2011-01-25 14:36:48

フェルメール 二人の紳士と女、紳士とワインを飲む女、稽古の中断

テーマ:ブログ
art⇔Interactive⇔life-The Girl with a Wineglass


フェルメールの「二人の紳士と女 The girl with Two Men」(The Girl with a Wineglass 1660)です。アルトン・ウルリッヒ公美術館(ブラウンシュヴァイク)に所蔵されています。


一見すると娼婦なのか、戯れている男女なのか、求愛のシーンなのかわからないところです。ただ、テーブルに座る男と、女性のワイングラスの持つ手に触れる男の間の肖像画。の家の祖先の肖像画であるなら娼家ではなさそうです。


こういう場面で、コインが描かれている場合は娼家とみなされるようで、コインは描かれていないとなれは、座る男を無視して求愛している場面かなと思うわけですが。


求愛している男性はタバードを羽織っているのですが、中世の(13世紀から16世紀)騎士が着用した紋章入りのゆったりとした上着だそうで、楓さんがとっても違和感があるっておっしゃっていました。(メール、ありがとうございます。) ちなみに日本の羽織に似ているそうです。


ということは、この男性はそういう階級の家出身だということでしょうかね?


女性のドレスはパニエ身につけているのではと?そんな腰の広がりを想像してしまうほど膨らみがあります。腰から膝までの長さが横長に描かれているのも納得できます。追記→さて、aleiさんのambaで、ピーテル・デ・ホーホの作品が記事になりました。「陽気な仲間たち」は、まさにこれからご紹介する三作品に因縁ある作品だと!記事「ピーテル・デ・ホーホ Pieter de Hooch 」から。(真ん中ぐらいにあります)


art⇔Interactive⇔life

求愛されてこわばった笑顔に見えるのですが・・・酔っているんですね。

パニエと16世紀以降のドレス 記事 シャネル以前 宮廷のクチュリエ ウォルト


この時代はフランスはルイ14世 の時代で、スペイン・ハプスブルグ家 が全盛じゃなかったですか?フェリペ2世(Felipe II, 1527-1598)時代は、ネーデルランド(ベルギー、オランダ)だったオランダ。そしてスペインが継承戦争で疲労しているさなか、17世紀オランダは独立戦争後の1602年に設立されたオランダ東インド会社で大儲け。(alei さんからの情報)


記事 ルイ14世 スペイン継承戦争 フェリペ5世への箴言


ここにルイ14世に嫁入りするスペイン・ハプスブルグ家のフェリペ4世(1605-1665)の娘マリー・テレーズ さんの腰から上の肖像画がありますが、まさに腰がはったドレスを着ているので、オランダの女性も「パニエ」を着用しているのだと思ったわけです。背もたれから背が離れて描かれているのはその「パニエ」のためではないかと。(楓さんからの情報)


このスペインではディエゴ・ベラスケス 、そしてフランドルの画家といえば1640年に亡くなったピーテル・パウル・ルーベンス がいます。


「二人の紳士と女」の中で、フェルメールが描いている男性の衣装と違い、ちょい前の衣装を身に着けている男性肖像画は、ルーベンス全盛時代の1630年頃のスタイルではないかという説があります。


art⇔Interactive⇔life

スペイン式の高く首を覆う襟をフレーズ(ラフ)というらしいですが、まさにルーベンス時代の肖像画に多かったですよね。(楓さんからの情報)


この「二人の紳士と女」の描かれた頃は、オランダの黄金時代で、スペインの支配下かから1648年のヴェストファーレン条約によって独立を承認されていますよ。(alei さんからの情報)


この肖像画が先祖の肖像だとすると由緒正しい家柄の象徴なのか、オランダという大国を象徴しているのか。


ところが、16世紀流行のタバードを身に着ける男はにやけて、女性は笑顔だけれど酔っ払った表情でもありそうだし。


この肖像画の男性は、酔った笑顔の女性、タバードを着て求愛する男、座って酔いつぶれているような男と、しらふの男を対比しているのかとも。


art⇔Interactive⇔life

さてステンドグラスは「紳士とワインを飲む女」に描かれているのと同じですが、この「二人の紳士と女」も同様で、この作品はステンドグラスの白い■部分に、フェルメールのサイン「IVMeer」と署名されています。(inoueくんからの情報)


そしてこのステンドグラスはグリザイユという技法を用いて絵が描かれてますが、これは紋章も描かれていて、ヤネット・ヤーコプドフトル・フォーゲル(Janetge Jacobsdr. Vogelr)というデルフトの貴族を認識するものだというのですよ。(sai さんからの情報)


もしかすると、そのヤネット・ヤーコプドフトル・フォーゲル(Janetge Jacobsdr. Vogel)という貴族が注文したのでしょうかね。このフェルメールの時代、オランダ海上帝国を象徴する貴族かもしれません。


とういうことは、タバードを羽織っている男は貴族の象徴かもしれません。16世紀の騎士は貴族であることが条件だったと思ったのですがね。タバートはのちに復活し流行したようですが、そのタバートを羽織らせた理由が謎です。(楓さんの不思議)


