小嶋隆史の「小さな会社の経営法則」ブログ

競争は常に、有利な条件の者と不利な条件に置かれる者に分かれる。両者同じように戦ったら、最初から有利な条件のものが勝に決まっている。
救いは、ランチェスター法則によって明示された「弱者の戦略」だ。


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1.情報について

シャープの身売り先が、台湾の鴻海精密工業なのか、日本の産業革新機構なのか、結論が出たようです。結果は鴻海傘下に。実際は、産業革新機構の提案を受け入れてほしい、と思った人も多かった様に思います。日本の家電メーカーのかつての誇りをせめて国内にとどめ置きたいという感傷と、技術情報、ノウハウが海外へ流出してしまうのではといった危惧、がそこにはあったようです。(もっとも、現在のシャープの技術情報はトレンド遅れであまり魅力的ではないらしいですが。)

ひところ、日本のお家芸と言われた家電製品。ほんとにあっという間にグローバル競争に敗れ瓦解していくさまを私たちは目にしてきました。安い労働力を武器に韓国や台湾、中国メーカーが急激に成長してきたのとは対照的に、パンソニック、ソニー、東芝などの日本メーカーは急転落、最終的には巨額の赤字を抱え、テレビ、液晶、PCなどの事業を手放していく。そして今回のシャープ。

かつての日本もそうであったように、新興国企業が勃興してくる背景には、先進国で培われたノウハウ、技術、情報の「模倣」があります。先進技術を解明するために製品を分解するといった正攻法ならよいのですが、中には産業スパイを擁立し技術情報の取得を画策してくる企業もあります。実際、数年前に東芝の半導体関連の元技術者が逮捕されるような事件がありました。韓国企業からかなりの大金をもらい情報を流出させたとのこと。

大切な情報をどのように扱うか、という問題は一見簡単なようです。つまり、社外に流出させない、が答え。しかし、情報は目に見えないために、どこからが大切な情報で、どこまでが大切でない情報なのか、その境目がハッキリしていません。そのために、中小企業の中には、大切な情報を平気で流出させていることがあります。


2.隠密戦

弱者の戦略に「隠密戦」と呼ばれる原則があります。言葉が示すように、身を隠しながら秘密裏に行動するということです。姿を現すときは相手に圧倒的な差をつけ逆転不可能な状態になってからです。それまでは、大切な情報を漏らさない、行動を読まれない、ということはいうまでもありません。

そのように振る舞う理由は「強者のミート戦略」を避けることにあります。ミートとは「模倣(マネ)」のことで「即応戦」とも呼ばれます。弱者が差別化された商品やサービスを市場に投入したら、強者はすぐに真似るのが原則。「同質的競争」に持ち込めば、占有率が高くて資本力もある強者が有利になるからです。ミートされれば、先発の会社でも負ける可能性が高くなります。想像以上に恐ろしいことです。

ところで、「最初にドリップコーヒーを導入したコンビニはどこでしょうか?」と質問すると、セブンイレブンと答える人が多いようです。実際はサークルK。強者のミート戦略の例です。セブンが情報操作をしているわけではなく、消費者が勝手にセブンと思い込み、サークルKよりも評価も高くしているのです。強者そして占有率の怖さでもあります。

ミートされないように、弱者はひっそりと身を潜め、強者を刺激せず、その間に「差別化」のきいた打ち手を考えなければなりません。それは真似できないくらいのレベルか、強者にとってマネする魅力がないものになります。現実的な弱者の打ち手は後者が多くなりますが、もし前者の場合には、時期が来るまで情報は内密に社内での公表も精査したうえで行わなければなりません。


3.コントロール可能と不可能

戦略で大切な考え方の一つに、コントロール可能なものはそれを徹底し、コントロール不可能なものは最悪な事態を想定しておくということがあります。コントロール可能なものとは自社の内部統制です。不可能なものは外部のお客や競争相手。特に、競争相手を「そんなことしてくるはずがない」、「そんなことできるはずがない」と見くびってしまったことが原因で競争に敗れていくことがあります。

数年前、セブンイレブンが北陸初進出の際にライバルに当たるコンビニの地域FCの方がインタビューの中で、「すでにコンビニは飽和状態なので、セブンに出店余地はない」と言っていた記事があります。顛末はご承知の通り。出店をするかしないか決めるのはセブンの側で、他者であるライバルを制御する権利はその方にはなかったのです。

4.情報は漏らさない

圧倒的な差をつけるまでは、自社の戦略情報は漏らさない。非常に当たり前な戦略ルールですが、意外にも社長自ら流出させるケースがあります。代表的なのは、講演を頼まれた場合、経営計画発表の場に部外者を呼ぶ場合、同業者の集まりでつい調子に乗ってしゃべってしまう場合です。

これらは全てやってはいけないということではありません。競争相手が真似しようとしても真似できない自信と根拠があれば大丈夫です。そういう場合は自社の宣伝にもなるのでどんどんやればいいと思います。ただ、そうでない場合はできるだけ控える方が賢明でしょう。

もっとも、講演を頼まれる場合は一定の成功を収めた戦略のある社長でしょうから、教える範囲と教えてはいけない範囲をわきまえているでしょう。経営計画発表で人を呼ぶ場合は信用のおける人だけに限定すればよいでしょう。

一番よくないのは、同業者の集まりでベラベラしゃべることです。全員が性善説的関係にはならないのが通常です。「隠密戦」の原則に従う方が無難です。もっといえば、同業者とあまり付き合わない、読まれにくい行動をしておくことも大切かもしれません。

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