現在、在日外国人に地方参政権を付与する為の法案の是非が、論議を呼んでいます。
この問題について、私ども日本会議国会議員懇談会は反対の立場であり、昨年十月には小渕総理に会見し、強く申し入れも行いました。
ご承知の通り、参政権は一般の人権と異なり、憲法で、国民つまり国家の構成員のみに保障された権利であり、公務(義務)でもあります。ですから
これを外国人に与えることは問題で、この点、
最高裁判決も、参政権は「権利の性質上日本国民のみをその対象とし」その「保障は、我が国に在留する外国人に は及ばない」(平成七年二月二八日)と明言しています。
海外においても、外国人に参政権を認めている国は、ヨーロッパ連合(EU)諸国を除けば数カ国にすぎません。このEU諸国では、一つの国家(穏
やかな国家連合)を目指しており、そのEU諸国内に限り、相互主義のもとに加盟国国民に対して、連合市民権としての地方参政権を認めているだけです。しか
も、このうちのドイツ、フランスなどでは、外国人に地方参政権を与えるために、わざわざ憲法を改正しています。
したがって、
この法案にどうしても賛成したいのであれば、我が国でもその前に憲法改正が必要ですから、その当否も含めて、これこそ国会の憲法調査会での検討課題とするべきです。
この問題についてこの度、日本会議常任理事で、日本大学の憲法学教授、百地章氏が、法案への反対の立場から「永住外国人の参政権問題Q&A」を著されましたので、この小冊子を日本会議・日本会議国会議員懇談会として推薦し、このホームページに掲載させていただきます。
この小冊子についてのお問い合わせは下記の所にご連絡いただければ幸いです。
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FAX 03-5428-3724(FAXは24時間受付)
百地章氏のプロフィール
昭和21年、静岡県生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。法学博士。
[現職]日本大学法学部教授(憲法学専攻)
日本会議常任理事
[著書]『政教分離とは何か』『憲法と政教分離』など
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目
次
Q1
税金を払っているのだから、永住外国人にも地方参政権を認めるべきでは?
Q2
参政権は人権、つまり「国家以前の権利」だから、外国人にも保障されるべきでは?
Q3
地方参政権、それも選挙権に限定するならば認めることはできないか?
Q4
日常生活に関わるサーヴィス事務に意見を反映させるためでも選挙権は認められないか?
Q5
最高裁は永住外国人に対し、
地方自治体レベルでの選挙権付与を認めたのでは?
Q6
諸外国でも、外国人に参政権を認めているのでは?
Q7
ドイツや
フランスが外国人に地方参政権を付与するため、
憲法を改正したのはなぜか?
Q8
永住外国人への参政権付与の問題は、在日
韓国・朝鮮人問題だといわれるが?
Q9
在日
韓国・朝鮮人は日本人と同様の生活をしている。地方参政権ぐらい認めては?
Q10
在日
韓国・朝鮮人に対する差別解消のためにも、地方参政権を与えては?
Q11
朝鮮半島からの強制連行に対する謝罪の意味も込めて、地方参政権くらい認めては?
Q12
韓国では永住外国人に地方参政権を認めると聞く。相互主義の立場から認めるべきでは?
Q13
在日
韓国人の人々や
公明党などはなぜそれほど参政権問題にこだわるのか?
Q14
問題解決のため、どうすれば良いのか?
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Q1 税金を払っているのだから、永住外国人にも地方参政権を認めるべきでは?
Q
現在、在日外国人に地方参政権を付与するための法案が、自由・
公明、民主、共産の各政党によって、それぞれ国会に提出されています。外国人であっても、永住外国人の人々は、長年わが国に居住し、税金も払っているのですから、地方参政権(選挙権)くらい与えても良いのではないでしょうか。
A
納税を理由に選挙権を認めよと主張する人々は、現在の普通選挙制度というものがわかっていないのではありませんか。納税の有無や納税額の多寡にかかわりなく、すべての成年男女国民に等しく選挙権
を付与するのが普通選挙制度です。もし
納税の有無を問題にし出したら、普通選挙制度は否定され、逆
に、
学生や低所得者で税金を納めていない人達には、選挙権は与えられないことになります。
外国でも、納税を理由に外国人に参政権を認めている国など、どこにも存在しません。もともと
納税 は、道路、水道、消防などさまざまな公共サーヴィスを受けるための対価であり、このようなサーヴィスは外国人も等しく享受しています。
Q2 参政権は人権、つまり「国家以前の権利」だから、外国人にも保障されるべきでは?
