銀幕と緑のピッチとインクの匂い

映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。トラックバックは承認制を取らせて頂いておりますので、掲載まで少しお時間を下さい。


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 日本を代表する児童文学者の石井桃子さんが亡くなられました。享年101歳。今も元気に活躍していらっしゃる姿を見聞きしていただけに、突然の訃報に驚きを隠せません。


 石井桃子さんといえば、『ノンちゃん雲に乗る』です。そして、少女期の、いえ今でも私にとって大切な存在である岩波少年文庫を企画編集した方でもあります。彼女が編まれた沢山の作品は、戦後の日本の子どもたちや大人達に、多くの夢やロマンを与えてくれました。


 『くまのプーさん』と聞けば、多くの方があの可愛いプーさんの姿を思い浮かべることでしょう。それほど、日本文化の中にとけ込んでしまったA.A.ミルンのプーさんを訳したのが、石井さんです。他にも訳された本のリストを見ると、『トム・ソーヤーの冒険』や『ふくろ小路一番地』『ムギと王さま』『ゆかいなホーマーくん』『リンゴ畑のマーティン・ピピン』『氷の花たば』『ピーター・ラビット』…。エリナ・ファージョンやアリソン・アトリー作品の多くが石井さんの訳によるものだったのですね。他にも、ルーマー・ゴッデン、ネスビットや、そうそうケネス・グレアムも訳されているようです。児童文学の王道を極めた方だったのだな、と感無量です。


 子供時代に私が持った夢の一つに、「岩波少年文庫を全部集める!」というものがありました。気に入った物は出来る限り集めてはみたけれど、勿論子供には大きな限界がありまくりで、さらに大人になったら他の支出も多くて(苦笑)、未だに夢は叶っていません。岩波少年文庫は、新書版のサイズといい、‘文庫’という名前といい、ちょっとだけ大人を意識させてくれるものでした。子供向けの単行本ではなく、かといって‘大人のもの’という認識を持っていた文庫ほど敷居は高くない。凄く読みたいと思わせるラインナップが揃った夢の世界でした。私にとっての良い書店の基準の一つは、「岩波少年文庫を置いているところ」であせる、未だにそういう目で見てしまう傾向があります。


 私の憧れであり、大いなる友人であった岩波少年文庫を編集して、沢山の外国文学を紹介して下さった石井さんにはどれだけ感謝しても足りません。ありがとうございました。ゆっくりお休み下さい。



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