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犬の栄養学(23)ビタミンC

2010-03-05 17:36:12
テーマ:犬の栄養学

犬や猫、ネズミなどほとんどの動物は体内でビタミンCを合成できます。


しかし、人、猿、モルモットなどは、ビタミンCを体内で合成できません。


ビタミンCを体内で合成できる動物の場合、グルコース(ブドウ糖)からいくつものプロセスを経て、ビタミンC(L-アスコルビン酸)を合成します。


D-グルコース → D-グルコース-6-リン酸 → D-グルコース-1-リン酸 → UDP-D-グルコース → UDP-D-グルクロン酸 → D-グルクロン酸-1-リン酸 → D-グルクロン酸 → L-グロン酸 → (グルコノラクトナーゼ) → L-グロノ-γ-ラクトン → (L-グラノラクトン酸化酵素/GLO) → ビタミンC(L-アスコルビン酸)


人、猿、モルモットの場合、このビタミンCの合成プロセスの最後に出てくる酵素「L-グラノラクトン酸化酵素」の遺伝子に進化の過程でたくさんの突然変異が生じたために、体内でビタミンCを合成できなくなってしまったのです。


犬をはじめ、ほとんどの動物には、この酵素の遺伝子に変異が起こらなかったため、体内で十分な量のビタミンCを合成できるのです。

犬の栄養学-(22)乳糖不耐症

2008-07-24 14:05:34
テーマ:犬の栄養学

(21)乳糖不耐症


乳糖(ラクトース)は、哺乳動物の乳に含まれる成分です。乳糖を分解する消化器官の酵素は、ラクターゼと呼ばれ、その量が多いか少ないかで、牛乳や乳製品に含まれる乳糖を消化できるかどうかが決まります。


人間でも犬でも、哺乳動物は、乳児期には小腸の粘膜で分解酵素のラクターゼが作られるので、母乳を消化できます。しかし、離乳期を過ぎると、ラクターゼの分泌が止まるので、乳糖のほとんどが消化されず、下痢を起こすようになります。


乳糖を分解できず、下痢をしてしまうことを「乳糖不耐症」と呼びます。


母乳に含まれる乳糖の割合


牛乳     5.0% (カッテージチーズは、2.5~3%)

ヤギミルク 4.1%

イヌミルク  3.1%

ネコミルク 4.2%

ヒトミルク  9.0%


個体差はありますが、犬では、体重1kg当り20ml以上の牛乳を飲ませると下痢になるという研究報告があります。牛乳を加熱しても、乳糖は分解されないので、ホットミルクでも下痢をします。


乳糖は、胃では吸収されず、小腸まで運ばれます。小腸の粘膜上皮に存在するラクターゼが乳糖をブドウ糖(グルコース)とガラクトースに分解して、それらを腸管から体内に吸収します。


ラクターゼの量が少なく、小腸で乳糖が分解・吸収されないと、乳糖は、大腸に達します。そして、大腸にいる腸内細菌の働きで、乳糖は発酵するので、ほんらいは腸の壁に吸収される水分が残留したり、あるいは腸管の活動が活発になることで、下痢(浸透圧性下痢)を引き起こします。


ヨーグルトや乳酸菌飲料などの発酵乳製品は、製造過程でブルガリア菌やサーモフィラス菌などの乳酸菌の働きで、乳糖の20~40%が乳酸に分解されているので、乳糖不耐症でも下痢になりにくいと言われます。


カッテージチーズは、製造過程で、ホエー(乳清)と一緒に乳糖が取り除かれるので、乳糖不耐症の犬にも与えることができます。


カッテージチーズの作り方


1.牛乳を鍋に入れて、沸騰しないように温める(50℃~60℃)

2.牛乳が温まったら、火から下ろして、40℃になるまで3~5分ほど冷まして、レモン汁を入れる

3.ザルに布巾を敷いて、液を漉して、固形物=カッテージチーズを作る


犬用ミルク


一腹で産まれた子犬の数が多かったりすると、子犬が母乳を十分に飲めないことがあります。牛乳は、子犬にとっては乳糖の割合が高すぎて、下痢や嘔吐などの消化器症状を起こすことがあり、エネルギー量が低すぎるので、十分な栄養を摂ることもできません。