Q
しかし、憲法の保障する
基本的人権は、もともと「国家以前の権利」であるとされています。それゆえ参政権についても、精神的自由権などと同様、当然外国人にも保障されるべきではありませんか。
A
確かに、
基本的人権の中には、精神的自由権などのように、国家以前の権利と説明される権利も存在します。しかし、
参政権は、あくまで国家の存立を前提とし、
国家の構成員のみに保障されるものですから、
憲法もわざわざ
「国民固有の権利」(第一五条一項) と定めているのです。
このことは、
最高裁判決(平 成七・二・二八)も認めており、「憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばない」としています。
そもそも、国家とは政治的運命共同体であり、国家の運命に責任を持たない外国人に国の舵取りを任せてしまって良いのかということが、外国人参政権問題の本質です。
また
外国人に参政権を付与した場合、
本国への忠誠義務と矛盾しないか、日本国と本国との間で国益上の対立や衝突が生じた場合どうするのか、といったことなども当然問題となります。
それに、参政権は他の人権と違って、単なる権利ではなく、公務(義務)でもあるわけですから、いつでも放棄し、
本国に帰国することが可能な外国人に、参政権を付与することなどできるはずがありません。
Q3 地方参政権、それも選挙権に限定するならば認めることはできないか?
Q
日本国憲法では、参政権を「国民固有の権利」(第15条一項)としていますが、地方公共団体の長や議会の議員は、その自治体の「住民」が直接、選挙する(第93条二項)ことになっています。ですから地方参政権のうち選挙権だけでも限定して認めることはできませんか。
A
憲法第九三条二項の「住民」は、当然のことながら
「日本国民たる住民」を指しています。この点については、先の
最高裁判決も、次のように述べています。
「憲法93条二項にいう『住民』とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当である」と。それゆえ、地方公共団体の
首長や議会の議員についても、「国民固有の権利」として、日本国民しか選挙権を行使することはできません。
また、参政権のうち、被選挙権が無理ならせめて選挙権だけでもというご意見ですが、
選挙権と被選挙権は一体のものですから、これを分離して選挙権だけ付与するということは不可能です。
Q4 日常生活に関わるサーヴィス事務に意見を反映させるためでも選挙権は認められないか?
Q
憲法では「
地方自治」が明記され、「住民自治」が保障されています。また今日では、地方分権の時代と
いうことが言われています。それゆえ、国政レベルは無理としても、
地方自治のレベルで、住民の日常生活
に密接な関連を有するサーヴィス事務については、永住外国人の意見を反映させるべく、選挙権
の行使を認めてもよいのではないでしょうか。
A
地方自治とはいっても、国から完全に独立して政治が行われているわけではありません。先の最高裁判決もいうように、
地方自治体は「我が国の統治機構の不可欠の要素を成すもの」であり、
地方自治も広い 意味で国政の一部といえます。
またかつて「三割自治」などといわれたこともあるように、地方自治体の
行っている事務の中には国の仕事も多く、
国からの「法定受託事務」のことを考えれば、
地方政治が国政と無関係などころか、密接な関わりを有することは明らかでしょう。
原子力発電所の設置、米軍基地の移転、自衛隊の演習場問題などのように、地方政治にとどまらず、国政に直接影響を及ぼす重要な問題は山積しています。また、今日、教育の混乱や荒廃が全国的に問題となっていますが、これなども
地方自治体だけに委せておくことはできません。
教育も、国政にかかわる重大な問題だからです。あの広島でも、国による指導や監督が行われなかったならば、偏向教育の是正は覚つかなかったではありませんか。
それに、
地方自治体の行う事務の中には、非権力的なサーヴィス事務だけで
なく、
警察などの権力的取締事務も含まれています。永住外国人に地方参政権
(選挙権)を認めた場合、非権力的なサーヴィス事務だけにその意思を反映させることなど、果たして可能でしょうか。
それゆえ、どうしても
外国人の意見を地域政治に反映させたければ、そのための諮問機関を作るなど別の方法を考えるべきではありませんか。
Q5 最高裁は永住外国人に対し、地方自治体レベルでの選挙権付与を認めたのでは?
