青春の雨音-3-42(完)

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2006-01-05 20:45:02

【42】
翌日早朝に俺は和哉さんの家を飛び出したが、もう下のコンニャク工場では

湯気がたちこめた中で仕事が行われていた。
その中にはサヨさんの姿もあった。


俺は、チラッとだけ眼をやったが、サヨさんは普段と変わらぬ顔で仕事をこな
していた。


階段を降りてきた俺に気付かないのか、気付いてもわざと知らない振りをし

ているのか、俺はすぐに外に出たが、少し寂しい気持がした。


また、家路に向かう途中に、昨夜の出来事は夢のような気さえしてくるのだ

った。
あのサヨさんの温かくふくよかな胸に抱かれた感触は記憶の底に残ってい

るのに、今は何もかもが遠い夢のような、幻のように思われていた。


何とか和哉さんには、俺とサヨさんの関係はばれずに済んだようだったが、

その後しばらくは和哉さんの家に行く度胸が湧かないでいた。

サヨさんにまた会ってみたい気持はあるのだが、なんだか会うのが怖いよ

うな気さえしてくるのだった。


年の瀬も迫り、和哉さんの家に足が向かない間に、クリスマスも過ぎ、学

校も冬休みに入っていた。
俺は、サヨさんにクリスマスのプレゼントを贈るつもりでもいたのだった。
だけど、メモ用紙ならいざ知らず、少し大きめのプレゼントを他の人たちに

気付かれずに渡す自信はなかった。


俺があまり顔を見せないものだから、和哉さんから風邪でもひいたのか?

という心配の電話があり、急に行かなくなるのも変に思われると思い、和

哉さんからの電話をよい機会ととらえて、今から行くよ、と俺はいった。

あの日からもう11日が過ぎた12月26日の午後3時、俺は和哉さんの家

に向かった。


和哉さんの家に近づくに連れて、俺の胸は高鳴った。
サヨさんを再び見れる嬉しさがあふれてくるのだった。

もう相部屋の女は帰っているだろうから、あの夜のようなことはもう無い

だろうと思いながらも、ただ、サヨさんのいる家へ向かう喜びに胸は高鳴

るのだった。


今月いっぱいで、おそらくサヨさんはコンニャク店の手伝いも終り、故郷

へ帰ってから、来月の東京への嫁入り支度にとりかかるだろうから、もし

かしたら、本当に今日がサヨさんの姿を見る最後の日となるのかもしれ

ない、と俺は思った。

そう思うと、ぜひとももう一度会って、話し合ってみたいという衝動に駆ら

れてくる。


和哉さんの家に着くと、いつものように「みつるで~す。おじゃましま~

す。」
といって、俺は2階の和哉さんの部屋へと向かった。

和哉さんの部屋へ行くには、工場の中の階段を登って行かなければな

らない。
工場は、朝から昼までの午前中の仕事が主で、昼をはさんで午後は、

機械の清掃や、糸こんにゃくの巻き取り作業などが行われていたが、

いくら工場の中を見渡しても、見慣れたサヨさんの姿はなかった。


俺は、少し胸騒ぎがしてきた。
和哉さんの部屋に入ると、「サヨさんの姿が見えなかったけど」と和哉さ

んに自然な口調で訊ねた。

机に向かい、何やらノートに書込みしていた和哉さんは、
「ああ、サヨさんなら丁度クリスマスの日に辞めて、家に帰ったよ」
とさらりと言った。


「へえ、そうなんだ」
と、俺もこらえてさらりと応えたが、何やら、涙がこぼれ落ちそうなくらい、

胸の中では悔しい思いをしていた。
何でもっと早く来てやらなかったんだ、サヨさんだって、もう一度くらい俺

と会いたいと思っていたに違いないんだ…。
この、バカヤろーが。


「なんか、正月に東京から結婚相手が迎えに来て、すぐ式を挙げて東京

へ一緒に向かうことになったとかで、故郷の母から急に呼ばれたんだっ

てよ」

俺はこぼれ落ちそうな涙を我慢して、和哉さんに近づき、自然な口調で

「何を書いてるの?」とノートを覗き込んだが、声はいつもと違い、うわず

っていた。
「集めたレコードのデータ集を整理しているんだよ」
「ああ、いつものか」
「ついに100曲を超えたぜ」
「ふ~ん、すごいな、100曲か…」


何気ない会話を交わしながらも、俺は、二つ離れた廊下の奥の部屋へ

と気持は走っていた。
あの夜の状況が、俺の体全身によみがえってきた。

もう一度、サヨさんに会いたかった。いや会いたい。本当に会いたい。
柱にもたれて、座り込んだ俺に、
「どうしたんだい? やはり風邪でもひいているんじゃないのか?」
と和哉さんは心配顔で俺を見た。


