福島第一原発の事故で筆者がとくに注目しているのは、4号炉の使用済み燃料プールだ。GE製マーク1型の燃料プールについては、従来からその脆弱性を危険視する声があった。米国でも問題になっている。いったん冷却できなくなれば深刻な事態に直結する。閉じ込め装置も皆無に等しい。今回4号炉の燃料プールが火災にならなかったのは奇跡的というほかなく、不幸中の幸いだと思う。

 だが、ボロボロの4号炉建屋において、地上高いところにあるプールがいつ壊れるかわかならい。壊れないにしても底が割れるなどして水が抜けてしまうともはやなす術がない。少々水をかけたくらいでは追いつかないだろう。野焼きである。1000体以上といわれる核燃料が燃え出した日には、さらに大量の放射性物質が環境中にばらまかれることになる。

 東電は現在プールの補強工事をしているとのことで、そのことを筆者は昨日、記者会見でたずねた。答えはこうであった。

 プールの再評価をしたところ耐震上の健全性は維持していることがわかった。補強工事は現在32本の支柱を底面下に設置しおえた。コンクリートを入れる作業をこれからやる。1本で40トン支えることができる。施工しているのは鹿島建設だ。--

 あっさりと「健全性維持」といわれても、本当かな、と疑いたくなる。建屋が吹っ飛ぶほどの爆発を起こして影響がないはずがないだろう。また、実際の工事は鹿島の下請け孫受けでやっていると思われるが、業者名は明らかにされなかった。今後機会があれば問うていきたい。

 工事がうまく進んでくれることに越したことはないが、もしうまくいかない危険があるのなら、それもまた想定して備えをしなければならない。東電が株価や自社の将来に必死になっている以上、都合の悪い話はでてきにくい構造にある。そのことを想定して国民は自分で自分の危機管理をしなければならない。日本はそんな国になった。

 21日の4号炉プールの水温は90度以上。沸騰寸前の熱湯状態が続いている。