Q
先の最高裁判決(平成7・2・28)は、永住外国人に対して、
地方自治体レベルに限り選挙権を付与することは、
憲法上禁止されておらず、国の立法政策に委ねられているとしています。
憲法判断についての終審機関である
最高裁が付与しても構わないとしている以上、永住外国人に地方参政権を付与しても問題はない
のではありませんか。
A
最高裁判決は、それに続く箇所で、あくまで立法政策の問題であり、
たとえ参政権を与えなくても別に憲法違反の問題は生じない、ともいっています。
また、その判決ですが、
最高裁判決とはいっても、永住外国人への地方参政権(選挙権)付与が禁止されないとした部分は、
あくまで「傍論」(判決の結論とは直接関係のない、単なる裁判所の意見表明)にすぎず、
判例としての効力を持ちません。
しかも、
この「傍論」の部分は、どう考えても「本論」と矛盾しており、これが
最高裁判決であるとは信じられません。というのは、判決は「本論」部分において、前にも述べたように、選挙権が「権利の性質上日本国民のみ」を対象とし、「外国人には及ばない」こと、そして
憲法九三条二項の「住民」とは
「日本国民」を意味し、「
右規定は、我が国に在留する外国人に対して…選挙の権利を保障したものということはできない」としているからです。
つまり判決は、地方レベルも含めて、選挙権が権利の性質上、あくまで日本国民のみに認められた固有の権利であるとしている(ちなみに
英文では「固有の権利」をinalienable
rightつまり
「譲り渡すことができない権利」であるとしています)わけですから、そのような権利をなぜ外国人に与えることができるのでしょうか。
これは明らかに矛盾であるとしか考えられません(この奇妙な「傍論」が付け加えられた背景については、あとで触れます)。
↓資料①
Q6 諸外国でも、外国人に参政権を認めているのでは?
Q
外国人への参政権付与が、
憲法上重大な問題を含むことは良くわかりました。しかし、国際化が叫ばれて
いる今日、国際協調のためにも、永住外国人に地方参政権を付与することはできないでしょうか。現に北欧
諸国や
ヨーロッパ連合(
EU)諸国など、外国人に参政権を認めている国も増えてきているではありません
か。
A
外国人への参政権付与の問題は、憲法の基本原則である
国民主権に直接かかわるものであって、国際協調などとは別問題です。また、外国人に参政権を認めてい
る国は、北欧諸国や
EU諸国を除けば
スイス、
オーストラリアなど数カ国だけであって、決して世界の流れなどということはありません
↓資料②
しかも北欧諸国などの場合、周辺諸国との間で早くから地域協力や相互移住が行われてきており、専ら移民対策として外国人に選挙権を付与しただけです。また
ドイツ、
フランス等のEU諸国は、一つの国家
(緩やかな国家
連合)を目指しており、その
ヨーロッパ連合(EU)諸国内に限り、相互主義のもと加盟国国民に対して、
連合市民権としての地方参政権を認め合っているだけです注①。
このように、
外国人の選挙権を認めている国はごく限られている上、それぞれ特殊事情なり、歴史的背景があってのことですから、事情を全く異にする我が国の参考にはなりません。
Q7 ドイツやフランスが外国人に地方参政権を付与するため、憲法を改正したのはなぜか?
