バターケーキにも色々と作り方や配合の種類があるけれど、パウンドケーキは、それぞれの材料を1パウンドずつ使って作ることからそう呼ばれているケーキ。
パウンドと名前がつくのだからやっぱり基本に忠実に、私は全て同量で作ったものが好きです。
まだ何もわからない状態でお菓子を作り始めた頃によく作っていたケーキでもあるのですが、当時は自己流で甘さを減らして、適当に混ぜてアルミカップや紙ケースで焼いただけの、ぱさついた重い食感のものでした。
その原因は、甘さと混ぜ方。
甘さを減らすなら砂糖の分量の80%まで。
でも濃い目のコーヒーや紅茶に合わせてケーキの甘味を味わうのも良いものですよ。
あまり減らしすぎると味がぼやけ、砂糖の量も少ないとぱさつきやすくなります。
そして粉を“さっくり切るように混ぜる”という表現もよく見かけますが、その混ぜ方では決してしっとり・ふんわりとした軽い食感のものを作れないと知ったのは、随分後のことでした。
パウンドと言うと、どうしてもぱさついていたり、どっしりとした重めの食感をイメージする人も多い気がしますが、混ぜ方を知るとこんなにも味が変わるのかと驚くはず。
しっとりと柔らかく、なめらかな口どけは格別です。
~材料~
18cm 1本分
☆生地
無塩バター 100g
粉糖 or 微細グラニュー糖 100g
卵 100g (M2個分)
薄力粉 100g
ベーキングパウダー 1/2g (1.5g)
バニラビーンズ 2cm
☆シロップ
水 20cc
グラニュー糖 10g
キルシュ 5g
~下準備~
○バターと卵を室温に戻しておく
○薄力粉とベーキングパウダーはふるっておく
○型に敷き紙を敷いておく
~作り方~
①室温に戻したバターと砂糖をボウルに入れ、ある程度へらで馴染ませたらハンドミキサーに持ち替えて、バターが空気を含んでふわっと軽くなるまでしっかりと混ぜる
→ここで数分かけて空気を含ませ、どこまでバターを軽くできるかが焼き上がりをふんわりさせる鍵
②しっかり溶いた卵を3~4回にわけて加え、都度分離しないように手早く、しっかりと空気を含ませながら混ぜる
→一度に混ぜると分離してしまうので必ず数回に分けて加える
→空気をしっかりと含んでいると、全て混ぜ終えた頃には嵩が倍になっている
③ふるった粉類を一度に加え、ゴムベラで生地とボウルの間を隙間なく削ぐような気持ちで右上から左下へ動かし、端に来たらすくうように手首を右に返し、左手でボウルを手前に回すという混ぜ方で、つやが出てふんわりなめらかな生地になるまでしっかりと混ぜる(右利きの場合)
→仕上がるまで100回程度が目安
④型の6割まで生地を流し、へらで軽く端まで行き渡らせてから台に打ちつけて表面をならし、両端を高く・中央が低くなるようにくぼませ、180度に予熱したオーブンで35~40分焼成
→竹串で刺しても生地がついて来ず、膨らんだ割れ目にも薄く焼き色がついたら焼き上がり
→火が通らないうちに焦げそうになったら表面にホイルをかぶせる
→焼成中に⑤のシロップを作っておく
⑤水とグラニュー糖を火にかけ、グラニュー糖が溶けたら強火で数秒煮立たせてから火からおろし、キルシュを加え、冷ましておく
→シロップについては後述参照
⑥焼き上がり直後、熱いうちに表面の焼き色がついた部分全体に刷毛で塗り、型から外して敷き紙をつけたまま冷ます
→生地につかないようラップやケーキカバーで覆っておくなどして乾燥に注意
~コツ・ポイント~
・バターは常温にもどしておくこと
→バターが空気を含みにくいため
・微細グラニュー糖は、グラニュー糖をミルでパウダー状に挽いたもので可
・甘さを減らすなら砂糖の分量の80%まで(このレシピの場合は80g以上使用すること)
→減らしすぎると味がぼやけ、砂糖の量が少ないとぱさつきやすくなるため
・卵は常温に戻し、しっかりと溶いておくこと
→バターと混ぜた時に分離しにくくするため
・つやが出てなめらかになるまでレシピ通りの手順でしっかりと混ぜること
・型の大きさにより、焼き時間と温度は要調整
・生地はフードプロセッサーで作ることも出来、バターと粉糖→卵を少量ずつ→ふるった粉類の順に、加える都度ゴムベラで側面についた生地を落としながら、ふんわりとなめらかになるまでよく切り混ぜればOK
~シロップについて~
ここではシロップを作っているものの、シロップを使わずに、風味付けに好みの洋酒をそのまま好みの量塗ってもOK。
また、キルシュの部分を好みの洋酒に変えても。
シロップ自体を塗らなくても充分柔らかい配合なので、シロップの有無は好みで。
~型について~
材質としては熱伝導率が良いブリキや、スチールに加工してあるもの(フッ素加工・シリコン加工・ブラックなど)がおすすめ。
私はあまり大きすぎないものであれば厚みがあるアルタイトの食パン型や、耐熱ガラスや陶器などで焼くこともあります。
プレゼントや便利さでは紙カップを使うのも良いですが、型崩れや焼きムラが気になる場合はおすすめできません。
また、熱伝導率の観点から言うと、焼けないことはないものの焼きムラが出やすいステンレスや、それに加えて焼き色がつきにくいシリコンゴム製のものもおすすめしません。
ただそれを逆手にとり、材料によって色を生かしたい時にはシリコンゴムの型を使って火を通す方法もあります。
パウンドケーキは形が出やすい生地でもあるので、シリコンの型離れを生かして複雑な形で抜くことも可能。
型は、味か、見た目か、何を優先するかによって決めて下さい。
~食べごろ~
バターの風味が馴染んだ翌日から、風味が落ちない2~3日の間
~保存・期限~
冷めたあとにラップやフィルムなどで隙間なく覆い、寒い時期なら常温・暑い時期なら冷蔵保存で1週間。
冷凍する場合は一切れずつ切り分けてからそれぞれ上記の方法で隙間なく覆ったあと、更に密閉できる袋等に入れ、金属のトレイに乗せてから冷凍保存1ヶ月程度。
食べる際は自然解凍で良いものの、風味や柔らかさは出来立てに劣るのでできれば冷凍せず早めに食べ切ること。
~バリエーション~
◆ウィークエンド・シトロン
…レモンの皮と果汁を加えて焼いたケーキに、グラス・アローをかける
◆ビクトリア・サンドイッチ
…丸型で焼いて、半分にスライスし、いちごジャムを挟んで、表面に粉糖を振る」
◆フルーツケーキ
…洋酒漬けのドライフルーツを混ぜて焼く
◆キャロットケーキ
…摩り下ろしたにんじんを混ぜる
◆マーブルケーキ
…プレーンとココアなど2種類の生地を半量ずつ作り、マーブル状に混ぜたものを焼く
◆その他
…ココアパウダー、抹茶、インスタントコーヒー、オレンジピールなどを混ぜこむ