小嶋隆史の「小さな会社の経営法則」ブログ

競争は常に、有利な条件の者と不利な条件に置かれる者に分かれる。両者同じように戦ったら、最初から有利な条件のものが勝に決まっている。
救いは、ランチェスター法則によって明示された「弱者の戦略」だ。


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今回は、ランチェスター戦略を代表するのはこれ!といっていいほどの、狭域戦、近距離戦についてお話します。戦略の王道ともいうべき原則。

「狭域戦」は「局地戦」と一般には呼ばれていますが、狭い範囲で戦う直接的なイメージがつきやすいのでこの言葉を採用しています。「近距離戦」は、そのまま、根拠地から近い所で戦うということです。要は、「身近なところで小さく範囲を絞って戦え」ということ。

一見当たり前で、分りやすく簡単そうに思えますが、意外に徹底するのは難しいものです。競争条件の不利な弱者は、特にこの原則を忘れてはなりません。

今回、この原則をふまえ、角度を変えた失敗事例と成功事例を取り上げています。簡単そうに見えるものほど奥深く、多角的に検証すると新たな発見があったりするからです。


1.日本軍の失敗

約300万人。太平洋戦争での日本人の亡くなった数です。うち230万人が軍人、その6割は「戦闘以外の死亡」。つまり、名誉の戦死ではなく病死や栄養失調による餓死です。
そうなった直接的な原因は米軍による物資補給ルートの遮断です。食料を含む物資が届かず、熱帯雨林をさまよい力尽きた軍人も数多くいました。そうなった根本的な原因は「戦線が延びきっていたこと」にあります。赤道を超え南半球のオーストラリア近くのソロモン諸島にまで日本軍は戦線を広げていました。これは戦略の問題です。

戦争といえば直接的な戦闘の場面を想起しますが、実際には行軍および物資輸送に大半の時間がとられます。補給が途絶えると軍隊は機能しなくなるので、補給ルートの決定や兵員や物資の輸送を計画、実施する「兵站」が重要な戦略課題になるわけです
ところが、日本軍は兵站をかなり軽視します。その結果、かなり遠くまで戦線を拡大し、その先にある後に餓島と呼ばれるダルカナル島での無残な敗北以降、米軍の反転攻勢を許し、日本軍の餓死者が急増していきます。

自軍の戦力以上に戦場を拡大し遠くに行きすぎた結果、多くの損害を被ることになりました。戦場の決定は陸・海軍上層部によって決めらます。その際、情報軽視、自軍の戦力過信、互いの見栄のはりあいがあったということ。戦略は不在でした。


2.セブンイレブンの出店戦略

 ビジネスの話に移行しますが、セブンイレブンは決して戦線を延びきらせるような戦い方をしません。セブンの戦場は「強い地域」の連鎖で成り立っているので、他社から攻め落とされる「弱い地域」がないのです。

強い地域は「配送拠点」と他社以上の「高密度の店舗配置」によってつくられます。現在、セブンは沖縄を除く地域に約18000店、ライバルのローソンは全国に約12000店出店しています。ローソンは1997年に47都道府県全てに出店(約6600店舗)しました。当時のセブンの出店は25都道府県(約7300店)だけです。北陸に初出店した5、6年前、四国、山陰など未出店地域が結構ありました。

店舗数は多いが出店地域は少ない。

これはセブンの各県における店舗密度の高さを示すともに圧倒的強さの源になっています。他社と比較すると、まず1店舗当たりの配送や広告コストが低く抑えられます。配送も多頻度小口化が可能となり、販売ロスの低減と商品の鮮度保持による顧客満足度向上、ひいては客数増も見込めます。他社以上にでた利益は商品開発や発注精度を高めるための投資に向かい、さらなる競争力をもたらすわけです。

セブンは一度ある地域に出店すると目標の店舗数になるまで出店を加速させ、いずれ1位の店舗数を目指します。(現時点では関東を中心に約半数の都道府県で1位)そうして粗利益の補給源となる「強い地域」をつくりだし、次の地域目標を近くに設定し配送拠点と高密度の出店をしていくのです。

ローソンが20年くらい前に全国出店を果たしていることを考えれば、このようなセブンの出店の仕方は一見遅く感じられます。コンビニ空白地帯に早く出店攻勢をかけ、先行者利益を獲得し、とりあえずでも地域基盤を作った方がいいように思えます。

しかし、私たちはセブンの圧倒的強さも知っています。先発で地域を制圧したつもりになっているライバル店をことごとく撤退させていく姿を目の当たりにしています。

このことは「狭い範囲に戦力を集中させ圧倒的な強さをつくる」方が、「広い範囲に中途半端に戦力を拡散させる」よりも長期的には拡大する可能性が高いこと、前者の方が、一見後者のようなスピード感がなく地味に見えるが戦略上は優れていることを表しています。

2000年を機にセブンとローソンの店舗数の差は広がり続けています。今後、セブンの店舗数が1位の地域も増えていくでしょう。かなりの確率でそう言えるのは、セブンに地域上の弱点がないからです。

セブンイレブンの草創期に、鈴木現会長は加盟店獲得するのに「江東区から一歩もでるな」といったそうです。狭域戦、近距離戦につらなる兵站の心得があってのこと。巨大企業となった今でもその戦略思想が徹底されているのがセブンの強さの本質だと思うのです。


3.利益性を左右する構造的要因

 ビジネスには収益とともに費用が伴います。当たり前ですが、少ない費用で多くの収益が得られれば、それだけ利益が多く残ります。この収益と費用の関係を利益性と呼びます。
 
結論から言えば、利益性を良くする最良の策は「特定範囲にお客を密集させること(占有率を高めること)」になります。特定化する範囲のひとつに地域があります。戦略的には会社から近く(近距離戦)、狭い範囲(狭域戦)、ということになります。

なぜ、お客を密集させればそれだけ利益性が高まるのでしょうか。
 
理由の一つは、経費効率がよくなるからです。ビジネスでは、営業や配送、メンテナンスなど人や物資が会社とお客の間を移動します。移動が発生すると、それだけ時間や費用がかかります。狭い範囲にお客が密集していると、それだけ移動効率がよくなりそれらに係る単位当たりのコストを押さえることができるのです。
 
もうひとつは、営業効率が良くなるからです。占有率はそれだけ信用の高さともいえます。周囲にある会社のお客が多くいると、当人もその会社のお客になりやすくなります。紹介も出やすく、費用ゼロで利益性を格段によくさせます。

さらに「最大の顧客満足は近くにあること」とも言われ、物理的な距離の近さは、お客から見れば心理的な距離の近さ、つまり「親近感」「安心感」「信頼感」とともに「即時対応」や「便利さ」を提供してくれるわけです。
 
大切なことは、日常的にお客獲得活動が行われ、これらの費用は発生しているということです。1日に何回も繰り返され、1年、3年、5年と期間を長くして考えると何千、何万何十万と行われ、「微差が大差をうみだす」ことには注意しておかなければなりません。

そして、その大本には「どこを目標とするか」と「その範囲の広さ」の決定があるのです。こういった利益性を根本から左右する要因を「構造的要因」と呼び、これをミスってしまうと、何をやっても、長期的にはビジネスはうまくいかなくなる点には留意しておく必要があるのです。


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