ある認知症専門医の回顧録

認知症治療にかかわって20年を超えます。
現在は慢性期の認知症専門病院の認知症治療病棟でまったりと仕事をしています。
今までかかわった認知症の方から学んだことを、忘れないように書きとめいて行こうと思います。更新は、たまにしか出来ないと思います。


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コウノメソッドと言うのは、名古屋フォレストクリニック院長の河野和彦先生が、長年の認知症治療の経験を元にネット上で公開している認知症治療のマニュアルである。



コウノメソッドの目的は、認知症の方でも穏やかな生活を送れるようにすることが一番の目標である。



 



1.家庭天秤法



 薬の副作用を出させないため、医師の指示のもとで介護者が薬を調節する。



2、患者と介護者の両方を治せないときには、介護者を救う。記憶を良くすることより穏やかにさせる薬を優先する。



3、安全で高い改善率を示す処方術



 



と言うコンセプトで、2007年から公開されている。



 



認知機能の改善も、手段に過ぎない。介護者を楽にすることを第一にしている。



興奮を取るためには、抑制系(抗精神病薬など)の薬剤を使用することが多い。長年の多数の患者を治療してきた経験から選んだ薬剤を中心に、認知症の原因や症状ごとに、系統的に薬剤選択法が書かれている。

高齢者は一般に薬剤の副作用が出やすいので、薬物療法の基本は、必要なときに必要な薬を必要な量だけ必要最小限の期間使用する。と言うのが基本である。

特に中枢神経系に作用する薬剤は、思わぬ副作用が出てくることも珍しくない。この点に注意しながら治療薬の選択や、量の調整を行っていくことは、このメソッドの中心的な考えであり、非常に重要なことである。多くの医師にこのことを理解して欲しいと思っている。




アルツハイマー・レビー小体型認知症・ピック病・脳血管性認知症・脳外科的認知症などについて、ブログを通じて多量の情報を河野先生はネット上で公開している。



共和病院時代でも年間数百例の新患が河野先生の元を訪れている。名古屋フォレストクリニックを開業してからは、患者も増え現在年間2000例前後の新患を診察・治療している。驚くべき数字である。有名な認知症専門外来を行っている医療機関でも、新患は年間300500例程度である。場合によっては複数の医師で診察しての数字であるから、この差は圧倒的といわざるを得ない。



この多くの患者を診ることで、経験的に薬剤選択をしてきたのである。



ただこの薬剤の効果をきちんとした統計を取ることが難しいため、きちんとしたエビデンスとなっておらず、なかなか医師に受け入れられない状態が続いている。特に専門にといわれる医師が受け入れていない。



 



このコウノメソッドに従った(参考にした)治療を行う医師を登録し、HP上で公開している。コウノメソッド実践医と言うが、私も一時登録していた。現在は諸般の事情で非公開とさせていただいているが、私もコウノメソッド実践医の一人であり、現在認知症治療は入院のみの対応となっている。あとは、「認知症を学ぶ会」と言うHP内の掲示板で、介護者の相談に対して書き込みを行っている。



認知症を学ぶ会のHPのアドレスを載せておく

 http://www.ninchi119.com/



コウノメソッドは、本当に効果があるのか?



これは、多くの方が知りたいことだと思う。



私は、経験では本物と考えている。認知症全般に、いろいろな原因に対する治療法を、これほど系統だって解説した本は今まで見たことがない。



施設入所者(主に訪問診療で対応)や認知症治療病棟での経験から、コウノメソッドは非常に有用だといえると私は考えている。コウノメソッドの治療でも、重要な役割をしている、サプリメントのフェルガード類やせん妄の特効薬であるニコリンの多量静注が使えない環境でも、多くの方は、コウノメソッドに従った薬剤選択で落ち着かせることが出来るのである。薬剤による過剰な沈静を行うことなく、患者を穏やかにすることが出来るのである。



多くの医師は、認知症の原因診断が出来ず、また症状の分析も不十分なため、適切な薬剤を選ぶことが難しいのが現実である。



興奮も、せん妄によるのか心理的な要因によるのかで薬剤選択が違う。レビーやピックで多いが、この二つでも薬剤の選択が違ってくる。これを十分理解できる医師は、まだまだ少ないのが認知症治療の現状であろう。


なお私は認知症治療は、認知症専門の医療機関で仕事をしていた。内科医の手に負えないと言うことで、訪問を行ってた方がほとんどである。その多くはレビーであった。アルツハイマーの場合は、アリセプトで興奮していた場合がほとんどであった事を付け加えておく。

入院を引き受けている医療機関での経験で言えば、入院患者の大部分はレビーである。一部ピックもいる。アルツハイマーを見ることはほとんどないのが現状である。




河野先生のブログ

 http://dr-kono.blogzine.jp/

名古屋フォレストクリニックのHP

http://www.forest-cl.jp/index.html

である。興味がある方はのぞいてみて欲しい。

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