Q
その
ドイツや
フランスですが、これらの国々では、
ヨーロッパ連合条約の締結に伴い、外国人(
EU加盟
国国民)に地方参政権を付与するため、わざわざ
憲法を改正したと聞きます。なぜ
憲法改正までする必要が
あったのでしょうか。
A
ドイツでは、一九八九年、ハンブルクとシュレスヴィヒ・ホルシュタインの両州が、相互主義を前提として、永住外国人に対し地方参政権(選挙権)を付与したことがありました。しかし連邦
憲法裁判所は、
一九九〇年、これを
憲法違反としました。
というのは、
ドイツ基本法第二〇条二項が「国家権力は、国民により、選挙および投票によって…行使される」としていること、そしてこの「国民」とは、
ドイツ国民に他ならないことから、外国人に参政権を付与することは、たとえ地方レベルであっても許されないと判断したからです。そこでドイツでは、一九九二年、
ヨーロッパ連合条約の批准に伴い憲法を改正して、外国人(
EU加盟国国民)に地方参政権を認めました。
また、フランスの憲法院も一九九二年、外国人に地方参政権を付与することを認めた
ヨーロッパ連合条約を
憲法違反としました。その理由として、判決は
憲法第三条四項が「
フランス国民の成年男女は、すべて…選挙人である」としており、
フランス国民のみが参政権を有することなどをあげています。そのため
フランスでも、同年、右条約を批准するために
憲法改正を行っています。
この点、
日本国憲法は、参政権が「国民固有の権利」であることを明記しているのですから、
外国人への参政権付与は、当然、憲法違反であると考えなければなりません。それ故、どうしても外国人に参政権
を付与したければ、
ドイツや
フランスなどと同様、
憲法を改正するしかないわけです。
Q8 永住外国人への参政権付与の問題は、在日韓国・朝鮮人問題だといわれるが?
Q
ところで、永住外国人約63万人のうち、九割は在日
韓国・朝鮮人です。それ故、永住外国人への参政権付与の問題は、日本の国際化などということよりも、在日
韓国・朝鮮人問題であるといわれていますがそうでしょうか。
A
その通りです。現に、この問題について、最も
熱心に運動を推進しているのは、
韓国系の在日
韓国・朝鮮人団体の「
民団」(
在日本大韓民国民団)です。ただ
し、
北朝鮮系の団体である「
朝鮮総聯」(在日本朝鮮人総聯合会)では、
参政権の付与が、朝鮮人同胞を日本国民に同化するものであるとして、絶対反対との立場をとっています。
したがって、
在日韓国・朝鮮人の人々の間でさえ、
意見が鋭く対立しているこのような問題に、我が国が深入りするのは危険ではないでしょうか。
↓資料③
Q9 在日韓国・朝鮮人は日本人と同様の生活をしている。地方参政権ぐらい認めては?
Q
在日
韓国・朝鮮人であっても、二、三、四世ともなれば、日本人と変わりません。彼らは日本語を話し、
日本人と同様の生活をしているのですから、地方参政権(選挙権)ぐらい認めても良いのではありませんか。
A
すでにお話したとおり、
外国人に参政権を付与することは、たとえ地方レベルであっても憲法違反です。
それ故、この問題は友好や親善などといったレベルの問題ではなく、あくまで
主権にかかわる重要な憲法問題であることを考える必要があります。
彼らが日本人と変わらず、しかも
参政権を望むというのであれば、帰化するのが最も自然でしょう。二、三、四世ともなれば帰化も容易ですし、現に平成七年頃からは、毎年、一万人近い在日
韓国・朝鮮人の人々が帰化しています。
↓資料④
にもかかわらず
彼らが帰化しようとしないのは、本国に対して今なお忠誠心を抱いており、
日本には忠誠を誓いたくないからであると考えざるをえません。事実、
日韓条約締結当時、権逸(クォンイル)・民団団長は「私たちは日本に対し恨みが積もり重なっております。」と述べています注②。このような人々に、なぜ
憲法違反を犯してまで、参政権を与えなければならないのでしょうか。
ちなみに、
在日韓国・朝鮮人の人々は、彼らの母国、韓国、北朝鮮で参政権(被選挙権)をもっていますから、いつでも
韓国、北朝鮮の国会議員となることができ、現在も、
北朝鮮には在日の国会議員が七人もいます。
Q10 在日韓国・朝鮮人に対する差別解消のためにも、地方参政権を与えては?