俺は和哉さんと眼を合わせることができなかった。
「んん、まだ少し熱があるみたいだな」
といって、首をうなだれた。
サヨさんのいなくなった和哉さんの家は、急に色あせたものに思えて

きた。


「和哉、配達に行ってくれ」
と和哉さんの父親の呼ぶ声が階段下から聞こえてきた。
「ちぇっ!」
と舌打ちしながら、和哉さんは階段下へいつもの通り降りて行く。


一人になった俺は、サヨさんがいた部屋へと向かった。

まだ誰もいないと知りながらも、そっと戸を開けて、あの時のように

中をうかがった。
まさにあの夜の光景が俺の頭の中にまざまざとよみがえった。


ただ、昼のサヨさんがいた部屋は、こんなにも明るかったのかと思

わせるほど、開かれたカーテン越しに、冬の陽射しがまぶしく差し

込んでいた。

こぎれいに整理された部屋は、サヨさんの荷物がなくなった分だけ

広く感じられた。


俺は、部屋へ足をふみ入れると、サヨさんが布団に横になっていた

辺りに行き、あの夜と同じように横たわった。


しらずしらずのうちに、涙が頬を伝って、畳に落ちた。
俺は、唇を噛みしめながら、そのままずっと横たわったままでいた。
(青春の雨音-第三話-完)

