2006-12-21 05:00:00

ホイッスラー  肌色と緑の薄暮  バルパライソ

テーマ:ブログ

Crepuscule in Flesh Color and Green: Valparaiso


肌色と緑の薄暮  バルパライソ (テートギャラリー)

日が暮れる”たそがれ”どき・・・・。浮世絵を模したともいわれている作品ですが、古典的な西洋の美術史にもよくある構図です。


ホイッスラーは、カンディンスキーとは違った意味で、音楽的だし、文学にも縁がある画家です。それも逆輸入。ホイッスラーが浮世絵なら、日本文学はホイッスラーの作品から小説や詩を書いています。蒲原有明の「仙人掌と花火の鑑賞」(明治43年)には、モロー(ギュスタアヴ・モロオ)、ホィッスラー(ホヰスラア)が登場。


(略) そして英吉利は大倫敦のテエムスの河のほとりで、「青と銀とのノクタアン」が描かれる。バッタアシイ古橋のシルウェットを月夜の灰碧の空氣の中に捉へた畫人は廣重の版畫に對する鋭い感覺で張りきつてゐる。更にまたクレモン・ガアデンスの煙火戲の夜、崩れ落ちる五彩陸離たる火光を、いみじくも繋ぎとめた「黒と金とのノクタアン」を見よ。老ラスキンをして理性を失はしめた前代未聞の藝術がこゝにある。


 官能の音樂、神經の詩がこれ等の夜曲の中に顫へてゐる。 わたくしは好んでホヰスラアの描いた藝術の氣分を想像の綾に織りまぜて置いて、これを鑑賞すると共に、飜つて廣重の古調をなつかしむ。


 純藝術はどこまでも異端である。花火の畫を描いたホヰスラアは世間から山師と呼ばれてゐた。「世俗と歡樂の途を異にしたこの人――異常なる模型の案出者――例へば火花に照らし出された顏面の如き奇趣ある曲線を、身邊に於ける自然の中に認めた人――この超然たる夢想家こそは第一の藝術家であつた。」―― Ten o'clock. 青空文庫より引用




左 ホイッスラー 右 広重 「京橋竹がし」


青と銀とのノクターンとありますが、青と金とも思われます。「Nocturne: Blue and Gold」です。「英吉利は大倫敦のテエムスの河のほとり」とあるので、ロンドンのテムズ川に架かる「青と金のノクターン-オールド・バターシー・ブリッジ」という作品です。テートギャラリーにあります。広重の名所江戸百景「京橋竹がし」を模したとされていますが。この作品をとおして、「見方は鑑賞者が決めるもの」とホイッスラーは語ったそうです。


RE+nessance 
ホイッスラー 青と銀とのノクターン バターシー古橋
  から


そうですね。大概、蒲原有明の「仙人掌と花火の鑑賞」と、ホイッスラーの「青と金のノクターン-オールド・バターシー・ブリッジ」、そして、広重の名所江戸百景「京橋竹がし」や東都名所「両国之宵月」などが、よく一揃えで紹介されるが、ゴッホの模した浮世絵のように、部分を模すということがある。だから、「京橋竹がし」は、まったく違うともいえないが、東都名所の「両国之宵月」との比較のほうが、決まる気がする。

それから、【そして英吉利は大倫敦のテエムスの河のほとりで、「青と銀とのノクタアン」が描かれる。】という部分は、まさしく「青と銀とのノクタアン」。この紹介した写真のスクリーンに描かれている「青と銀のノクターン-オールド・バターシー・ブリッジ」のこと。

あっ!そのとおりです。修正していきます。

ご指摘いただいたのが、『青と銀とのノクターンとありますが、青と金とも思われます。「Nocturne: Blue and Gold」です。』の部分で、「青と銀のノクターン」と述べられているのにかかわらず、思い込みで「青と金」をもさすとしてしまいました。


「青と銀のノクターン:バターシー古橋」は、パネル(屏風、つい立)に描かれているもので、上の画像で、「青と金」に比較した、広重の名所江戸百景「京橋竹がし」に、「青と銀のノクターン:バターシー古橋」が、もっとも似ていると思いました。


