ロウソクの炎に電流を通電し、高温プラズマを得る実験 | toshiのブログ

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 炎は、プラズマの一種であり、ガスが電離している状態なので導電性を有する。この電気抵抗は
1cm離れた2点間で数十MΩもあるが、常温空気の抵抗よりもはるかに小さく、高電圧の電極を挿入するとグロー放電程度の電流は流れる。
 グロー放電は、数mA程度の弱い電流であるが電圧が高いので、ハンダコテ程度の発熱がある。
 炎の中でグロー放電を発生させると、燃焼ガスの温度は上昇する。
 今回は、ロウソクの炎の中で、グロー放電を発生させ、これをエアーフローでジェット状に導いて材料を加熱してみた。

[実験方法]
 ①ロウソクを点火する
 ②注射針を炎の中心部(青い還元炎の部分)に挿入し、
  針先から出る空気によって細長い青い炎がビーム状に導かれるのを確認する。
 ③青い炎が材料に当たるように針の角度を調節する。
 ④スライダックの電圧を定格電圧まで上げる。
 ⑤電圧計と電流計を読みとる。
 ⑥材料の様子を観察する。

[実験機器]
1.観賞魚用空気供給ポンプ
 メーカー不明、商品名「水心」、品番:SSPP-2
 流量の実測値
   無負荷状態       64cc/sec
   注射針を接続したとき  13cc/sec
 計測方法
   水中で逆さまにした容積225cm3のガラスコップに気泡が満たされるまでの時間を測定

2.交流高電圧発生器
メーカー: 三陽電機製作所  商品名: αNEON  品番: M-5
 定格入力: AC100V, 80VA (実使用上 DCでも動作する)
定格出力: 6364Vrms, 28mArms
 発信周波数: 20kHz
 1次→2次エネルギー変換効率:約85%

[結果]
実験1
 鉄の針金の加熱
 高周波電源の入力: DC140V, 0.5A (70W)
 炎に印加された電力は、高圧発生器の効率を考慮すると70×0.85=59.5 [W]

 高電圧印加と同時に還元炎の色は「青色」から「白色」に変わり、針金は数秒後に激しい火花を発して溶解しはじめた。中心部が眩しくてよく見えない。

実験2
 SUS棒の加熱
 高周波電源の入力: DC140V, 0.5A (70W)
 炎に印加された電力は、前述同様概算で59.5 [W]と見積もった。
 高電圧を印加して数秒後に赤熱し、先端部は黄色になり時々火花を発した。
 先端が少し融解した。


[考察]
 実験を始める前は、材料が溶解するほどの発熱があるとは考えていなかったので、結果は意外だった。
 今後、ガスフローの中で何が起こっているのか追求することが課題だ。