日々、リーガルプラクティス。

企業法務、英文契約、アメリカ法の勉強を
中心として徒然なるままに綴る企業法務ブログです。
週末を中心に、不定期に更新。
現在、上場企業で法務を担当、
米国ロースクール(LL.M.)卒業し
CAL Bar Exam合格を目指しています。


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もしかすると既に廃れたトピックなのかもしれませんが。。。あまり日本サイドの法務ブロガーの間でトピックとしてあがっているのを見たことがないのですが、それなりに便利な気もするので、トピックとして取り上げることにしました。

クラウドを利用してリーガルドキュメントテンプレートを提供しているサービスはいくつかありますが、完全無料で提供しているサービスでまともなものはなかなかないかと思います。そんな中、一番有名かつセンスがよく、無料サービスとして群を抜いているのが、多分このDocracyではないでしょうか。

Docracy
$日々、リーガルプラクティス。

Docracyは、2011年の6月頃に一般公開されたサービスで、モバイルアプリとかソフトウェアを作成しているLarva Labsという会社のファウンダーの2人が立ち上げたサービス。契約書を始めとして、遺言書や信託のための法律文書など、弁護士等が作成したテンプレートにアクセスして、無料でダウンロードしたり、そのままクラウド上で契約相手方と交渉を行い、署名まで行える、というもの。2011年5月に開催されたTech CrunchのHackathonにおいても、受賞作に選ばれているサービスです。

公開されてから2012年の始め頃まではアメリカの一部の法曹界の中でもだいぶ話題にあがったのではないかと思います。なのでDocracyが立ち上がってからはまだ2年も経っていないかと思いますが、話題になった当時よりもドキュメントの種類も数も多くなっていたり、ボイラープレートの作成者が当該内容をちょくちょくと改定していたりするので、今のほうが有用性が高い気もします。

Docracyは弁護士たちにDocracyをマーケティング材料として使ってくれ、といった打ち出し方をしていて、複数の中堅事務所も参加しています。当該事務所作成のドキュメントだけを見ることもできます。例えば弁護士数が約150名ほどの弁護士事務所であるGunderson Dettmer LLPは、ベンチャーや中小企業を主にターゲットにしている、ということもあり、Employment Offer LetterやConsulting Agreementなどを含め、多種多様な法律文書をDocracyにアップしています。

またデザイナーのための団体であるAIGAもDocracyに参加していて、"Standard Agreement for Design Services-Interactive/Web Works, limited license"といった今の時代要請の強そうな契約書をアップしています。

残念ながらまだアジアやその他の地域面向けの契約書は少ないようですが、様々な種類の契約書テンプレートがあり、その内容や作成者に関する情報もきちんと見ることができます。例えば、起案者のインフォメーション(例えばどこの弁護士事務所の弁護士か、など)や、どういった地域・用途での利用向けの契約書なのか、という情報、当該テンプレートが直近でアップデートされた日付、また当該契約書のページビュー数なども表示されるので、ある程度まともな内容のものを探しやすいのではないかと思います。

更に特徴的なのは、「こういった契約書がほしい」とリクエストを出すこともできる点です。ただこれはどの程度いい内容のドキュメントが返答として返ってくるのか、試したことはありません。。。また、Docracy上で契約書のやり取りを行い署名まで行う場合は、修正等に関する交渉の履歴が全てクラウド上に残るようになっています。


以上、かなりざっくりしたDocracyの説明でしたが、Docracyを見ていてやっぱり企業法務担当者として扱うのは難しいなぁ、と思うのが、①クラウドである、という点と②法律的バックグラウンドを理解していない場合のリスク、という2つの点です。

①のクラウドである、ということについては、企業の業態や規模によっては、情報管理の観点から、アップローダーが含まれるウェブサイトへのアクセスが禁止されていて、業務中にクラウドを利用しているウェブサイトは閲覧できない、というケースが多いのではないでしょうか(自分の所属する会社も同様)。ウェブサービスなどを提供している会社や、クラウドサービスが自社の製品やサービスに近い企業は、別の施策によって情報管理をすることで、アップローダーが含まれるウェブサイトも閲覧できるようにしているかもしれませんが(そのあたりは分かりませんが。。。。)。なので一法務担当者としてDocracyを業務に使えるのかどうか、という物理的な問題は存在するかと思います。(自分のPCで気になるテンプレートをダウンロードして、それを会社にメールとかで送ればいいのでしょうが)

そういえば、アメリカでは、多くの州のBar Associationが、弁護士によるクラウドの利用について、"Ethical Use"であれば問題ない、といった弁護士倫理規則やポリシーを発表していますが、日本の法曹や企業法務担当が利用する、というのは今後倫理的にどのような見方をされていくのでしょうか。このあたりも気になるところです。

②の法律的バックグラウンドの理解、というのは、Docracyに限らず、どこからか契約書の表現をひっぱってきて利用する場合は、常につきまとう問題ではあります。ただ、Docracyでは1つの契約書としてすでにテンプレートがかなり詳細な部分まで完結しているものもあり、そのまま利用することのリスクは、書籍などから個別個別に条文をひっぱってきて契約書を作成する場合よりも大きいこともある気がします。労務系のドキュメントについては、適用地域が記載されている例がDocracy上では多いようですが、そうではない通常の取引用の契約書の場合は、注意が必要かと思います。例えばライセンス系の契約で言えば、中国企業との契約に使うのはかなり危険だったりする(例:改良技術の扱いに関する取り決めにおいて、無償のアサインバック・グラントバックは中国の法律および判例上、認められない。)かと思います。

とはいえ、ある程度そういったリスクを理解したうえで、上手に利用できれば、なかなか面白いサイトです。今後、こういった法律文書のオープンソース化が進んでいく気はしますね。

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