「犬用ミルク」は、犬の母乳に近い栄養成分が含まれていて、子犬の未熟な消化器官でも消化吸収できるように乳酸菌などが配合されています。


犬も、老齢になると、筋肉量が落ちて、それにつれていろいろな機能も低下してきます。そこで、良質なタンパク質を摂取することが大切になりますが、消化力が落ちていると十分に栄養を吸収できないので、犬用ミルクを与えることが勧められます。

犬の栄養学-(21)塩分についての誤解

2008-07-02 14:46:22
テーマ:犬の栄養学

●塩分についての誤解


「犬に塩分を与えてはいけない」ということをよく耳にしますが、これは誤解です。


もともとは「犬は低塩状態でも生きていける」という研究報告だったのが、いつの間にか、「塩分を与えてはいけない」というふうに変わって、ひとり歩きしてしまったのです。


十分に水分を摂っていれば、余分な塩分はおしっこと一緒に排泄されてしまうので、多少のことでは問題が生じるようなことはないと言われています。

犬の栄養学-(20)抗酸化成分

2008-07-02 14:40:46
テーマ:犬の栄養学

●抗酸化成分(抗酸化栄養素)


嗜好性を高めるために、ドライフードには脂肪が吹きつけられていますが、脂肪の腐敗を防ぐために「保存剤」が添加されています。


抗酸化剤はすぐれた保存剤でもあるのです。


合成の保存剤を使わずに、ビタミンCとビタミンEを使っているのは、消費者の要望が強いからと言われていますが、抗酸化剤としてビタミンの方が優れているという科学的な根拠はありません。


また、天然の抗酸化剤は合成のものに比べて、その効果が長続きしないので、密閉した容器に入れて、乾燥した涼しい場所で保存する、製造年月日から6ヶ月以内に使用することなどが必要です。


抗酸化成分は、体内の他の物質を酸化させて細胞の働きを低下させる「活性酸素」の働きを抑制するものです。


ビタミンC、ビタミンE、ルチン(ルテイン)やベータカロチンなどのカルチノイドが抗酸化剤として働きます。トマトに含まれているリコピンにも効果があります。


ビタミンC(アスコルビン酸)