さらに、「青と金のノクターン-オールド・バターシー・ブリッジ」には、『東都名所の「両国之宵月」との比較のほうが、決まる気がする。』とあります。


都名所 両国之宵月



これが、東都名所の「両国之宵月」の部分になります。はい、おっしゃるとおり!(笑) 決まったでしょう。


さて、北原白秋の東京景物詩のなかの「金と青との」という詩です。大正二年の小曲ですが、ホイッスラーの作品を題材にしたといわれているようです。


金と青との愁夜曲(ノクチユルヌ)、 

春と夏との二声楽(ドウエツト)、 

わかい東京に江戸の唄、 

陰影と光のわがこころ。

ホイッスラーの作品には、色と色に、楽曲のカテゴリーを命名したタイトルが多いですが、作品の「肌色と緑」は、もう一枚、タイトルに使われています。キモノ、浴衣姿の夕涼みの「肌色と緑のバリエーション: バルコニー 」です。



両国花火 黒と金色のノクターンには、クレマーン・ガーデンズの花火を描いた夜景があります。落ちる花火は、あとになってつけられたもの。こちらも江戸百景の「両国花火」と比較されます。


青空文庫から引用した文中に、「クレモン・ガアデンスの煙火戲の夜、崩れ落ちる五彩陸離たる火光を、いみじくも繋ぎとめた「黒と金とのノクタアン」を見よ。老ラスキンをして理性を失はしめた前代未聞の藝術がこゝにある。」とありますが、ラスキンの酷評は有名。


僕自身も、あれは好みではありません。抽象画を描こうとしたのだろうかと考えてしまう。ですが、何かというものの区別がつくので、半具象である作品にみえます。ですが、よく熟知された方ならこの作品を理解できるでしょう。大きな画像にリンクしています。テートギャラリーです。ご覧ください。


"Nocturne in Black and Gold: The Falling Rocket", 1875  
黒と金色のノクターン 落ちる花火



さて、ジェームズ・マクニール・ホイッスラーの記事を紹介させていただきます。

KAFKA 灰色と緑色のハーモニー
スィスリー・アレクサンダー嬢(シスリー・アレクサンダー嬢)

【日本のお屋敷の壁を背景に描いたよう。蝶々に小菊、塗り壁に落書き。この落書きこそ、落款のようにホイッスラーがサインを書いているのです。】


ほんとうに、KAFKAさんの表現には、毎回唸ります。 スィスリー・アレクサンダー嬢のように、可憐な表現ですよ。(KAFKAさん!Mother of pearl and silver: The Andalusian は、リンクがはずれてますー!)→okです。


REMOVE 灰色と緑色のシンフォニー 海洋 1866
浮世絵のように、落款、余白に極印のようなサイン。



そしてSai さん 
ホイッスラー 青と銀とのノクターン バターシー古橋
こちらの記事から、ご指摘を受けた箇所を修正いたしました。
ジェームズ・マクニール・ホイッスラー ジャポニズム
「The artists studio」 Sai さん、相変わらず、カッコよすぎますです。



ホイッスラー  芸術至上主義
耽美主義(審美主義)なホイッスラーの作品
ラピスラズリ(瑠璃)/青と紫:ラベル・ド・ジュール(美しい日に)
透明なガウンの裸婦 (フィーメィルヌード ウィズ ダイアファナスガウン)



Life Carrer Counseling
バラ色と銀色:ミセス ウィブリー(ホィブリー夫人の肖像画)

寝椅子の上の母と子/撫子色と紫色の編曲

ノート イン レッド :お昼ね/ミリー・フィンチ



Whistler & Ukiyoe ホイッスラー と 浮世絵

茶色と銀色:オールド・バターシー・ブリッジ 1863 広重 東海道五十三次 岡崎



Magnum Photos Photographer 
肌色と緑のバリエーション: バルコニー



Allegory
紫と薔薇色  六つのマークのテンゲ・ライゼン

花魁・孔雀の間 「La Princesse」(陶器の国の皇女)

孔雀の間 リンク「金屏風」1865年

「白のシンフォニーNo.2」(白衣の少女)

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