このステンドグラスの女性のモチーフはガブリエル・ロレンハーゲン(Gabriel Rollenhagen 1513-1619)の「選ばれたエンブレム」(Selectorum Emblematum 1613)からフェルメールは描いたと言われています。(sai さんからの情報)


art⇔Interactive⇔life-Gabriel Rollenhagen

これ、似てるんですけど手にしているものが違うし、下に書かれている詩も違うのですが、ガブリエル・ロレンハーゲンのこの作品集からで間違いなさそうです。


エンブレムと詩の「選ばれたエンブレム」に、「The heart knows not how to observe moderation and applies reins to feelings when struck by desire」という詩に描かれているものらしいです。(sai さんからの情報)


このガブリエル・ロレンハーゲンのエンブレムから、ステンドグラスを描いたフェルメールですが、当初はこの手に持つものを「蛇」にたとえられ、「弁論」の擬人像とされていたようですが、「手綱」を持つ女性とされたのが、このエンブレムの詩です。


つまり、禁酒の警告と節制の忠告を「禁欲の擬人像」でフェルメールは暗示したというのです。


ガブリエル・ロレンハーゲンのエンブレムのこのステンドグラスがこの作品のなかでいちばん効果がある気がしてきましたよ。


art⇔Interactive⇔life


さーて、いろいろ解釈がある男の人ですが、失恋、うつ病など海外サイトにはそんな言葉がでてきていました。僕は酔いつぶれていると考えたのです。


手前のワインが入っているデカンタは、ルーヴル美術館所蔵のハブリエル・メツーの静物画に描かれている中央の白磁器の瓶です。


フェルメールはこの白磁器の瓶を、この「二人の紳士と女」(ワイングラスを持つ女)、「紳士とワインを飲む女」、そして「音楽の稽古」(音楽のレッスン)にも描いています。


記事 ヴィオラ・ダ・ガンバを弾く女 ハブリエル・メツー Gabriël Metsu


この記事には、ハブリエル・メツーのヴァージナルの前に座る男女も掲載されていて、フェルメールのヴァージナルと同じラッカース・ファミリーの制作したものですが、この静物画よりもさきに、メツーのヴァージナルの作品にもこの「白磁器の瓶」が描かれています。


「音楽の稽古」は楓さんの”窓辺で手紙を読む女 「alei のフェルメールはお好き?」へ ”の記事で、テキストリンクから画像をみることができます。


art⇔Interactive⇔life

「訪問」 1657 デ・ホーホ メトロポリタン美術館

ルーヴル美術館にあるデ・ホーホ (Pieter de Hooch)の「二人の兵士とワインを飲む女 」(1658年)の作品を、フェルメールは「二人の紳士と女」(ワイングラスを持つ女)、「紳士とワインを飲む女」に投影しているそうです。(alei さんからの情報)


これまで大人数が描かれていたオランダの絵画作品は、P.デ・ホーホ、フランス・ファン・ミリース、ヘーラルト・テル・ボルスハブリエル・メツーサミュエル・ホーホストラーテン などの風俗的な室内画が流行するようになったそうです。


大画家として大作の物語画を目指していたフェルメールは、デルフトの街にとどまることで、風俗画家として彼らの絵画を作例としたそうです。


いや、ほんとにフェルメールの記事を書くのは一苦労です。alei さん、sai さん、inoueくんやryo-くんに、メールで確認や質問に答えてもらって、それが楓さん、マキさんまでに及んで、申し訳ないです。


いよいよ、「紳士とワインを飲む女」です。


art⇔Interactive⇔life


ベルリンの国立絵画館所蔵の「紳士とワインを飲む女」(1658-59)です。二年後に描かれた「二人の紳士と女」(ワイングラスを持つ女)より数段好きです。これが僕が好きな唯一のフェルメール。(あとは「天秤を持つ女 」です)


民族的な顔つき、習慣があまり強調されていないからかもしれません。


「二人の紳士と女」(ワイングラスを持つ女)と同様に、談笑する男女一組が描かれている場合、やはり性風俗的な見方があるようですが、自由恋愛という解説もあります。(マキさんからの情報)


同時代のテル・ボルフ が娼家の室内画を描いている作品の構図に近いせいがあるかもしれないですが。


この作品ではガブリエル・ロレンハーゲンのエンブレムのステンドグラスは一間で描かれています。


art⇔Interactive⇔life


この紋章はヤネット・ヤーコプドフトル・フォーゲル(Janetge Jacobsdr. Vogel)と説明しました。この彼女がモーゼス・ファン・・ネーデルフェーン(Moses van Nederveen)の最初の妻。


この作品に描かれているのが、ヤネット・ヤーコプドフトル・フォーゲル(Janetge Jacobsdr. Vogel)ことジャネット・フォーゲル(Janet Vogel) とモーゼス・ファン・ネーデルフェーン(Moses van Nederveen)らしいのです。


求愛、求婚の図であるとしている解説もありました。


このジャネット・フォーゲル(Janet Vogel)は、この作品が描かれたときにはすでに亡くなっているのですよ。1624年に亡くなっているんですよ。(ryo-くんの情報)


二年後に描かれた作品は「二人の紳士と女」(ワイングラスを持つ女)は、本当は直訳すると「ワイングラスを持つ少女」になるわけで、ジャネット・フォーゲルが最初の妻。二人が「紳士とワインを飲む女」(1658-59)に描かれている。


art⇔Interactive⇔life

Moses&First wife(最初の妻) Moses&second wife(二番目の妻)?

