Lots-Of-Moneyのほぼ金融経済日記

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金融危機の背後にある“強欲は美徳”という意識は、規制強化だけでは抑えられない。まず必要なのは、規制による短期利益追求や巨額ボーナスを容認する報酬制度の見直し。金融機関の業務範囲、利益相反などの本質的問題を解決しない限り危機再発は防げない。


1987 年の映画「ウォール街」で、投資銀行家のゴードン・ゲッコーが「強欲は美徳さ」と言い放った場面は有名だ。これこそ80年代末にジャンク債市場の崩壊と貯 蓄金融機関(S&L)危機で幕を閉じた、企業と金融業界の“暴走の10年”を支配したメンタリティーであり、結局、ゲッコー自身は刑務所送りとな る。

米国で9月公開予定の『ウォール街2』では時代がひと巡りし、出所したゲッコーが金融業界に返り咲く。その再登板は、ちょうどサブプラ イムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)ブームに煽られた信用バブルが崩壊し、大恐慌以来の金融・経済危機が幕を開けようとする時期と一致する。


規制や監督では暴走は防げない

金 融危機には“強欲は美徳”というメンタリティーが常につきまとう。だがサブプライムの悲劇を引き起こしたトレーダーらは、80年代のゲッコーたち以上に強 欲で、傲慢で、倫理観に欠けていたのだろうか。そうではない。強欲や倫理観の欠如は、いつの時代も金融市場に蔓延している。

ビジネススクールでいくら倫理や道徳を教えても、そうした行動の抑制にはつながらない。だが短期的利益を重視し、銀行や証券会社の社員が過剰なリスクを取ることを助長する報酬体系を変えるのは効果があるだろう。

直近の危機を引き起こした銀行員やトレーダーは、極端なレバレッジ取引や巨額ボーナスを容認する報酬制度に即して、合理的に行動したのだ。そうした制度は、最終的には確実に多数の金融機関を破綻させるものだった。

こうした暴走を防ぐには、金融機関に対するより厳格な規制や監督に頼るだけでは不十分だ。理由は3つある。



1)賢く強欲な金融関係者は、新たなルールをすり抜ける術を必ず見いだす

2)トレーダーや銀行員は、それぞれ資金とリスクを抱えた個別のプロフィットセンターである。規制当局はもちろん、金融機関のCEO(最高経営責任者)や取締役会にも、企業内に何千とあるプロフィットセンターのリスクや行動を適切に監督することはできない

3)CEOや取締役会は本当の株主の利益を代弁しておらず、重大な利益相反を抱えている

 このため、どれほど規制や監督体制を改革しようとも、金融システムのほかの本質的な要素が変わらなければ、バブルや暴走は防止できない。

利益相反は構造的問題

【金融規制改革に不可欠な要素】

●規制を通じた報酬制度の抜本的改革

●商業銀行と投資銀行の業務分離を定めた
グラス・スティーガル法の撤廃の見直し

●金融機関における
コーポレート・ガバナンス(統治)の徹底

・ 金融市場、金融機関における構造的な利益相反問題の解決

・ 株主の代理人である機関投資家による非倫理的行動の制限

●巨大金融機関の解体

 まずは規制を通じて報酬制度を根本的に変える必要がある。金融機関は同業他社に人材を奪われるのを懸念し、自主的には改革しないためだ。特にリスクの高い取引や投資の短期的成果に基づくボーナス制度は、中期的成果に基づくものに変えなければならない。

  第2に、商業銀行と投資銀行の業務分離を定めたグラス・スティーガル法の廃止は誤りだった。かつて投資銀行で一般的だった非上場の共同経営会社という仕組 みの下では、パートナー同士が無謀な取引を監視しあう動機付けが働いた。だが今や上場会社となった投資銀行は際限なく収益率向上を目指し、同業他社や商業 銀行と激しい競争を繰り広げている。“際限ない収益率向上”は、無謀なレバレッジ取引なしには実現できない。

 また「融資を実行し、債権を 保有する」モデルから、証券化を通じた「融資を実行し、債権は売却する」というモデルへの転換は膨大なリスクの移転を招いた。証券化の連鎖の末端にいる者 だけが最終的な信用リスクを負い、それ以外の全員が高額の手数料や業務委託費で荒稼ぎするというわけだ。

 第3に、金融市場や金融機関は利 益相反の巣窟になっており、それを解きほぐす必要がある。利益相反は構造的問題だ。というのも商業銀行、投資銀行、自己売買取引、マーケットメーカー、 ディーリング、保険、資産運用、プライベートエクイティ、ヘッジファンドなど多様な業務を手がける金融機関は、あらゆる取引の両サイドに身を置くことにな るからだ(米ゴールドマン・サックスを巡る訴追<注1>は氷山の一角に過ぎない)。

<注1>米証券取引委員会(SEC)は今年4月、サブプライムローン絡みの債務担保証券(CDO)の組成と販売について重要情報を開示しなかったとして、ゴールドマン・サックスを詐欺罪で訴追。同社は7月、SECと5億5000万ドルを支払い和解することで合意した

深刻な「代理問題」も存在する

 金融システムには深刻な「代理問題」も存在する。株主などの投資主体は、CEOや管理職、トレーダー、銀行員といった代理人の行動を適切に監視できない。

  さらに問題は、単に長期的利益を重視する株主が、強欲で近視眼的な代理人に損害を負わされるといったことではない。株主側に非があるケースもある。自分の カネを投じていない株主は、金融機関に十分な資金がないと、CEOや銀行員に過剰なレバレッジやリスクを取って、収益を追求するよう迫る。自分の懐が傷む 可能性はないからだ。

 ここには最終的な株主である個人投資家が、取締役会やCEOに直接影響力を行使していないという二重代理の問題がある。



  個人投資家の代理を務めるのは、年金基金などの機関投資家だ。機関投資家の利害や思惑、居心地のよい人間関係といったものは、金融機関のCEOや管理職の それと一致することが多い。つまり、度重なる金融危機は、コーポレートガバナンス(企業統治)の失敗の結果とも言えるのだ。

損失への懸念が強欲を抑制

 第4に、倫理観に訴えても強欲を抑えることはできない。損失を被る懸念によって制御するしかない。そうした懸念は「無謀な金融機関や代理人は救済されない」という認識から生まれる。

 直近の危機における金融システム全体に及ぶ救済は、世界的な相場暴落を回避するうえで必要な措置だったとはいえ、モラルハザード(倫理の欠如)問題を悪化させたことは否めない。

 “巨大過ぎて潰せない”金融機関が救済されただけでなく、業界再編の結果さらに強大になったことで、矛盾はさらに強まった。巨大過ぎて潰せない金融機関は、巨大過ぎるのであり、解体すべきなのである。

 こうした抜本的な改革を実行しなければ、再びゴードン・ゲッコーや天才詐欺師チャールズ・ポンジのような手合いが出てくるだろう。「ウォール街2」のゲッコーのように、悪人が1人処罰を受けて更生する間にも、何百人というさらに卑劣で強欲な輩が生まれるのだ。



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