子犬の関節が成長するときに必要とされるコラーゲンの形成に必要です。


また、抗ストレス作用の他に、感染予防、解毒作用といった免疫機能を高める役割もあります。


犬は自ら肝臓で糖からビタミンCを作ることができるので、補給することはないと言われていましたが、最近は成長期には補う必要性があると考えられています。


ビタミンCは余分に摂取しても水溶性であるため、対外に排出されますが、一度に過剰に摂ると消化不良の原因になります。


ビタミンE


ビタミンEは、ミネラル成分であるセレンとともに、抗酸化剤としての働きをして、フリーラジカル(細胞膜を破壊する原子、分子)を中和します。


皮膚疾患には、ビタミンEが効果を持つとされ、ダックスフントの黒色表皮肥厚症(脱毛と皮膚に過剰な色素沈着が起こる病気)の炎症を抑えるとされます。


また、血管、心臓、神経の疾患にも効果があり、ストレスや栄養失調、病気やケガなどから細胞を守ったり、循環機能の働きを増進する働きがあります。


犬の体内では生成されないので、補給する必要があります。


ビタミンEは脂溶性なので、余分に摂取すると体内に蓄積されてしまうので、大量に摂取すると体調を崩す原因になります。


抗酸化栄養素は、予防接種の効果をあげるために必要とされる成熟した免疫機能を作ることにも貢献します。


「免疫」とは、細菌やウィルスの体内への侵入を防ぎ、また体内に侵入しても悪さをしないように抑える身体の働きです。


血液成分の内、主に白血球がその役割を担っていますが、免疫力は、年齢やストレス状態などの要因にも影響されると言われます。

犬の栄養学-(19)ミネラル

2008-07-02 14:36:23
テーマ:犬の栄養学

●ミネラル-発育と骨格の維持、細胞膜と神経-筋機能を健康に保つ


犬の体の約4%がミネラルと呼ばれる基本的な化学成分からなっています。


代表的なものがカルシウムとリンで、骨と血液中に認められ、しっかりした骨や歯を作るのに役立ちます。


子犬のカルシウム欠乏症は、若年性骨繊維症につながります。骨と靭帯に障害が起こり、骨格の変形、歩行困難、骨折などの症状をもたらします。


治療は、食餌中のリンとカルシウムの比率のバランスをとるだけで十分です。大型犬でも6~7ヶ月齢を超えていなければ、正常な状態に回復します。


リンよりもカルシウムを多く必要とするので、リン1に対するカルシウムの比率は1.2~1.4とされます。


ただし、長期間、カルシウムを過剰摂取すると亜鉛欠乏症となり、骨が変形することがあります。


トレースミネラルと呼ばれる、体が微量に必要としているミネラルがあり、代表的なものは、亜鉛、マンガンなどでです。


微量でも免疫機能を高める作用があるため、子犬にとって大切な成分です。体内では生成できないので、補給する必要があります。

犬の栄養学-(18)ビタミン

2008-07-02 14:30:49
テーマ:犬の栄養学

●ビタミン-新陳代謝を活性化する


食べ物は、化学反応を通してエネルギーに変えられます。


それを代謝と呼びますが、代謝によって、主要栄養素であるタンパク質、脂肪、炭水化物が化学成分になって、体内で使われたり蓄積されたりするのです。


このような反応や血液凝固などの身体に必要とされるいろいろな機能は、微量栄養素であるビタミンやミネラルの働きに助けられます。


ビタミンは、脂溶性と水溶性に分かれます。


脂溶性ビタミン


食べ物の脂肪から摂取され、肝臓に蓄えられます。


ビタミンA 


皮膚や視力の健康を保つ。

犬は動物の肝臓を食べることで摂取しますが、植物の細胞にあるカロチノイドからビタミンAをつくることができます。魚油や牛乳、卵黄にもビタミンAが多く含まれています。

コッカスパニエルの皮膚がベタベタする脂漏症には、ビタミンAが効果的です。ラブラドール・レトリーバーやミニチュア・シュナウザーの皮膚病の改善にも効果があります。

ただし、ビタミンAの過剰摂取は中毒を引き起こすことがあるので、注意が必要です。


ビタミンD


体内のカルシウムとリンの濃度バランスを保ち、健康な骨と歯を作る手助けをします。

犬は皮膚でビタミンDを合成できることから、かつては、日光浴不足でビタミンDの合成が十分にできないとクル病になると言われていました。現在ではドッグフードにビタミンDが十分に含まれているので、クル病はめったに見られなくなりました。


逆に、ビタミンDを過剰に摂取すると、肥大性骨症の原因になります。軟部組織にカルシウム沈着を起こしたり、骨格の変形を招き、ちゃんと歩けなくなります

犬の栄養学-(17)繊維質

2008-07-02 14:25:46
テーマ:犬の栄養学

●繊維質


食品に含まれている、消化酵素で消化されない成分のことです。


一般に植物由来で、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン、オリゴ糖などです。


食物繊維の供給源としては、全粒穀類、根菜類、果物などがあります。


食物繊維は体の構成成分やエネルギー源にはならないので、かつては役に立たない食べかすと考えられていましたが、実は唾液や胃液の産生を促す、便秘、糖尿病、肥満、炎症性の腸疾患、血液中の余剰脂肪に対して、それらを予防したり、治したりするのに役立っていることがわかったのです。


ごく少量の食物繊維が糞便量を決めるので、便秘や下痢の予防にも有効です。


純セルロース、リグニンといった非消化性・不溶性繊維は、腸管の収縮を促し、消化作用を促進します。


水溶性のペクチン、フラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖は、消化管の健康と清浄な状態にする役割を果たします。