Q
しかし、在日
韓国・朝鮮人の人々は、戦後もずっと、日本人社会において差別され続けてきました。ですから、そのような差別を解消するためにも、地方参政権(選挙権)くらい与えることはできませんか。
A
確かに、残念なことですが、戦後も在日
韓国・朝鮮人の人々に対するいわれのない差別や偏見が一部国
民の間にみられたことは否定できません。
しかし、今日の我が国では、在日
韓国・朝鮮人の人々が、スポ
ーツ、芸能、文学その他さまざまな分野で活躍し、日本人もそれを自然に受け入れています。
最近まで徹底的な反日教育を行い、日本の音楽や日本映画などの大衆娯楽まで締め出してきた韓国と比べて、どちらが排他的でしょうか。
しかも、平成3年(1991年)の出入国管理特例法によって、
在日韓国・朝鮮人の法的地位をめぐる問題は全面的に解決され、彼らには
「特別永住者」という、外国人として破格の地位が与えられました。
彼らは、他の外国人と異なり、在留資格に制限がありませんから、母国
韓国はもちろん、日本での経済活動も全く自由です。また五年以内であれば、
韓国と日本の間を自由に往来することも可能です。
さらに、内乱罪・外患罪など、日本の国益を害する重大な犯罪を犯さない限り、国外に退去強制させられることもありません。これは
世界にも例のない、きわめて恵まれた地位であって、差別どころか、彼らは
日本人以上の特権を有しているわけです注③。
また、すでに
日本に帰化した韓国・朝鮮系日本人と比較しても、彼らの方が当然優遇されていることになります。それでもまだ不満であるというのでしょうか。
ですから、彼らが
帰化しようとしないのは、本国への忠誠よりも、この
恵まれた特権を失いたくないからではないのかという人もいます。
Q11 朝鮮半島からの強制連行に対する謝罪の意味も込めて、地方参政権くらい認めては?
Q
「傍論」の中で永住外国人への地方参政権付与を認めた、先の最高裁判決について、担当裁判官の一人、園部逸夫氏は、次のように述べています。「在日の人たちの中には、戦争中に強制連行され、帰りたくても祖国に帰れない人が大勢いる。
『帰
化すればいい』という人もいるが、無理やり日本に連れてこられた人たちには厳しい言葉である」と。(朝日新聞、平成11・6・24)そして植民地時代の朝
鮮に生まれたという氏は、自らの体験に重ね合わせ身につまされる思いがし、その思いがこの議論にも反映されたのだという。
戦時中、朝鮮半島から強制連行された人々やその子孫に対しては、謝罪の意味も込めて、地方参政権くら
い認めるべきではないでしょうか。
A
「強制連行」ということがいわれますが、
在日韓国・朝鮮人の人々の多くが「強制連行」された人々やその子孫であると考えるのは誤解であり、
事実に反するといって良いでしょう。
というのは、昭和20年の敗戦当時、日本には約200万人の在日朝鮮人がいましたが、
GHQの積極的支援のもと、昭和23年までの間に、約140万人が帰国しているからです。
つまり、
日本国民と同様に戦時動員されて日本に来た人達は、この間に
ほぼ全員帰国しており、残ったのは戦前から日本に生活基盤のあった人々でした。それゆえ、
残留者の多くは、自らの意思で我が国に残ったわけです。
そしてその後も、
帰国の意思さえあれば、いつでも本国に帰ることができました。このことは、在日
韓国人団体による調査からも明らかで、在日一世のうち、「強制連行」(実は戦時動員)により無理やり日本に連れてこられた者は、全体の約五%以下であるとされています注④。
また
「強制連行」といういい方も正しくありません。正確にいえば、
日本人(内地人)と同様に、戦
時中、
朝鮮人の人々も同じ日本国民として、
戦時動員つまり徴兵や徴用等を受けただけであり、これは差別でも何でもないからです。
ですから、園部裁判官の主張は、根拠の乏しい感情論にすぎません。また仮に「強制連行」の事実があったとしても、それが参政権の根拠となるはずがありません。
Q12 韓国では永住外国人に地方参政権を認めると聞く。相互主義の立場から認めるべきでは?