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青春の雨音-3-41

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2006-01-03 20:50:30

俺はそのサヨさんの行動に驚いていた。
それに、俺は何をどのようにしてよいかさえ分からないのだった。

サヨさんは、俺の唇に自分の唇を押し付けながら、じっと抱き合ったままで

いた。


しばらくはそんな時間が流れていった。
俺の頭の中では、少し混乱を起こし、これは夢ではないのか?などと思っ

たりした。本当にこれはあのサヨさんの唇なんだ。
そう思うと、胸の高鳴りはさらに大きく、ドッキンドッキンと脈打つのだった。


しばらくすると、真っ暗だった部屋にも眼が慣れてきて、ぼんやりとサヨさ

んの顔かたちが見て取れた。
唇を離したサヨさんも、俺の顔を見ていた。
そして「うふ」と喜びの声をもらした。

俺はそれだけで満足だった。


今日の俺の計画はサヨさんの唇を吸うことだったからだ。
その目的が、意外な形で展開されたのには驚いたが、目的を果たせた俺は、

サヨさんに回していた腕を戻し、サヨさんの横で仰向けに天井を眺めていた。


サヨさんは何を考えているのか、俺の右手を再び握り、自分の乳房へと運ぶ。
俺は、躊躇して手を引っ込めようとすると、サヨさんは、薄暗い中で、俺の顔

を見ながら、顔を縦に振って、「いいのよ」といっている仕草をした。


俺は頭の中が真っ白になっていくのを感じながら、気がつけば、サヨさんの

乳房に唇を押し当てていた。
そして大胆になっていく自分がいた。
乳房から乳首へと唇が這い上がり、俺はサヨさんの乳首を吸っていた。


サヨさんは「うっ」と吐息をもらした。
そして、さらに俺の右手をつかむと、自分の下半身へと誘導するのだった。

サヨさんは寝巻き一枚だけを着た状態で、下着も何もつけていなかった。
俺は、生まれて初めて女のあそこを触った。


すでに充分に濡れていた、という感想をいえるのはずっと後になって思い起

こすことであって、その当時は、「女のあそこはなんでこんなに濡れているの

だろう?
サヨさんおしっこでももらしたのだろうか?」などと当時はあそこを触りながら
本気でそんなふうに思っていた。


サヨさんに導かれながら、俺は乳首を吸ったり、女のあそこを触ったりしてい

たが、その後どうすればよいのかも分からないのだった。


サヨさんはそれを察知したのか、今度は、サヨさんの手が俺のあそこに伸び

てきて握るのだった。
俺は恥ずかしさのあまり、思わず尻を後ろへ引いた。
サヨさんの俺のあそこを握る手が外れ、サヨさんはその後再び俺のあそこに

手を伸ばすことはしなかった。


俺の頭は、完全に混乱していた。
それは、女を知らない男の混乱といってもよかった。

サヨさんは、もう知らないというふうに、体の力を抜くと、仰向けになったまま、
天井を向いて眼を閉じていた。


俺は、左ひじで横向きに体を起こし、サヨさんの顔を上から眺めおろした。
眼を閉じるサヨさんの耳元で、「ごめん」と静かに息を吹きかけた。
サヨさんは目を閉じたまま、再び俺の背中に腕を回し、俺の体を引き寄せた。


後は、サヨさんの誘導と、俺の自主的な本能の動きとで、俺はサヨさんによ

って17歳7ヶ月、高校2年で女の体というものを初体験したのだった。


ただ、その最中、二つはなれた部屋に寝ている和哉さんに向かって、「すま

ない和哉さん。先輩のあなたを追い越す行為を許してください」などという言

葉が頭をかすめたことと、サヨさんの夫になる頑強な体の写真の男の顔など、
また、来月早々、東京に嫁いで行くサヨさんに対して、こんな行為をしていい

のだろうか?…、という複雑な思いが、俺の頭の中を駆け巡っていた。


しかし、若い俺の体は、途中で行為を止めることはできなかった。
俺は頭の中の混乱を振り払うように、激しく腰を動かした。
(次号へ)

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青春の雨音-3-40

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2006-01-02 09:33:19

【40】
待ちに待った土曜の夜、和哉さんと俺は色々な話に盛り上がり、布団に入っ
てからも和哉さんは何やらかにやらと語りかけては、寝ないのだった。

俺は、サヨさんの部屋へ行くために、和哉さんに早く寝て欲しかったが、い
つもの通り午前0時を廻ってしまっていた。


サヨさん、待ちくだびれているだろうな、と、俺も気が気ではなかった。

そういえば、いつも決まって行う恒例のオナニーをやってないから寝れない
のだろうと思い、俺の方から和哉さんに「いつものヤツをやろうか?」と持
ちかけた。


「もう最近は、家の手伝いで疲れ果ててその気力さえ起こらないんだよ。ゴ
メン、やるなら一人でやって」
といって、枕元においているちり紙をぽいと俺の方に投げてよこした。

その後、しばらく沈黙が続いた後、気がつくと和哉さんは寝入ってしまって
いた。


時計を見ると、午前1時に近かった。
俺は枕もとの電気スタンドのスイッチを切った。
和哉さんの部屋が真っ暗になった。

和哉さんのかすかないびきが聞こえてきたのを機に、俺は布団を抜け出した。


忍足でサヨさんの部屋へ通じる廊下を歩く。
廊下やサヨさんの部屋の下はこんにゃく工場になっているので、よほどの音
を立てない限り、皆に気付かれることはなかった。


しかし、俺の胸の鼓動は、家中に聞こえるのじゃないのかと思えるほど高鳴
り、サヨさんの部屋に近づくに連れて、その高鳴りは大きくなるのだった。


サヨさんの部屋は蛍光スタンドが点けられていて、その灯りが廊下にもれて
いた。それは灯台の灯りのようで、海原を行く船を導いているかのようだった。


近づくと、指一本分戸に隙間を作ってくれていて、サヨさんは俺の来るのを
待っていてくれたのを感じ取れた。


戸の隙間から覗くと、サヨさんは布団に向こう向きで寝ていた。

俺は、これまでの以前のように、北国特有の綿入れ半天を着たサヨさんが、
こたつに足を入れて紙と鉛筆を用意して待っているものとばかり思っていた
が、今回の布団に横たわるサヨさんを眼にして、このまま入っていってサヨ
さんを起こしていいものかどうか迷った。


