の新聞。
つまりこの日の新聞には一面からスポーツ欄、社会面まで
このニュースが踊っているという素敵な状態である。
 
なぜ、やったぞ金なのか。それはいま金が高騰しているから。
キャッチに続く「今、金やプラチナが高騰中」という
一文で「やったぞ、金!」のワケが説明されてる。
金を売るなら今が、(コメ兵からすると買取)
ナウ・ゲッター・チャンス!ということである。
 
ビッグイベントに便乗する表現は、アイデアのひとつだ。
(この場合、4年に1回しか使えませんけどね)
ただ、この広告は5センチ×8センチと小スペースで、
同じページや隣のページには同業の高価買取の広告が
あるが、それに比べてもスペースが小さい。
 
スペースが大きな他社の広告を見ると、
即現金払いなどの特長や店舗地図など、
訴求したいことが複数表記されている。
しかし、スペースが小さいから同じような
アプローチはできない。
 
ちびすけが、多くの中で注目してもらうには、
大きな声でジャンプして手を上げなければいけない。
まずは目を止めてもらうこと。そこに注力する。
 
「私もできまーす」と訴えてまず選択の中に入れて
もらうことが第一の目的
である。
それには、忙しい人やぼんやりとしている人に
目をとめてもらわなければいけない。
 
小スペースだと、無難な表現の場合だと
見過ごされる恐れがあるから、奇をてらうような
表現が必要だ。多くのことも言えない。
そこでオリンピックに便乗したという
ことだと思う。
 
金が高騰というタイミングが味方した

とは言え、「やったぞ金」という表現で、
金を売るチャンスと受け手に行動させるよう

動機づけしている点は、小さいのに

しっかりしているねぇと褒めたい。
小さな広告でも表現にドライブをかける
ことができれば威力は大きな広告に負けない。
 
表現としては、奇をてらった感があるけれど、
広告の目的と表現がきちんと一致しているので
作戦としては真っ当な理にかなったやり方である。
 
さてさて、こうしたゲリラ的なアイデアを
人間が体を張ったらどうなるか。
それを実現したのが、あの江頭2:50さん。

 
吉田沙保里選手が金メダルを獲ったオリンピック
女子レスリング55キロ決勝の会場で
金色のコスチュームで観客席にいたところを
テレビカメラが捉えた。

 
 2:50
視聴率32.8%(関東地区)だって。
こちらも「やったぞ、金!」である。
それにしても、江頭2:50さんの
嗅覚の鋭いこと、決定力が高いというか
きっとストライカー体質なんだろうね。

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