Q
韓国では、2002年の
統一地方選までに、永住外国人に対して地方参政権を付与する方針であると聞きます。であれば、相互主義の立場から考えて、我が国でも前向きに検討すべきではないでしょうか。
A
国際法上の相互主義とは、正確にいえば、関係国が条約を締結し、対等の条件で互いに権利、義務を認め合うことをいいます。
EU諸国の例は、まさにそれです。したがって、
韓国が一方的に定住外国人に対して地方参政権を認めるからといって、それは相互主義とは無関係であり、我が国がそれに拘束される理由はありません。
しかも、
在日韓国・朝鮮人は約53万人もいるのに対して、
在韓日本人はわずか300人程度です。これでは、とても対等とはいえず、
相互主義など成り立ちません。
Q13 在日韓国人の人々や公明党などはなぜそれほど参政権問題にこだわるのか?
Q
在日
韓国人の人々が要求する地方参政権については、正当な理由が全くないばかりか、地方参政権を付与することは
憲法違反であることもわかりました。にもかかわらず、
在日韓国人の人々や公明党などはなぜそれほど参政権問題にこだわるのでしょうか。
A
はっきりいえば、
「民団」の組織維持注⑤つまり「生き残り」のためでしょう。90年代以降、在日
韓国・朝鮮人の間では、先に述べたとおり、
若い世代の帰化が急増しています。また、彼らの結婚相手の約八割は日本人ですから、その子供達も当然、日本人となります。他方、一、二世の人々は次第に減少しますから、
在日韓国・朝鮮人は、
二十一世紀の前半中には自然消滅する可能性が高い注⑥とさえいわれて
います。
↓資料⑤
このような中で、
民団としては、どうしても組織を維持するため運動目標が必要であり、
指紋押捺の撤廃に成功したあと出てきたのが、
地方参政権付与問題というわけです。それなのに、
我が国の政党や政治 家が、憲法違反を犯し、国益を損ねてまでなぜ民団の支援をする必要があるのでしょうか。その裏には
在日の人々の票目当てなど、別の意図や目的が隠されているのではないかと疑わざるをえません。
Q14 問題解決のため、どうすれば良いのか?
Q
それでは問題解決のため、どうすれば良いのでしょうか。
A
唯一の
正しい解決方法は、何度もいうように、
「帰化」しかありません。ただし、永住外国人について
は、帰化の手続きを大幅に緩和して、帰化の動きを更に促進する必要もあると思われます。
また、
帰化しない外国人にどうしても参政権を付与したいというのであれば、憲法改正が必要ですから、その当否も含めて、
国会の憲法調査会でじっくり検討すれば良いのではないでしょうか。
《注》
①ただし、イギリスなどのように、
EU加盟国国民に加え、旧植民地国の人々に対しても、二重国籍を付与し
た上で参政権を認めている国もあります。しかしこれは
イギリス国籍を認めた上でのことですから、正確に
は外国人への参政権付与には当りません。
②李東元著、崔雲祥監訳『韓日条約締結秘話』(1997年)136頁。
③坂中英徳『在日
韓国・朝鮮人政策論の展開』(平成11年)19頁~20頁、31頁、65頁等参照。
④西岡力「『参政権』は国籍取得が前提だ」『正論』(平成7年11月号)99頁~100頁。
⑤荒木和博「外国人『地方参政権』という虚構」『明日への選択』(平成12年2月号)。
⑥坂中・前掲書50頁。