サヨさんは本当に寝入っているのかどうか、ピクリとも動かない。

俺も寒さに体中が痛くなってきた。

俺は思い切って、そっと戸を開けて閉めると、サヨさんの布団の中にもぐり込
んだのだった。


布団に横たわっていたのは、サヨさんの戦略らしかった。

サヨさんは眠ってはおらず、俺に背中を向けたまま、右手で俺の右手をつかむ
と、温かいサヨさんの胸の方へ引き寄せるのだった。
俺はサヨさんのその意思を感じ取ると、両腕をサヨさんの体に回し、力いっぱ
い抱きしめた。
サヨさんの体は温かく、冷えた俺の体はその温もりにみるみるうちに温まるの
だった。


サヨさんは右手を布団から出すと、枕元にある紙をつんつんと指差した。


俺はその紙を見ると、
「あなたとこうして会えるのは、今夜が最後です。あなたに何かお礼をと考え
たけど、何もできずに今日を迎えてしまいました。これまでのお礼のつもりで
一夜を共に過ごせたら私も嬉しいです。だから、今夜は何をしてもいいよ。」


俺が読み終わるのを待って、サヨさんは再び白く美しい腕を布団から伸ばすと、
蛍光灯のスイッチを切った。


真っ暗になって、サヨさんは俺の方に向きを替え、胸と胸を合わせて強く抱き
合った。サヨさんの胸は予想を超えて大きくふくよかだった。
躊躇する俺に、サヨさんの温かな唇が俺の口をふさいだ。
(次号へ)

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青春の雨音-3-39

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2006-01-01 11:38:40

【39】
12月も押し迫ったある日、サヨさんは和哉さんを訪ねた俺を待ち構えてい
たかのような顔をして一枚の手書きメモを素早く渡した。

俺も何食わぬ顔をしてそのメモ書きをポケットにしまうと、和也さんの部屋
へと向かった。
そんな素早さはお互い慣れた行為になっていて、周りの誰からも二人の関係
をまだ知られずにいた。


和哉さんはコンニャクの配達に行っていて留守だった。
俺は、先ほど手渡されたサヨさんからのメモ書きをコタツに足を伸ばしなが
らゆっくりと読んだ。


「恵子さんのおばあちゃんが亡くなったとかで、今度の土曜日から3日間、
私は部屋に一人でいます。ぜひ来て下さい。」


俺は、嬉しさのあまり、何度も何度もメモ書きを読み返していた。

和哉さんが帰って来たので、俺はメモ書きをポケットにしまい込んだ。
そして、「今度の土曜日泊ってもいいかな?」と和哉さんに聞いた。


和哉さんは、「何をそんな遠慮した言葉づかいをしているんだ。満君らしく
ないな。いつもは明日泊めてとか、その日だって、今日泊って行くよ、など
どいうくせに」
「何かあったのかい?」
と逆に問いかけられてしまった。


「いや、別に何も無いけど、和哉さんの店、年末は忙しそうだから」

これまでだって、年末年始なんて関係なく、泊りたい時に泊り、語りたい時
に語ってきた仲なのであった。
「じゃ、水臭いこというなよ。泊りたけりゃ、泊ればいいじゃないか」
「うん、わかった、じゃ今度の土曜に泊りに来る」
と俺はいった。


和哉さんは、このところ嫌な店の手伝いで、デートの時間が取れず、イラつ
いているのが分かっていた。
そのデートでも、相変わらずキス以上に進展が見られず、泊りあった時は決
まって行う、お互い何かを語りながらオナニーにふける時も、
「ちくしょう、いつになったら俺のこの肉棒が彼女のあそこをぶち抜くんだ
ろう…、こんなことしていると永遠にそんな日が来ないような不安にかられ
るよ」
などど言っては、彼女の名前を叫びながら果てるのだった。


俺は、土曜の夜に和哉さんの家に泊まる約束を得たことで、サヨさんの部屋
へ再び行ける事が嬉しくてならないのだった。


トイレに入って、俺も「土曜日夜、OK!」とだけ書いたメモ書きを準備した。
そして、さりげなくサヨさんに渡すことに成功した。


俺とサヨさんは、2度ばかりのデートを重ねていたが、映画館で手を握った
のがこれまでの最大の成果だった。


俺は、今度の土曜の夜、サヨさんと二人きりの夜に、バイクで見たあのサヨ
さんの美しいきれいな白い歯や唇を吸ってみたいと思ったことを、実行に移
せるのではないのか…、という期待と不安の入り交じった気持が湧いてきて、
そう考えると、俺の下半身は敏感に反応して勃起してくるのだった。
(次号へ)

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