となると「二人の紳士と女」(ワイングラスを持つ女)では、ジャネットを亡くした寡のモーゼス・ファン・ネーデルフェーンが、若い女性に求愛しているという連作にならないですか!対画ですか!


そして窓にはそれを見ているヤネット・ヤーコプドフトル・フォーゲル(Janetge Jacobsdr. Vogel)。


やばすぎます。


フェルメールはモーゼス・ファン・ネーデルフェーンが最初の妻、そして二番目の妻への求愛の場面を、「紳士とワインを飲む女」(1658-59)、「二人の紳士と女」(ワイングラスを持つ女 1660年頃)に描いている。そう思っていいでしょうか、僕だけ?ではありません。強く強くsai さんがそう書けと!信仰の寓意 をマグダラのマリアとして書いたsai さんらしい要望です!(sai さんからの情報)


そういえば、この若くかっこいいモーゼス・ファン・ネーデルフェーン、右は中年になった好色なモーゼス・ファン・ネーデルフェーンってかんじですよ。そしてあの世、いえステンドグラスから「手綱」を握るのはほかならぬ「禁欲の擬人像」に最初の妻ジャネット・・・。飛躍しすぎでしょうか?


art⇔Interactive⇔life


さて、若くてかっこいいモーゼスと最初の美しい妻の背後にある作品ですが、アラート・ファン・エーフェルディンゲン(Allart van Everdingen)のブタベスト美術館所蔵の「村の終わり」(End of Village)ではないかと。


ジャネットの死による最初の結婚生活の終わり。それを暗示して描かれたとか。


いやいや、これも愛のメタファーというエンブレムらしいのです。(ryo-くん情報提供)


フェルメールがオットー・ファン・フェーンのクピド(キューピッド) を愛の寓意として、「ヴァージナルの前に立つ女」、「稽古の中断」、「眠る女」に描いたように、アラート・ファン・エーフェルディンゲンらの描く風景画は、この作品に描かれている椅子の楽器のように、洗練された求愛を示すひとつのツールらしいのです。(ryo-くんの情報提供)


またメールが届きました。終わりません、この記事。はやくアップしたいのです。もう寝たいのです。ここで終わりのはずだったんです。


art⇔Interactive⇔life

1660年-61年に描かれた「稽古の中断」(フリック・コレクション)です。これもモーゼス・ファン・ネーデルフェーンと最初の妻ジャネットが描かれたものではないかというメール。(マキさんからの情報)


みなさん、いろいろ記事のために調べてくれてありがとう。もういっぱいいっぱいになりましたです。


小林頼子著「フェルメール 生涯と作品」に、この「稽古の中断」は、「紳士とワインを飲む女」、「二人の紳士と女」(ワイングラスを持つ女)を主題と空間構成の両面で掛け合わせしていると指摘しています。


楽器シタールとライオンヘッドの椅子、楽譜、ワイングラス、そして髪型を整えるための白い布を巻いたジャネットらしき女性。そして帽子こそないけれど同じマント姿のモーゼスらしき男性。


違うのはデカンタが模様入り、ステンドグラスは紋章もエンブレムもない、「リュートを調弦する女 」と同じ窓。


art⇔Interactive⇔life


フェルメールとモーゼスはご近所同士だったらしいのです。きっと家族ぐるみのお付き合いがあったのでしょうか。なんとなく「紳士とワインを飲む女」、「稽古の中断」には、いい関係を描いている気がするんですけど。


このフェルメールの「紳士とワインを飲む女」、「稽古の中断」に共通する作品群として、ヘラルト・テル・ボルフ(Gerard ter Borch) の「紳士とドリンクを飲む女 1660」(ロンドン・ロイヤル・コレクション)、そしてフランス・ファン・ミリース(Frans van Mieris)の「ペットと戯れ 1660」(王立絵画陳列室マウリッツハウス)などがあります。

フェルメールの作品記事はこちらから。

「XAI フェルメールはお好き?


というところで、みなさんご協力ありがとうございました。


追記 モノグラムのバッグをもった若い女-フェルメールへのオマージュ


art⇔Interactive⇔life

この写真は、2007年のルイ・ヴィトンのパリコレが、フェルメールのオマージュがテーマで、下記記事がそれぞれの作品とマーク・ジェイコブズの作品を組み合わせしています。記事のリンクとTBありがとうございました。


「...いろ 色々 ヴィトンのフェルメール カラー」

AD
いいね!した人  |  リブログ(0)

lohas-dayさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。