フラクトオリゴ糖/F0S/発酵性繊維


発酵性繊維は、消化されませんが、腸内細菌叢の働きで発酵し、揮発性脂肪酸を遊離します。その脂肪酸が次のような作用をします。


1. 腸内環境を酸性にする。


2. 大腸の細胞の栄養源になって、大腸壁の細胞を増殖させる。


3. ビフィズス菌や乳酸菌の細菌叢の発達を促し、病原菌の増殖を阻止する


4. 消化作用や栄養分の吸収を促進する


マンナンオリゴ糖/MOS/繊維質


腸内細菌のバランスを適切に維持するのに、役立ちます。マンナンオリゴ糖は、グルコース、マンノースという2つの糖質で作られています。


1. 病原菌が腸粘膜に付着するのを妨げ、病原体の発育を阻害する


2. 体内の免疫システムを強化して、病原菌の増殖を抑制する

犬の栄養学-(16)炭水化物

2008-07-02 14:22:15
テーマ:犬の栄養学

●炭水化物-エネルギー補給のために


グルコース、スクロース、ラクトース、デンプン、繊維質といったものが炭水化物で、糖質とも呼ばれ、主にエネルギー源となります。動物の身体の中では、血糖、乳糖、グリコーゲンといった分子の形で存在しています。


犬は、体内でアミノ酸とグリセロールをブドウ糖に変換することができるので、炭水化物を必ずしも必要としてはいません。


炭水化物は、米、とうもろこし、小麦、大麦などの穀類を原料にしています。


穀類には、炭水化物(デンプン)70~80%、タンパク質(グルテン)9~14%、脂肪2~5%が含まれています。


デンプンは、腸でグルコースに分解されてから、吸収され、エネルギー源になります。


犬は、米(ライス)に含まれるデンプンは完全に消化できますが、小麦、豆、オーツ麦などに含まれるデンプンに対する消化率は、20%に満たないとされています。


そのため、犬に与える穀類は、米を除いては、体重1Kg当り12gまでにしないと下痢を起こしやすいと指摘されています。


また、十分に調理されていないデンプンは、大腸で発酵して、酸っぱい臭いのする下痢の症状を起こすことがあります。


穀物に含まれているグルテンがうまく消化できずに下痢をしてしまう症状を「穀物不耐症」と呼びます。よく煮込んだおかゆ状態であれば、症状がでにくいとされています。


炭水化物を摂りすぎると、体内で糖分として蓄えられてしまうので、肥満、脂肪肝、ビタミンの欠乏などになる可能性があります。


市販のペットフードの多くは、カロリーの大部分を炭水化物が占めていますが、犬には、エネルギー源としては、消化しやすいタンパク質の方が好ましいと考えられています。


炭水化物源としての穀類では、繊維質やミネラル分が豊富な「玄米」が良いと言われます。


消化吸収が高いこと、血糖を上げないので脂肪の蓄積が少ないことなどがメリットです。おかゆのように煮込んで与えます。

犬の栄養学-(15)オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の比率

2008-07-02 13:02:10
テーマ:犬の栄養学

オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の比率


外敵が体に侵入してくると、細胞は、内部に蓄えていたオメガ6脂肪酸のアラキドン酸(リノール酸)を、エイコサノイドという激烈な反応物質に変換して、対抗しようとします。


その反応が過敏になってしまうのが、アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎です。


それを抑えるには、炎症反応をおさえる力のあるオメガ3脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)を増やして、不飽和脂肪酸のバランスをとらなければなりません。


オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の比率は、5:1、あるいは10:1とされています。

犬の栄養学-(14)オメガ3脂肪酸(必須脂肪酸)

2008-07-02 12:58:10
テーマ:犬の栄養学

オメガ3脂肪酸(必須脂肪酸)


オメガ3脂肪酸は、もともと母乳に含まれているものです。


細胞の炎症を軽減させる働きがあります。免疫を抑制する働きはありませんが、細胞レベルで免疫系を促進させる働きがあると考えられています。


ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などがオメガ3脂肪酸で、マツヨイグサや魚、亜麻仁油、キャノーラ油などに多く含まれています。これらは、アレルギー性皮膚炎を長期間抑制する効果があります。


ドコサヘキサエン酸(DHA)


αリノレン酸から派生しているオメガ3系の脂肪酸。抗血栓効果が高い。脳の神経伝達物質(アセチルコリン)の分泌を活性化する。


脳の60%は脂肪でできていて、その中で最も多くの割合を占めているのがDHA。


子犬の脳の容量は離乳時で約70%しかなく、脳が成長していくためには、DHAが必要。


エイコサペンタエン酸(EPA)


腸内の悪玉コレステロール(LDL)を減らし、善玉コレステロール(HDL)を増やす効果。


抗炎症効果のあるプロスタグランディンⅢになり、炎症をおさえる。