『黄金虫』海賊ゴッコから探偵ゴッコへ―第10号「楽しい読書」別冊編集後記
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●「レフティやすおの楽しい読書」―別冊編集後記
2008(平成20)年9月号(No.10)-080930-『黄金虫』海賊ゴッコから探偵ゴッコへ
「字の読めるアメリカ人の大人で、ポーを読まずに育った奴なんていないんだぞ」
リンダ・フェアスタイン/著 平井イサク/訳『埋葬』
ハヤカワ・ミステリ文庫HM264-7(2006、原著2004) 153p
始めに、私の好きなポーの作品ベスト10を挙げてみましょう。
・黄金虫
・黒猫
・赤死病の仮面
・アッシャー家の崩壊
・ウィリアム・ウィルソン
・モルグ街の殺人
・盗まれた手紙
・メエルシュトレエルに呑まれて
・早まった埋葬
・リジイア
昔はこんなところでした。
このうちの始めの6編は、最初に読んだ作品集、旺文社文庫『黒猫・黄金虫・他四編』刈田元司/訳(1966)に収録されていたものです。
やはり最初の印象は強く残っています。
他の4編はその後、創元文庫版『ポー小説全集』で読んだものです。
この中には、他にも心に残る作品が数多くありました。
特に印象に残っているのは、長編の「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」「メエルストロムの渦」「陥穽と振子」「ヴァドマアル氏の病症の真相」「天邪鬼」「タール博士とフェザー教授の療法」「ベレニス」「モレラ」などでしょうか。
今は? と尋ねられると、最近は全作品を読み返していないのでなんともいえません。
けれども、基本的にはあまり変っていないように思います。
最近、新訳で出た三冊の短編集を読みました。
A『エドガー・アラン・ポー短篇集』西崎憲/編訳 ちくま文庫(2007)
B『黄金虫・アッシャー家の崩壊 他9篇』ポオ/作 八木敏雄/訳 岩波文庫(2006)
C『黒猫/モルグ街の殺人』小川高義/訳 光文社古典新訳文庫(2006)
それぞれに工夫があり楽しめましたが、先の二つが私の好みに合いました。
好みというものは、もちろん人それぞれですので、この三冊の短編集の優劣をつけるというものではありません。
私は、挿絵付の本が好きなので、どうしてもそちらのほうを本として高く評価する傾向があります。
そういう観点からいいますと、「B」が各編の扉にポーのそれぞれの作品の挿絵として有名なものを使っていて楽しめました。
今回読み返したもので面白かったのは、「ヴァルドマール氏の死の真相」「告げ口心臓」「アモンティラードの酒樽」でしょうか。
それぞれの作品集に重複する作品もあり、「黄金虫」「黒猫」「モルグ街―」等の超名作とは別に、この辺のラインアップがポーの主な名作にあたるのでしょうか。
生前はさほど恵まれなかったポーでしたが、ミステリという新しいジャンルの発明者として、またその他のジャンルにおいても、いまやその短編小説は名作として不動の地位を獲得しています。
しかもなおそれは、埃にまみれた殿堂入りの古典としてではなく、現役の面白さを持って。
あなたももう一度この作家の作品を読み直してみてはいかがでしょうか。
*
『黄金虫』ならびにエドガー・アラン・ポーの作品等につきましては、メルマガ「レフティやすおの楽しい読書」本編をご覧ください。
2008(平成20)年9月号(No.10)-080930-『黄金虫』海賊ゴッコから探偵ゴッコへ
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